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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅱ  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンと謎の美少女
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9 彼女は妹

 「いっけない!頼まれた資料を持って早く教室に戻らないと!」

 紳士クンはそそくさと棚から必要なファイルを数冊取り出し、

それを両手に抱えて彼女に言った。

 「それじゃあボクは行くから。

ここに隠れていれば、令お姉様に見つかる事はないと思うよ」

 そして早足で資料室から出て行こうとすると、

 「ま、待ってくれ!」

 と、彼女が紳士クンを呼び止めた。

 「うわっと。え?何?」

 つまずきそうになったのを何とかこらえ、紳士クンは立ち止まって振り向いた。

すると彼女はにわかに頬を赤らめながら言った。

 「あ、あんた、名前は?」

 それに対して紳士クンは、ニコッと笑って答えた。

 「(けだ)(かき)乙子(おとこ)です」

 「蓋垣、乙子・・・・・・」

 彼女はそう呟くと、一転して語気を強くして言った。

 「お、オレは、令奈(れいな)凄茎令奈(すごくきれいな)だ!」

 「凄茎?」

 どこかで聞いた事がある苗字に、紳士クンは眉をひそめる。

すると令奈と名乗った彼女は、神妙な口調でこう続けた。

 「凄茎令の、妹だよ」

 「え?」

 その言葉に目を点にする紳士クン。

そしてすぐさま大きく目を開き、驚きの声を上げた。

 「ええええっ⁉」


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