なりきりショート にゃんこ編
二月二十二日……そう、今日はにゃんこの日ですにゃ。
晴さんは猫がお好きなようですし……今日一日にゃんこでいればきっと喜んでくれる筈…………にゃ。
この日の為に拵えたこの猫耳と尻尾で……一年で一日しかにゃい特別な日にしにゃくては。
しずく、頑張るのにゃ。
「は、晴しゃん! 今日は── 」
「ひにゃだよ、よろしくね♪」
このまま果てても後悔しそうに無い程に可愛い……ひにゃちゃん……可愛い……
猫耳に尻尾、それに猫のイラストが描かれたシャツを着ているひにゃちゃん。
いつもなら流されてしまうけど、今日は一年に一度のにゃんこの日。
大丈夫だよしずく。野良猫位にはなれる筈だから。
「し、しずくです……にゃ。趣味は御主人様に構ってもらうことですにゃ」
「ふふっ、そうにゃんだ。しずくは可愛いにゃ。すりすりしちゃお」
全身を擦り付けてマーキング。
嬉しさ、恥ずかしさ、心地良さ、気持ち良さ。
雌猫らしく、思わず嬌声が漏れてしまう。
「グルーミングするにゃ。しずく、アログルーミングって知ってるかにゃ?」
「し、知りませんにゃ。それはにゃんですか?」
「自分以外にグルーミングをしてあげることを言うのにゃ。しずく、その人間みたいな服を脱ぐのにゃ」
手際良く、されるがままに身一つ。
一糸まとわぬ猫二匹。
「ふわぁ……しずくの毛並みは綺麗だにゃぁ…………いただきますにゃ」
アログルーミング。
それは猫にとっての愛情表現。
沢山の愛をあなたから貰うけど、これは一方通行ではなくて……
「しずくは私にしてくれにゃいの? いっぱいいーっぱい……猫ににゃろ?」
蕩けきった私にはもう思考する力も無く……宛ら、まさに猫になった私達は互いの全てを舐め合った。




