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十月一日 碧羅の天


 十月に入り、過ごしやすい陽気になりました。と、言うわけで今日は日向さんとポン助と一緒にピクニックに来ています。 


 私達お気に入りの自然公園。一頻り散策したあとは、芝生の上でお昼ご飯。

 今日は日向さんの御要望で、軽く塩をふったお握りと自家製の梅干しです。


「んー、酸っぱい」


 愛くるしい顔でお握りと交互に食べてゆく日向さん。

 言葉にするとより美味しくなる、と仰る日向さんの真似をして私も梅干しを一口。


「ふぇぇ……しゅっぱいですね……」


「ふふっ、ほひひーへ♪」


 口いっぱいに頬張っている筈のあなたは、私と同じ速度で食べ終わった。

 それは、私が常々言っている事を守ってくれているから。


 “よく噛んで食べましょうね”

    

 そんなあなたの変化が嬉しくて、只々見惚れてしまう。

 惚気けた私の頬に付いた米粒をあなたは指で掬い、自らの口へ運ぶと、艶然(えんぜん)と一笑し空を見上げながら仰向けに寝転んだ。


 私も真似をして同じ格好をすると……何処までも拡がる碧羅(へきら)(てん)に映えるあなたは、愉しげに鼻歌を唄っていた。


 (きらめ)く一粒の銀舎利。

  

 あなたの頬に付いた米粒を掬い口へ運ぶと、私はあなたと同じ空を見上げていた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 秋の一幕。描かれていない、お米は雫父が送ってきた新米かな?とか、お茶は熱々をポットで持ってきていそうとか想像の余地のあるお話w [一言] おお珍しくキスなし
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