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春冬冬冬

掲載日:2020/02/11


春夏秋冬、彼はそれを自分の人生に当てはめた。


確かに春はあった。


友と語り明かし、スポーツで汗を流し、不器用な恋をしたのだ。


青い春だった。


彼はそれを思い出していた。


だが、今ではそれは楽しい過去の思い出ではなく、


思い出す度に今の虚しさをより強調してしまう、

悲しいトリガーになっているように思えた。


もう戻れない日々に対して、

いつまでも嘆いているよう気がしていた。



彼は大学を出てから社会人として、真っ当に働いた。


朝から晩まで、真っ当に働いた。


真面目に生きているのだが、


生きている実感があまりなかった。



友人と遊ぶ事も減り、


同僚との飲み会ではただお金が減り、


大学時代の恋人と別れてからは、

新しい出会いもなかった。


そして、淡々としているが、物凄い速さで過ぎていく日々に驚いていた。



春夏秋冬、彼はそれを自分の人生に当てはめた。



彼が今生きている季節は冬だと思った。


このままだと、春冬冬冬の人生だと思った。


雪のせいで、どこまでも変わらない風景が続いているように思えた。


孤独が余計に身に染みる気がした。



雪を掻いても、掻いても、

雪はまたすぐ積もった。


毎日、それを繰り返しているだけに思えた。




本来なら春の次には夏が来るはずだった。


彼は眩しい太陽の下にいるはずだった。


彼は今の自分の状況が嫌いだった。



だけど、


自然の季節と、人生の季節では一つ、

決定的に違う点があった。



それは、自分で季節を選べる事だった。


彼は自分がいる季節を春でも、夏でも、秋にでもでき、選べるのだ。


冬は勝手に訪れたのではない。


彼が選んだのだ。



そう思い直してから、

彼は新しい行動、新しい挑戦をどんどん始めた。



それを続け、繰り返し、しばらくすると、


夏の太陽が高く昇り、

彼の周りの雪を溶かしはじめた。


雪に覆われた風景は変わり、

世界は彩られていった。



更に時間が経つと、


草木が生い茂り、虫たちが地を這い出し、


鳥は鳴き、青い空が広がった。



彼は人生の新しい季節に足を踏み入れたと思った。 



そして、彼が望むのなら、

ずっと夏の中を生きられるのだ。


同じようにして、


いつでも秋の紅葉を観る事ができ、


いつでも春の風を感じられるのだ。


それに、


またいつか、一面が真っ白な冬の景色が見たい日が来るだろう。



春夏秋冬、彼は自分が過ごしたい季節を選んだ。



彼は今はまだ、


眩しい太陽の下にいたいのだ。










最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


人生を〇〇に当てはめる、と言う表現は、

キャンバスという短編でも使用しましたが、

少し意味合いが違います(^^)


個人的には冬も好きです✌︎('ω')✌︎


もし宜しければ、感想、評価、頂けると嬉しいです。


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