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ただひたすらに

ただひたすらに 下 そして走り出す

作者: 川理 大利

上の続きです。

 病院を退院した俺は、まず俺の家であるマンションの一室の整理をしていた。突然入院することになったため、部屋が散らかった状態で入院をしたのだ。帰ってきたところ、悲惨な状況になっていた。カーテンが閉めっぱなしの少し薄暗い部屋では、生ゴミは腐り異臭を放ち、見たこともないような虫が湧き、カビが至るところに生え……。気持ち悪くて卒倒するかと思ったほどだ。そこで、俺は友人を呼び助けを求めることにした。確か、スマホの連絡先に電話番号が載っていたはずだ。しかし、俺はその電話を掛けることを少し躊躇った。数年連絡をとっていないのだ。それがどうだろう。突然電話が掛かってきてこんな部屋の掃除を手伝ってくれと言われたら。良い気持ちにはならないだろう。そう思ったからだ。だが、きっと大丈夫だろうと思い電話を掛ける。


「はい、倉真です」


 少し気だるそうな声がスマホの向こう側から聞こえてきた。


「こんにちは、(しゅう)。俺だよ。進だ」


「進か! どうしたんだいきなり?」


「誰から掛かってきたのか確認しなかったのか?」


「してないが……それがどうかしたか?」


「いや、別に。それでだな」


 少し、不用心だと思った。それだけだ。もし、架空請求だったり詐欺の電話だったりしたらどうするのだろうか。まあ、いいそれは置いといて電話を掛けた理由を柊に説明する。


「なるほどな、でもそれ俺必要か?」


「必要だ! 絶対に必要だ」


「そうかい、分かった分かった。暇だから行くよ。で、今進はどこに住んでるんだ?」


 高校を卒業して以来連絡をとっていなかったためどこに住んでいるのかということも柊は知らないのだ。


「駅前のマンションだよ」


「どこの駅前だよ。まあ、いい。詳しい場所はメールで教えてくれ! それじゃまた後で、今から向かうからさ」


 電話を切ってから、住んでいる場所の地図と部屋番号を送る。今は便利になったなと思う。地図をスクリーンショット機能で撮り、少し編集して丸でも付けておけばいいのだ。これで大体の場所は分かるだろう。とりあえず今は部屋の中に入りたくないため家の前で待っているのだが早く来てくれないだろうか。


 ブーブー。バイブレーションが鳴り、画面上に柊からの返信が表示される。内容は、ざっくり過ぎて分からないから駅まで来てくれ。だそうだ。忘れていた。いや、なぜ忘れていたのだろうか。柊は方向音痴なのだ。地図の見方さえ分からないような。はぁとため息をつき駅に向かう。走っていこうと思ったが走ってはダメだと言われていることを思いだし、歩いて駅まで向かう。普段、駅までの道は小走りで通っているため駅までが物凄く遠く感じたのだった。歩いてたった5分の道のりだが、走っていけば3分程でついてしまう。たった、2分の差だが俺にとってはその2分がとてつもなく大きな差に思えるのだった。


 駅に着き、駅の売店をふらふらとしながら何本か電車を見送り、ようやく柊がやって来た。改札の向こうにいる、紺色のコートを羽織ったその姿は少し大人びて見えた。


「おーい、柊。こっちだ!」


 手を振って名前を呼ぶ俺に気づいた柊は改札を出て、真っ直ぐに俺の元へ向かってきた。


「久しぶりだな、進! 元気にしてたか?」


「ああ、それなりには。いや、元気じゃなかったのか?」


「そうか、入院してたんだっけな。それはそうと部屋はどんな感じなんだ? 俺に助けを求めるってことはよっぽど酷いんだろ?」


「酷いという言葉では表せないくらいには」


「それ、どれだけ酷いんだよ。とりあえず向かうぞ進の家? いや、マンションの一室に」


 と、言うと柊は北口の方へと歩いていく。


「なあ、柊。俺が住んでるマンションは南口の方にあるんだ」


「あれ? こっち、南口じゃないのか?」


「そっちは北口だ。俺が部屋まで案内するから付いてきてくれ」


「はいよ」


 部屋の掃除は、柊に手伝って貰うことで何とか終わらせることができた。掃除を始めた頃、明るかった街は既に暗くなり道の街灯には灯りが点っていた。綺麗になった部屋の椅子に腰掛けて柊と話す。


「いやー、それにしちゃー酷かったな。進の部屋」


「まあ、仕方ないだろ。1ヶ月ぐらい部屋空けてたんだから」


「これが、冬だから良かったもののもし夏だったらもっと悲惨だったろうな」


「本当にな。そうだ! お礼といっちゃなんだが俺が夕飯作ってやろうか?」


 そう言うと、柊は目を輝かせて食い付いてきた。


「いいのか?! これで夕飯の食費が浮くな……。でも、進って料理できるのか? 高校の頃なんて走ることしか考えて無かったじゃないか」


「俺はあの頃とは違うさ。独り暮らしを始めてから自炊し始めたんだよ。食費を少なくするために。それに、走りたくても走れない。そんなもどかしさが忘れられるなら今は何だってするさ」


「そうは、言うけどさ……。材料あるのか? さっき、冷蔵庫の中に入ってた野菜とか生物は殆ど捨てちゃったじゃないか」


 柊の言うとおりなのだ。残っているものがあるとすれば調味料やチーズ等といった賞味期限、消費期限が明確に示されている食品のみだ。それから何か作れるかというと何も作れない。工夫次第で何か作れるかもしれないがそこまでの高等技術は俺にはない。だとすれば……。


「よし、買い出しだ!」


「俺が好きなもの選んでいいのか?」


「……仕方ないから許す。柊には感謝してるしな」


「で、スーパーはどこにあるんだ?」


「道を真っ直ぐ歩けば着く。くれぐれも走るなよ。俺は今、走れないんだからな」


「分かってるよ」


 スーパーで材料を買い、部屋に戻る。料理をするうえで何が一番味に影響するだろうか。味付けや焼き加減もそうだろうがそれ以前で大切なことがあるだろう。野菜や魚等がいかに新鮮かということだ。だからこそ、俺は入院する以前は毎日スーパーで野菜や肉、魚等を買っていたのだ。料理を終えると既に時計の短針は7の位置を指していた。


 料理を食べ終えてから、柊と話す。


「どうだ? 以外とうまかっただろ?」


「俺の予想の2倍はいってたかな」


「ははは、それは、ありがたい誉め言葉だな」


 柊が真剣な顔になって俺に聞いてきた。


「なあ、進。まだ、走るのか?」


「走るさ。貧血と疲労骨折が治れば。走るさ。本当は今にでも走り出したい気分さ」


「何で、そんな走ろうとするんだ?」


「少し前は理由なんか無かった。気がつけば何となく走ってる。そんな、感じだったんだ。でも、今は違う。走る理由を見つけた」


「それは、一体……。まあ、いい。理由は聞かないさ。なあ、進。進が高校生の頃は周りからどう見えていたか知ってるか? 得体のしれない怪物。そんなふうに見えていたんだよ。進ってあまり自分から人に接するようなタイプじゃなかっただろ。しかも、冬のマラソンでは毎年1位を取っていた。学年でも学校全体でも。その割には部活にも入っていない。何で速いんだろうな? そんなふうに思ってたんだよ。でも、理由を見つけたと聞いて安心したよ。進は決して得体のしれない怪物なんかじゃないんだなって。頑張れよ! これからどうするのかは知らないが、頑張れよ! 進」


「そう……なのか」


 高校生の頃、唯一の友人が柊だった。柊が居なかったら、俺はどうしていたのだろうか。話の内容も内容だが、俺にとっては最後の言葉が嬉しかった。頑張れよ! 進。応援してくれたのは彩芽さんと合わせて2人目だ。応援の大切さが身に染みて分かるのだ。


「今日は、この辺で帰るよ。それじゃ、またな進!」


「また、連絡するよ」


「ああ! 早く怪我治して走れるよう頑張れよ!」


 玄関のドアが閉まる最後の瞬間まで、柊を見送っていた。柊が友人で本当に良かった。そう、思うのであった。


 退院してしばらくは、入院中に行くことができなかったバイト先や大学の後片付けに終われていて、気がつけば2回目の定期通院の日になっていた。月日が経つのは早いものだと初めてその時実感した。


「結果としましては、軽いジョギング程度なら大丈夫です。軽いジョギングですからね。激しい運動はしないようにしてくださいね。貧血もまだ完全に治ったわけではないですから」


 ようやく、軽いジョギングだが走って良いという許可が出たのだった。この許可が出るまで随分長かったものだ。彩芽さんに報告しようと思い、中庭へと向かう。扉を開けて中庭に出ると既にそこには彩芽さんがいた。


「こんにちは、彩芽さん。久しぶり!」


「こんにちは、逆川さん。先月会ったばかりじゃありませんか。結果はどうでしたか?」


「軽いジョギング程度ならしていいとのことです。ようやく走れますよ! この日を心待ちにしていましたから」


 彩芽さんが自分のことのように嬉しそうな口調で言う。


「そうですか。それでしたら、早速ここで走ってみてください。私、逆川さんが走るところ見てみたいんです」


「ここで、ですか? そうですね。いいですよ」


 少し準備運動をしてから走り出す。ウォーキングと違い、ジョギングなどの際には準備運動が大切になってくる。体を温めることが走りに直結するからだ。久しぶりの感覚が足の裏を襲う。ウォーキングとは違う。足の裏が速いペースで交互に地面に着く感覚。腕と足の一体感。風をビュンビュンと切り裂いて前へと進む。フォームが心配だ。2ヶ月程走れていないからだ。その間はウォーキングをすることでできる限り体力を落とさぬよう努力していたがどうだろうか。それにしても……楽しい。走るということはこれほど楽しいことだったろうか。走っていると何もかも忘れて自分の世界に入り込んでしまうのだ。


「逆……川さん……逆川さん……逆川さん! 無理しすぎないようにしてください! どんどんペースが上がってってますよ」


 彩芽さんのその言葉を聞き、ペースを落とす。確かに軽めのジョギングというペースでは無くなっていただろう。今回は彩芽さんが見ていてくれていたから良かったものの、1人で走っているときにペースが速くなりすぎないよう気を付ける必要があるだろう。だと、すればどうするべきか。ランナー用の腕時計でも買おうかと思ったが、良い機能が付いたものを買うためにはかなりの金額のお金が必要になる。ランナー用の腕時計を買うのはしばらく先のことになるだろう。買う以前にそもそも今の腕時計で満足しているのだ。ストップウォッチ機能がついており、120ラップまでとることができる。これだけ機能が付いていれば充分じゃないか。そんな事を考えているうちに30分が経過していた。


「どうだった? 俺の走り」


 目を輝かせながら彩芽さんは答えた。


「素晴らしかったです! 歩いているとき以上にみとれてました。私、正月に箱根駅伝をテレビで見たんですけど走っている選手たちに劣っていませんでしたよ」


「そんなにだった? ありがとう! ここからだからね、まだ始まったばかりだよ」


「リスタートですね!」


「そうだね!」


 病院から部屋に戻ると、既に昼を回っていた。病院から家まではそれなりに離れているのだ。確か、午後から講義が入っていたと思い昼食を適当に済ませてから大学へ向かう。軽いジョギング程度なら許されているので小走りで大学への道を駆け抜ける。入院する以前は毎日こんな、生活をしていたものだ。大学へは走っていき、バイト先へも走って行く。夏は辛いが、走り続けていれば暑さにも慣れるものだ。だが、今は夏ではない。まだまだ冬だ。春の気配すら感じない真冬だ。毎日走ることばかり考えているかのような生活を続け、1ヶ月はあっという間に過ぎていった。定期通院の日だ。あまり無理はしていないつもりだがどうだろうか。


「結果としてはですね、疲労骨折の方はもう大丈夫ですね。激しい運動なども許可します。ただ、あまり無理しすぎないようにしてくださいね!」


「はい。分かりました」


 気がつけばもう3月半ばだ。寒さが和らいだかといえばそんなことは無い。暦の上では春だというのに肌を刺すような寒さはまだまだ続いている。病院内は暖房が効いており暖かいのだが中庭はそうではない。中庭へと続く扉を開けると僅かに暖かさを含んだ風が吹き付けてきた。僅かに暖かさを含んでいるとはいえ、寒いのは変わらない。彩芽さんは……、いつもの場所にいるのだった。本当に来る度に毎回いるので少し心配になる。


「こんにちは、彩芽さん」


 話すと楽しいのだろう、俺の姿を認識した瞬間に瞳が輝いた。


「こんにちは、逆川さん。どうでしたか? 結果」


「ああ、もう大丈夫だ。疲労骨折は治ったらしい。激しい運動もしていいとのことだ」


「それは、良かったですね!」


 やはりというべきか、彩芽さんは自分のことのように喜んでいた。当人である俺より喜んでいるのではないだろうか。


「これでようやく、気兼ねなく走れるよ」


「また、ここで走ってきますか?」


「いや、今日は辞めとくよ。それよりも俺は彩芽さんの事を知りたいんだ」


「急にどうしましたか?」


「いつも、疑問だったんだ。なんで、高校生であるはずなのにいつきても中庭にいるんだろうって」


 俺がそう聞くと彩芽さんの表情は少しばかり暗くなったように見えた。聞いてはいけないことだっただろうか。


「そうですね、正直に話しましょう。私は、普通がいいんです。普通が1番だと思っています。でも、私高校に行くと浮くんですよ。歩けないから。走れないから。みんな、私に気を使うんです。大丈夫? 手伝おうかって。そんな、自分が嫌いでした。普通に過ごせない私が。普通に過ごすことすらできない自分が。だから、毎日逃げて病院に来てました。中庭でぼーっと過ごすんです。そしたら何もかも忘れられて」


 普通。誰からどう見ればそれは普通と言えるのだろうか。そもそも、普通とは何なのだろうか。何を基準に普通というのだろうか。この世界に普通という言葉が何なのかを完全に理解している人がいるならば是非教えてほしいくらいだ。普通の人生を歩む。その普通は何なのだろうか。しかし、これだけは言えるだろう。全て普通に生きていたらつまらないじゃないか。少しぐらい普通じゃないものがあっても良いじゃないかと。


「普通って、そんなに大事なことなのか? 俺を見てみろ。普通じゃないだろ? 別に普通じゃなくてもいいんだよ。もし、普通じゃなくても普通じゃないなりに精一杯過ごせばいいんだよ。全て普通だったらつまらないだろ? それなら、少しぐらい普通じゃないことがあっても良いんじゃないのかと俺は思うよ」


「そうなんですかね?」


 彩芽さんは両目に涙を滲ませていた。俺の言葉にそこまで泣けるような言葉があっただろうか。俺は俺なりの意見を言っただけなのだが。


「きっと、そうゆうもんなんだよ。だから、俺は彩芽さんのことを応援してるよ。彩芽さんが俺を応援してくれてるのと同じくらい」


「私頑張ってみます。逆川さんのように!」


「そうかい。頑張れよ!」


「はい!」


 きっと、これが病院で会うのは最後になるだろう。俺は、走りに専念し、彩芽さんは頑張って高校へ行く。もし、ここで物語が終わるのならそれは素晴らしいハッピーエンドだろう。だが、まだ物語は終わらない。


「そうだ、彩芽さん。今年の12月の市のマラソン。俺、10キロに出るんで」


「分かりました。ありがとうございます。そんなことを言うってことはマラソンまでは会いに来ないってことですか?」


「そうだ。そして、彩芽さんは頑張って高校へ行く。きっと高校へ行けば毎日忙しいさ」


「それもそうですね……。それでは、また12月の市のマラソンで会いましょう!」


「ああ!」


 その日から、俺は走りに打ち込んだ。少しずつ、ジョギングの距離を伸ばしてゆきペースも上げていった。春が来て、すぐに過ぎ去り夏が来た。桜は散り、濃い緑色の葉を纏っていた。夏は、ひたすらに暑かった。できるだけ日中の練習を避け、朝と夕方に練習をした。記録会にも出た。結果は分かりきっていたが、僅かながらも自信に繋げることができた。夏が過ぎ、秋が来た。夏の暑さと比べだいぶ涼しくなり練習もはかどった。この頃から競技場でのペース走などといった練習も取り入れた。競技場はお金を払えば個人でも使うことができるため練習に最適なのだ。秋の記録会で、夏の記録会の記録を大きく更新することができた。体力がつき記録が伸びてきていると実感することができ、嬉しかった。嬉しさをバネに更に練習にのめり込むことができた。走れば走るほど速くなる。単純だがそれが嬉しかったのだ。


 そして、冬が来た。寒く長い冬が来た。昨年とは違う冬が来た。早朝のため、まだ薄暗い空にはどんよりとした分厚い雲がかかり、川面は凍りついている。しかし、その凍てつく氷の下には魚が泳いでいるのだろう。そんな事を考えるとなんだかほっとする。薄暗いというのに頭上に星は見えず気分がどことなく寂しいからだ。しかし、そんな事は関係ない。前だけを見て駆ける。そんな、俺の姿は周りからはどう見えているのだろうか? それを初めて聞いたのは柊の口からだった。得体の知れない怪物。その言葉はかなり衝撃的だった。しかし、走っていればそんなことは気にならなくなる。世間からどう見られているか? そんな事はどうだっていいのだ。応援してくれる人が数人いるだけでいいのだ。どこまでも続きそうな土手を走る。少し氷を含んだ冷たい風が吹き付けてくる。それさえも、俺は体から発せられる熱で吹き飛ばす。寒いのに汗が滲み出す。だんだんと体も暖まってきたらしく動きが良くなってきた。体が暖まると共に辺りも明るくなってきたようだ。朝日が眩しい。朝でしか味わうことのできないこの感覚が好きだ。爽やかでどことなく神秘的。太陽から届けられる一筋の光とでもいうのだろうか。先程までは全くと言って良いほど見えなかった周りの風景が少しづつ見えてきた。辺りはすべて田んぼだ。そのせいもあってか土手がまるで周りと隔絶された高速道路かのようだと改めて思う。近隣住民が1人ぐらい歩いていてもおかしくないだろうがこの早朝という時間帯はまだ寒いためか誰1人としてすれ違わない。俺だけがこの場にいて走っている。独占状態だ。少し気分も暖かくなり走るペースが速くなる。辛さは感じない。たとえ感じていたとしても今の状態を表すとすれば楽しんでいるのだろう。体を動かす、走るという行為自体を。俺にとって、走れない期間はかなり大きいものだった。走れることがどんなに幸せなことか、それを再認識することができたのだ。もうひとつ大きいのが彩芽さんとの出会いだろう。彼女と出会うことができたから俺は新しい目的を見つけて再び走り出すことができた。


 いよいよ、明日がマラソン当日だ。本番で目的を叶えるため、そして、感謝の気持ちを伝えるために俺ができることはゴールを目指してただひたすらに走ること。それだけだ。

読んでくださりありがとうございます。

人は目的などを見つけることで更に前進することができるのかもしれません。

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