2 ちゃんと女の子の格好
「誰が、普通の男だって?」
「へ?」
伴兆太郎の言葉に今度は紳士クンが目を丸くし、首をかしげてこう返した。
「だから、ボクが、だけど?」
すると伴兆太郎は、キッパリとした口調でこう言った。
「お前、女じゃねぇか」
「ええっ⁉」
驚きの声を上げる紳士クン。
そして思わず伴兆太郎に食ってかかった。
「な、何言ってるんだよ⁉
確かにボクは昔から女みたいだってよく馬鹿にされたけど、
これでもれっきとした男なんだ!」
「れっきとした男のお前が、どうしてそんな格好をしてるんだよ?」
伴兆太郎はそう言って、紳士クンの服装を指差した。
なので紳士クンは自分の服装に目をやり、再び驚きの声を上げた。
「あああっ⁉」
何と紳士クンは今、薄いピンク色のミニワンピに、女の子用のサンダル。
そして頭には花の飾りが付いた可愛らしいヘアピンをつけていた。
少なくとも普通の男がする格好でない事は、誰の目から見ても明らか。
しかし当の紳士クンは、自分がどうしてこんな格好をしているのか全く分からなかった。
(な、何でボクはこんな格好をしてるの⁉
ボク、こんな服を着た覚えなんかないのに!)
パニックに陥る紳士クン。
そんな紳士クンに追い打ちをかけるように、伴兆太郎はこう言った。
「それにお前、体の方もれっきとした女じゃねぇか」
「ええっ⁉」