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ヒマワリ  作者: RAIN
3/3

第2話:出会い

  もう、どのくらい歩いたんだろう・・・・?歩いても歩いてもたどりつかない。

  一歩一歩、足取りが重くなってきていた。・・・希望に満ちた旅立ちだったはずなのに。

  自分を変えたい。その一心でここまできたはずなのに。・・・わかってる。わかってる

  けど・・・


  地面は冷たい灰色。コンクリートでできた建物もおんなじ灰色。数えきれないほどの車の

  数。あたりは人、人、人。人であふれ返っている。・・・・異世界・・・・そう。

  ここは、東京と言う名の異世界なのだ。

  

  それでも、進んで行くと、人気のない路地に出た。ひなたは、重い足を引きずるようにし  て、その路地を進んだ。


           ・・・・・その時だった・・・・・


  ふわりと小さな白いものが足元におちた。何気なく足元を見てみると・・・・

  

        「・・・・あ、・・・・」


  ・・・・それは小さな桜の花びらだった。白に見えたその花びらは、よく見ると薄いピン  ク色。つまり、桜色だった。この色を桜色というのだと改めて実感したひなただった。


        「・・・・桜・・・こんな所にも咲いてたんだ・・・・」

            

  見上げると、なんと、見事な桜並木がそこに広がっていた。


        「うわぁ・・・」


  そうだ。下を向いても仕方がない。私は・・・自分を変えるために・・・新しい自分にな  るためにここへやって来たんだ。 ここからがんばらなくちゃ。・・・うん。


  ふわふわと空を舞う桜の花びらが、ひなたの重い心もふわふわと軽くして、空を一緒に舞  った気がした。


  そこからは簡単だった。軽い足取りでどんどん進んで行った。桜並木は、学校までずっと  続いていた。  ・・・・それもそのはず。なぜならここは・・・・・


     「あれ・・・?ここ・・・どこだろ?」


  ひなたはあの桜並木の中をまださまよっていた。もともと方向感覚には自信がないのと、

  学校への地図を全く理解できていないのとでさらにさまようという結果になっているので  ある。  こうなったら誰かにきくしかないだろう。・・・でも誰に・・・・?

  こんな人気のない場所に人なんかいるわけが・・・・・


  ・・・・その時、ひなたの目に、桜並木の道をほうきで掃いている人がうつった。

  

      (・・・・そうだっ!あの人に道をきけば・・・・)


  知らない人に声をかけるのは少し気がひけたが、勇気をだしてきいてみた。


      「すっ、すみません・・・・あのぉ・・・」


  声をかけられた人は、ほうきの手を止め、ふりかえった。

  

      「・・・はい。なんですか?」


  ふりかえったその人は、ひなたと同じくらいの人で、赤いチェックのスカートとリボン、

  紺色のブレザーの下にクリーム色のセーターをきているのがわかる。学校の制服なのだろ  う。制服をきた人なら電車でもみかけたけれど、雰囲気がぜんぜん違った。きちんとふた  つにしばった髪、ひざがかくれるほどのスカートの丈、崩していない制服。優等生。そん  な雰囲気のただようその人は、美少女。その言葉に嘘がないほど美人だった。

  ・・・・相手がそういう人だったのでかえって余計に緊張してしまった。しかし、勇気を

  だしてきいてみた。


  「・・・あっ、あの・・・桜並木中学校ってどこにあるか教えていただけます・・か?」


  「桜並木中学校ですか?」

 

  「・・・あ、ああ、はい!そ、そうです。」

 

  「でしたら、桜並木中学校はこの学校ですよ。」


  制服姿のその人はやさしそうに、にっこり笑った。


  「あ・・・え・・・?そうなんですか?」


  ・・・・そう。ひなたがずっとさまよっていたこの桜並木の中こそ、ひなたの目指す学校

  だったのだ。「桜並木中学校」ならわかってもいい気もするが・・・・・・


  「はい。・・・あ、もしかして、転校生?」


  「え?な、なんでわかったんですか?」


  「それは、その様子をみてればわかるわよ。」


  「え、そ、そうですか?」

 

  笑ったのにつられて、ひなたも一緒に笑ってしまった。


 「・・・あ、そうだ、転校してきました小春ひなたです。よ、よろしくおねがいします。」


 「あら、こちらこそ。私は 桜木さくらぎ あい。わからないことがあったら色々と

  きいてくれたらうれしいわ。」


 「あ、ありがとうございますっ!」


 「そんなに力入れなくてもふつうでいいわよ。 ・・・そうだ、小春さん、私が教室まで案  内するわね。」


 「ありがとうございます。・・・桜木さん。」


 そう言うと二人は校舎の中に入って行った。

 

 



























    



































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