甘々ショート 花占い
春の陽気に萌え出づる此頃、庭の草むしりは本格的に。
遊んでいた蝶々に振られてしまいトボトボと私の下へやってきたポン助。汗ばむ陽気、少しばかりの小休止です。
「キャンッ!!」
花を一輪咥えてきたポン助。以前褒めたら、こうして得意気に持ってくるようになった。
「ふふっ、ありがとうポン助。上手に出来たね。せっかくだから花占いしてみよっか?」
「キャッ?」
小学生も高学年の頃、親友の詩音ちゃんがよくやっていたのを覚えている。
好きか嫌いか……花弁に身を任せて占うその行為。いざ始めようとしたけれど、あなたを想い首を横に振る。
「今日は特別に、好きか大好きにしよっか。始めるよ? 好き……大好き……好き……大好き」
どちらになっても嬉しい筈なのに……どうしても、願ってしまう。
残りの花弁を見れば分かる結末。最後の一枚で手が止まる。
「う、占いなんだし…………」
情けなくも涙ぐんでしまい、鼻を啜る。
動けずにいると……柔らかな風が、春を運ぶ。
あなたの香りが後ろから私を抱きしめて、可憐な指先が最後の花弁を摘んでいった。
「“愛してる” やったね、大当たり♪」
あなたの一言は星の占いよりも煌めき、あなたの微笑みは花の蜜よりも甘く香る。
「どうしたの?」
「……愛してます」
「ふふっ。じゃあ……占い通りだね」
ハルの匂いに誘われて、緑陰の下キスをした。




