1 再び、番長の告白
「お前が好きだ。俺と、付き合ってくれ」
綺麗な満月が浮かぶ人気のない公園で、伴兆太郎は真剣な眼差しでそう言った。
大柄で腕っ節が強く、学校では『番長』として恐れられている伴兆太郎。
そんな伴兆太郎が愛の告白をしたのは、
当物語の主人公である、蓋垣紳士クンだった。
大柄な伴兆太郎に対して紳士クンは小柄で手足も細く、
顔つきはまるで女の子のように可愛らしい。
そんな紳士クンに、伴兆太郎はゾッコンラヴなのだった。
ちなみに紳士クンも伴兆太郎も性別は男である。
なので紳士クンは、ひきつった笑みを浮かべながら伴兆太郎に言った。
「ごめん、ボク、伴君とは付き合えないよ」
「何だと⁉」
その言葉を聞いた伴兆太郎は目を大きく見開き、ズズイッと紳士クンに詰め寄った。
「どうしてなんだ蓋垣⁉訳を、訳を聞かせてくれ!」
それに対して紳士クンは、たじろぎながらこう返す。
「り、理由は色々あるけど、一番の理由は、伴君が男だから、かな?」
「俺が男だから?それが何の問題だって言うんだよ?」
伴兆太郎は心底不思議そうな顔で言った。
すると紳士クンは両手をバタバタ動かしながら続ける。
「だ、だってそれだと、男同士で付き合うって事じゃないか。
伴君はその、ホ、ホモだから、それでいいかもしれないけど・・・・・・
ぼ、ボクは、女の子が好きな普通の男なんだ!だから、伴君とは付き合えないよ!」
紳士クンは全身全霊の勇気を振り絞り、伴兆太郎に訴えた。
しかしそれに対する伴兆太郎の次の言葉はこれだった。
「は?」
てっきり怒られると思っていた紳士クンの予想に反し、
伴兆太郎はキョトンとしながら目を丸くし、紳士クンにこう言った。