22 トドメの一言
・・・・・・。
やや間を置いて、
「うええええっ⁉」
「ぎゃあああっ!」
令奈と紳士クンは同時に絶叫した。
そして紳士クンはガバッとスカートのすそを押さえて撫子に食ってかかった。
「ちょ、ちょっとぉっ!何て事するんだよお姉ちゃん⁉
人前でスカートをめくるなんて!」
それに対して撫子は、軽い口調でこう返す。
「別に恥ずかしがる事ないでしょうが。どうせ男同士(、、、)なんだから」
グサッ。
『男同士』と書かれた見えないナイフが、令奈の頭に突き刺さった。
そんな中撫子はヒラヒラ右手を振ってこう続けた。
「まあそう言う訳だから、あなたもそんなに落ち込まないで、
乙子と仲良くしてやってよ。女装した者同士(、、、、、、、)さ♪」
グッサァッ!
撫子のトドメの一言(ちなみに撫子は親切のつもりで言っている)が、
令奈の心臓に深く突き刺さった。
そして令奈は暫く肩をふるわせた後、
「うあああああっ!」
と叫び声を上げ、両手で頭を抱えて資料室から逃げるように走り去って行った。
「え?ど、どうしたのよあの子?
人がせっかく親切にアドバイスしてあげたのに」
令奈の心境が全く分からない撫子は、そう言って口をとがらせた。
それに対して令奈の心境が痛いほどよく分かる紳士クンは、
ただただ苦笑いを浮かべるのが精一杯だった。
・・・・・・一方その頃、
この資料室に(内緒で)セットした小型カメラの映像を、
生徒会室の小型モニターで見ていた令は、お腹を抱えて笑い転げていた。
そしてこれからの学園生活が益々面白くなりそうだと、心底ワクワクしていた。
突如やって来た転校生のおかげで、
紳士クンの学園生活は一段と面白く、
否、大変なものになりそうだった。
果たしてこれから令奈はどうなってしまうのか?
そして令は今後どんな悪だくみをやらかすのか?
紳士クンの不本意な日々は、まだまだ続くのであった。
紳士クンの、割と不本意な日々Ⅱ 完




