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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅱ  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンと謎の美少女
116/124

14 彼女は彼?

 撫子の予期せぬ言葉に目を丸くする紳士クン。

そして次の瞬間目を大きく見開き、驚きの声を上げた。

 「えええっ⁉令奈さんが男ぉっ⁉」

 それに対して撫子は至って冷静な口調で

 「そうよ」と返す。

しかし全く納得できない紳士クンは、両手をワタワタ動かしながら言った。

 「ど、どうしていきなりそんな事言うの⁉

確かに令奈さんは喋り方が男っぽかったけど、

髪は長くてサラサラで、顔つきは令お姉さまみたいに凄く綺麗で、

何処からどう見ても女の子にしか見えなかったよ⁉」

 「そのセリフ、そっくりそのままあんたにも言ってあげようか?」

 「えっ⁉いや、ボクの事は今はどうでもいいじゃないか・・・・・・

そ、それより令奈さんだよ!

どうしてお姉ちゃんは令奈さんが男だって思うの⁉」

 「思い出してみなさいよ、この前令お姉様がしてくれた話。

令お姉様にはふたつ年下の弟が居て、

その弟に無理やり女装をさせてたって言ってたじゃない?

そしてその弟はそんな令お姉様から逃げるように、

中学卒業と同時にイギリスの学校に留学した。

その弟の名前は令太だったけど、

令お姉様はそんな弟くんを完全な女の子に仕立てる為に、

『令奈』と呼んでいた」

 「あ・・・・・・ああっ!そういえば!」

 「この理屈なら、

その令奈って子がエシオニア学園に転校したがらない理由も説明がつくでしょ?」

 「た、確かに。で、でもそれじゃあ、どうして令奈、

いや、令太クンはわざわざ日本に戻って来たんだろう?

そのままイギリスの学校に居れば、こんな事にはならずに済んだのに」

 「そりゃあ令お姉様に脅されたからでしょ。

『今すぐ日本に戻って来ないと、あんたの女装写真を友達にバラまくわよ』

とでも言ったんじゃないの?」

 「う、う~ん、あの人ならやりかねない、かな?

そ、それにしても、

令お姉様はどうしてそうまでして令太クンを日本に呼び戻したのかな?

何か特別な理由が?」

 「それはあんた、

『その方が私の学園生活がもっと面白くなりそうだから♡』じゃないの?」

 「どえええっ⁉そ、そんな個人的な理由で、

嫌がる令太クンをエシオニア学園に転校させようとしてるの⁉」

 「だってあんたもそんな個人的な理由で、

エシオニア学園の女子部に入学させられたじゃない」

 「た、確かに・・・・・・」

 「あの人は女装した可愛い男の子が大好きなド変態。

そんな男の子がアンタ以外にもう一人増えれば、

令お姉様にとってはこのなく幸せな事なんじゃない?」

 「な、何かボク、令お姉様の事が本気で怖くなってきたよ・・・・・・」

 「あの人はそういう人なのよ。

自分の欲望の為なら、周りの犠牲なんて全く顧みないんだから」

 「ま、まあ確かに・・・・・・。それにしても、

令奈っていう名前だけでよくそこまで状況が理解できたね。

お姉ちゃん凄いなぁ」

 「そりゃあ一年以上あの人と付き合いがあるからね。

あの人が何を企んでどういう行動を起こすのか、

最近は分かるようになってきたのよ」

 「そ、そうなんだ。

でも今の話が本当なら、令太クンは明日学園に来ないんじゃないかな?」

 「学園には令お姉様に無理やりにでも連れて来られるんじゃないの?

でも今日みたいに教室に来る前に逃げ出すかもしれないけど」

 「何か令太クン、可哀相だなぁ・・・・・・」

 「あんたはその気持ちがよく分かるでしょうね。

でも令お姉様が絡んでいる以上、私達にはどうする事もできないわ。

令お姉様の弟に生まれた事が、不運だったと諦めるしかないわね」

 「う、う~ん・・・・・・」

 予想だにしていなかった展開に、紳士クンは頭がパニックになりそうだった。

 (こ、これからどうなるんだろう?やっぱり明日も学園には来ないのかな?)



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