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狩人
浅霧アオイは追われていた。
獣道とも呼べないような木々の隙間を駆け上るアオイを、荒い息が二つ追いかける。
追手と付かず離れずの距離を保ち、山道を奥へ奥へと駆け上がっていく様は、まるで篝火が先導しているようだった。
事の発端は些細な因縁をつけられたことだ。逃げるアオイと、追う男たち。篝火が男たちの狩猟本能に火をつけたとき、アオイは獲物に、賞品へと変わった。アオイは躓いて転倒しかけ、体勢を立て直して再び距離を稼ぐ。白い脚が、小振りな臀部が近付く度、男たちは下卑た笑みを深めていく。
しかし追われるアオイの瞳の色には、怯えも恐怖も混ざってはいなかった。
それは紛れもない、狩人の目だった。







