突然の事
俺の名前は柊 斗真。
俺にはこの18年間、彼女ができたことがない。学校で仲の良い友達は皆男。彼女どころか女と話したことすらない。もちろんバレンタインでもらうチョコレートも毎年0。クリスマスだってボッチだ。
モテない人生。とてもつまらなかった。
ある時1つの考えが思い浮かんだ。
異世界に行こう
しかし方法はどうするのか。
行こうと思っていけるものなのか。
異世界へ行こうと思った理由は1つ。
恐らく美少女がたくさんいるから。
漫画やアニメなどでもそうだ。異世界の女の子は可愛いとにかく可愛い。
異世界へ行きたい。いつの日からか、そう思い続けていた。
「よし!今日はドラゴンハンターズの発売日だ!」
つまらない人生。そう思った俺は家に引きこもりひたすら好きな事をすることにした。親は仕事で忙しく滅多に家には帰らない。俺はここ一ヶ月間ずっと食っちゃ寝生活を送っていた。
「さっそく買いに行こう。」
一時期コンビニでバイトをしていた俺は多少の貯金はあった。そのお金でこのようにゲームを買ったり、食事をとったりしていた。外出はあまりしないので服はジャージだ。それさえあれば充分と言うのが俺の考えだ。
「それにしても…久しぶりの外は太陽が眩しいな」
一週間に一度買い物をするかしないか。外に出るのは久しぶりだ。太陽がやけに眩しく感じる。いつものジャージ姿で俺はゲームを手に入れるため、ビデオ屋へ向かった。
「あったあった。これだ。」
俺はゲームを手に取るとレジへ向かった。
「購入特典の限定アイテム…どんな性能なのかなぁ」
ゲームをプレイするのを楽しみにしながらパッケージを眺めながら家へ向かって歩き出す。
「危ねえぞ!にいちゃん!!」
「…えっ?」
ふと前を見ると信号は赤になっていた。パッケージに夢中になりすぎて気づかなかった。横断歩道の中。俺は立ち止まっていた。
ドンッ!
鈍い音が交差点に響いた。失いそうな意識の中霞んで見える風景に自分の血が染まって行くのがわかった。
俺は死んだ。つまらない人生だった。何もかも上手くいかず、せめて女の子にはモテたかった。
ーーーー
意識を失ってからどのくらい眠っていたのだろう。突然意識を取り戻した。
「生きてる…?」
いやそのはずはない。あれだけの事故だ。生きているはずがない。ましてや貧弱な俺が…
「目が覚めましたねっ!」
目の前には赤毛の女の子が立っていた。とびきりの美少女だ。
「ここは…どこだ?」
「ひょっとしてお兄さん記憶喪失かな?ここはヴァロン王国で一番栄えてる街、「ローザ」だよ!」
聞いたことのない国に聞いたことのない街。
「それにしてもお兄さん珍しい格好してるね?」
珍しい格好をしているのはむしろその女の子だ。ローブの様なものにマント。まるで魔法少女のコスプレの様だ。
「お兄さんお名前は?私はリディ!」
明らかに日本人の名前ではない。もしや別の国に送られたのだろうか。
「俺は…柊…柊 斗真だ」
「ひいらぎとうま?珍しい名前だねぇ」
おかしい…まるで。
「もしかして…俺は…」
「ん?どうかしたの?とうま?」
異世界へ転生したのだろうか。
「なあリディって言ったっけ。」
「うん!そうだよ!」
「リディは魔法が使えるか?」
気になっていた。もしここが異世界だとしてこの少女の格好。ローブの様なものにマント。それに魔女が持つ様な杖。魔法の1つは使えそうだ。
「色々使えるよ!火の魔法に、水の魔法、風の魔法に…」
やはり。どうやら俺は異世界へ転生した様だ。
「なあリディ。」
「どうしたの?斗真」
俺は決意をした。この世界で俺は…
「俺と恋人同士になってくれないか?」
「はうっ!?どうしたのいきなり!」
この反応。やはり異世界へ転生したとしてもモテないのには変わらないのだろうか。
「でも…斗真のこともう少し知ったら、考えてもいいなぁ…」
あれ?意外と…
「その、じゃあまずはお友達からだねっ!斗真くん!」
モテる!!そう確信した。
そう、俺は決意したのだ。
モテない俺が異世界でハーレムを作り上げると。