アルッカへ
「ふぅ、お疲れ様。ここが問題のアルッカだね」
日が昇ってすっかり明るくなった頃、夜中をかけて歩き、アルッカに着いた。
隣町だし、すぐ着くので道中は特になにもなかった。
俺は、歩いてる途中で寝てしまったひよりを背負ったままでいた。
「おい、ひより起きろ。もう着いたぞ」
「ふぇっ。もう朝なの……」
「寝ぼけんな。もう俺らはアルッカに着いてんだ」
「まったく、おこちゃまは大変ね。どうしてすぐに眠くなってっしまうのかしら」
「う、ううるさい!!今起きたもん!!ふんっ!!」
「アハハ。鈴華さんもひよりちゃんも元気がいいねぇ」
「はぁ。お前ら緊張感なさすぎだろ。この中で狙われやすいのはお前ら二人だぞ」
失踪しているのは、20歳以下の女の子。
俺は、性別的に論外だし、見た目もイケメンな男の子に見える巡瑠も一回この町に訪れて帰還しているので危険性は少なそうだ。
なので、明らかに鈴華とひよりは狙われるだろう。
「けれど、私達を囮にして犯人の手がかりを探すのでしょう?」
「まぁ、言い方はあれだけどそうなっちゃうかなぁ。ボクの情報収集が甘かったせいもあるんだけど」
「いや、今回の件は仕方ない。口留めをされているみたいだからな」
「で、今回はどうする気なの?」
「俺とひより、鈴華と巡瑠の二手に分かれて情報を得たい。何かあったらどんな方法でもいいから知らせてくれ」
「やった~。黒鉄と一緒だね」
「私も黒鉄と二人きりが良かったのだけど」
「鈴華は変身能力も使えるからもしもの時は逃げれるだろ。期待しているから頼んだよ」
「フフッ。今回は仕方ないわね。我慢してあげる」
「よし。任務開始だ」
俺らはそれぞれ二手に分かれた。