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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅱ  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンの御奉仕 前編
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8 紳士クンが言われて一番嬉しい言葉

なので紳士クンは目一杯両手を横に振ってこう続けた。

 「い、いや、でも、ボクなんか全然体力も根性もないから、

とても太刀お姉様の特訓にはついていけないと思うんですけど・・・・・・」

 「何を言う!

お前はあの時ナイフを持った相手にも(ひる)む事なく立ち向かって行ったじゃないか!

根性が無い者にあんな事はできん!」

 「あ、あの時は、無我夢中だったから・・・・・・」

 「そういう時にこそその人間の真価が分かるんだ!

あの時のお前は、その辺のなよなよした男なんかよりもよっぽど男らしかったぞ!」

 「え⁉ほ、本当ですか⁉」

 太刀の言葉に、紳士クンはそう言って目を輝かせた。

これまでの人生で『男のくせに』と言われた事はあっても

『男らしい』と言われたのは初めてで、

紳士クンは飛び上がりたいほど嬉しい気持ちになった。

そんな紳士クンに、太刀は爽やかな笑顔でこう続けた。

 「だから乙子、私のメイドになれ。

そしたらもっと強くてたくましい女になれるよう鍛えてやる」

 「うっ・・・・・・」

 その言葉に再び顔を引きつらせる紳士クン。

しかし太刀はそんな紳士クンに構わず、手を差し出してこう言った。

 「さあ、お前の給仕カードを私に渡せ。それでお前は正式に私のメイドになれる」

 「え、え~と・・・・・・」

 紳士クンは言葉を詰まらせた。

確かに今給仕カードを持ってはいるが、それを太刀に渡していいものか、

この場で決める事ができなかった。

しかし太刀は右手を差し出し、

「さあ」と言って詰め寄って来る。

なので紳士クンはスカートのポケットから給仕カードを取りだしたが、

やっぱりどうにも渡す気になれなかった。

すると太刀はそんな紳士クンの手元から、ひょいっと給仕カードを取り上げた。

それを見た紳士クンは「あっ」と声を上げたが、

その時にはもう給仕カードは太刀の右手にあった。

 「これでお前は明日からの四日間、私にメイドとして仕えるんだ。

ビシバシ鍛えてやるから覚悟しろよ」

 太刀は嬉々とした口調でそう言った。

が、その時だった。

 「ちょっと待ちなさーい!」



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