12 エシオニアのロッテンマイヤー
「それでは今から学年主任の木比篠先生に、今回の特別授業の詳しい説明と、
それに取り組むにあたっての心構えのお話をしていただきます。
それでは木比篠先生、お願いします」
愛雛先生がそう言うと、教室の入口から年配で眼鏡をかけた、
白髪頭の女の先生が現れた。
背筋はピシッとのび、眼光も鋭く、独特の威圧感がある。
(な、何だか怖そうな先生だなぁ)
ちなみにこの先生は始業式の日に、
廊下を走る愛雛先生を叱り飛ばしたあの先生だった。
その厳格な人柄と指導方法から、
生徒だけでなく先生の間でも恐れられる存在だった。
別名『エシオニアのロッテンマイヤー』とも呼ばれている。
そんなエシオニアのロッテンマイヤーこと木比篠先生は、
鋭い眼光でクラスの生徒達をギロッと見渡した。
その迫力のある視線に、クラスの生徒達は一転して静まり返る。
そんな中木比篠先生は口を開いた。
「では、今から特別授業についての詳しい説明を行います。
もうすでに聞いているとは思いますが、皆さんには明日からの四日間、
メイドとして特定の上級生の身の周りのお世話をしてもらいます。
身の周りのお世話ですから、その上級生の家に泊まり込みで、
朝起きてから夜寝るまで、付きっきりでお世話をしなければなりません」
(つ、付きっきりで⁉)
心の中で驚きの声を上げる紳士クンに構わず、木比篠先生は続けた。




