33 仲直りはできたが・・・・・・
その翌日、静香は紳士クンと撫子につきそわれて針須尚の教室に出向き、
この前の事を謝った。
すると尚はそれを快く許し、静香と尚は無事に和解したのだった。
静香に敵意を持っていた尚の友人の真子も、
この出来事で静香を許し(たかどうかは分からないが)、
これで全ては一件落着・・・・・・かと思われたが、
残念ながらそうはならなかった。
それは更に翌日の事
「撫子さん、ちょっといいですか?」
終礼が終わり、撫子が机の荷物を鞄に片付けていると、静香がやって来て言った。
「ん?何?」
撫子がそう言って静香の方に顔を向けると、
静香は深深と撫子に頭を下げてこう言った。
「このたびは本当に、ありがとうございました。
撫子さんと乙子さんには色々助けていただいて、何とお礼を言ったらいいか」
「やめてよそんな大げさな。私達はそんなに大した事はしてないわよ。
ただ友達が困っていたから、ちょっとおせっかいをやいただけ。
だからそんなかしこまったお礼なんかいいわよ」
「撫子さん・・・・・・」
静香は顔を上げ、瞳を潤ませながらこう続けた。
「私、撫子さんとお友達になれて、本当に幸せです・・・・・・」
「だ、だからぁ!そういう事をかしこまって言わないでよ!」
撫子はそう言うと、顔を赤くしながらそっぽを向き、
「照れるじゃないの・・・・・・」と呟いた。
すると静香はおずおずとした口調で言った。
「あの、それで実は、撫子さんにもう一つお願いがあるんですけど・・・・・・」
「ん?何よ?」
「この後、私と一緒に、旧校舎の前に来てもらえませんか?」
「え?どうして?」
「撫子さんに、大事なお話があるんです」
「ここじゃ駄目なの?」
「はい。他の人が居ない場所じゃないと」
静香の言葉に撫子は眉をひそめて黙り込んだが、
少ししてから息をついてこう言った。
「分かったわ」




