誇り高き騎士団
背後から聞こえた声は大剣使い。
地面に刺さった大剣を抜きながら戦線に加わる。
引きずった大剣と共に揺れる赤いマントが悪魔を隠した。
次の瞬間には悪魔は増えて動かなくなる。
それでも他の騎士はゆっくり死んでいった。
「し、死ぬなよ……!」
比較的後ろでフレア様の手を握って守る俺と。
ブラッドと大剣使い。
七人は三人に。
「これは、ダメだろう」
大剣使いはポツリと呟いた。
「ああ、そう思ってた」
「ブラッド、フレア様を連れて逃げる人間を決めようと思っている」
「いい案だな、それ」
大剣使いとブラッドが左手をスッと伸ばす。
「……」
俺が遅れて手を上げると、上がっていた手が下がる。
『『燻る誇り高き騎士に慈悲を』』
不意に破音と共に血が周囲に舞う。
ブラッドは真っ赤になった肩を抑えて叫ぶ。
『クッ、さっさと俺達に任せて先にいけ!』
マルカレイドを呼んできてくれと。
しんでほしくないなら言う通りにしろと。
てを払って俺に背中を向けるブラッド。
『ほんきか! 戦う約束は、?』
『しんらい、してくれ』
『い、行くわ! フレア様は必ずフリートに……!』
『あたりまえ、だろ?』
蜘蛛の子を散らしても誰かが死ぬ、それは分かっていた。
『逃げよう、フレア様! こっちだ!』
『もう走れない……』
『俺が、命に変えてもお運びします』
血を吐きながら喋るブラッドが適任ということも、分かっていた。
フレア様を両手に抱いて走っていると冷静になって気づいた。
「はははっ」
笑いが込み上げてくる。
『マルカレイドって、誰だよ』