7.戦いを終えて
「お、おい。本当にそんなんで、良いのか……?」
「良いですよ。というか、むしろこうでもしないと申し訳なくて」
――超大型ドラゴン討伐から、数日後のこと。
僕はダンさんに例の一件は自分の勝利だと告げられ、その裁量を任された。そして今ほど、こちらの要望を伝えたのである。
それというのは……。
「でもよ、それじゃあ俺様たちの方に利益が出ないか?」
「そうですよ。でも、喧嘩両成敗でいいでしょう?」
「それは、そうだが――」
ダンさんは、申し訳なさそうに言った。
「仕事の半分を譲渡する代わり、こっちにリアンの技術を教える――だなんて」
そうだった。
僕が申し出たのは、いわゆる妥協案のようなもの。
ダンさんの店が請け負っているギルドからの依頼を僕らも受けられるようにし、その上で僕の持っている技術を最大限、彼らに提供するという内容だった。
言ってしまえば、僕がダンさんのチームの仮ながらも一員になる。
そういうことだった。
「いやいやいや! 納得できねぇぞ、お前はこの街一番の加工師だろう!?」
「そんなこと、ないと思うけどなぁ……」
しかし、彼はなかなか承諾してくれない。
それどころかあの一件以来、僕に対しての扱いが大きく変わった。
「いいや、この俺様が認める! リアンは俺様たちの上に立つべき人間だ!!」
これ、このように。
延々と僕のことを持ち上げるのだった。
それは嬉しいことなのだけれど、正直なところこそばゆい。
「……そう、ですか。それなら――」
だが、とにもかくにもこのままでは話が前に進まなかった。
なので、さらに妥協案を提示する。
「店の経営はダンさんに一任するので、僕の扱いは仮の店主――ということで」
苦笑いしつつ、頬を掻いてそう告げた。
そうすることで、ようやく相手も納得してくれたのだ。
◆◇◆
家に帰るとフランが待っていた。
その顔にはなにか、決意をしたような表情。
「お兄ちゃん、話があるの……」
「………………うん」
場所は僕のアトリエ。
そこで彼女は深呼吸一つ、こう口にした。
「お願い、お兄ちゃん――」
少女は懇願する。
「お母さんを救うのを、手伝ってほしいの」――と。
ここまでで第二章です。
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