15 意外と来た
しかしその翌日、撫子や紳士クンの予想に反し、
令奈は愛雛先生につれられて教室に現れた。
そして教壇に立った先生は、黒板に『凄茎令奈』と書いて言った。
「え~と、昨日はちょっと事情があって来れなかったんだけど、
今日からこのクラスに入る事になった転校生を紹介します。
それじゃあ自己紹介お願いね」
愛雛先生に促され、令奈はぶっきらぼうな態度で口を開いた。
「凄茎令奈です。よろしくお願いします」
「苗字で分かる人も居ると思うけど、
彼女は生徒会長である凄茎令さんの妹さんよ。
まあだからって変に遠慮したりせずに、気軽に仲良くしてあげてね」
愛雛先生の言葉に、クラスの生徒達は
「はーい」と返事を返し、
令奈を眺めながらガヤガヤと言葉を交わした。
(令奈さん、来たんだ。でも、あの子が男の子だなんて信じられないなぁ)
自分の事は棚に上げ、シミジミそう思いながら令奈を眺めていると、
そんな紳士クンと令奈の目がパッと合った。
お互い知らない仲ではないので、紳士クンはニコッと笑って令奈に小さく手を振った。
すると令奈は反射的に目を逸らしてうつむいた。
(な、何か、機嫌悪そうだなぁ。
まあ昨日お姉ちゃんが言ってた事が本当なら、そうなるのも当然だけど。
令奈さん、ちゃんとこのクラスになじめるのかな?)




