6.夜
モーブは一人の男に連れられて、ある洞窟の中を歩いていた。
ヴァンパイアを知らないかと問われて数日が経過し、いまはこの男と共に行動している。ダンには実家の都合と嘘をつき、休暇をもらっていた。
さて、数日も経つと自分の置かれている状況も分かってくる。
「それで、今度はどんな化物をみせてくれるんだ?」
だからモーブはあえて、自分から男に問いかけた。
すると相手はクツクツと嗤って、しかし立ち止まることなく進んでいく。返答はなかった。それでも、この先に答えはあるのだと、そう語っているようでもある。
モーブは少しばかり釈然としない気持ちを持ちながら、それに続く。
それにしても、と彼は考えた。
この洞窟は妙に明るい。壁には何かしらの細い管のようなものが這っており、そこから稲光のような明かりが作りだされているのだ。
少なくともモーブの知識の中に、そのような技術はない。
相手にしているのが、ある程度の規模を持つ組織だということは分かっていた。だがそれにしても、これほどまでに常軌を逸した技術は理解が出来ない。
いったい何者なのか。
いかなる集団なのか。
答えの出ないそれを考え続けて、しばし進んだ頃。
唐突に視界が開けた。そこには――。
「なんだよ、これ……!」
モーブの想像を超える光景が広がっていた。
◆◇◆
「魔力型が一致、か……」
僕はアトリエで作業をしながら、ポツリとそう漏らした。
昼にフリーナさんから伝えられたこと。それを何度も反芻し、そしてそのことによる可能性をひたすらにたどっていた。
フランはいま、少し疲れたと言って部屋に引きこもっている。
いよいよ自分の母の手がかりが転がってきた。しかし、それは果たして彼女が望んでいた形なのか、それは分からない。
少なくとも僕なら、このような形では望まなかっただろう。
まさか、大型の魔物の残滓から――など。
「フリーナさんは調査を進める、って言ってくれていたけど……」
どうしても独り言が多くなる。
分からないことだらけ。こんな状況で答えを出そうとする方が間違い。そうは理解していても、考えてしまうものは考えてしまうのだ。
自分でさえそうなのだ。
だとしたら――。
「フランは……」
あの少女――僕の大切な家族、義妹の心労は計り知れない。
どう接すればいいのか分からない自分がもどかしいが、こればかりは待つしかなかった。窓の外を見て、僕は一つ息をつく。
だとすれば、これからの僕に出来ることはなんだろう。
そう思って、今宵は更けていく。
なんとか、身体復旧しました。
頭が追いついてませんが、投稿を続けます。
面白かった。
続きが気になる。
更新がんばれ!
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