プロローグ
青い空の下で、ひまわりが揺れていた。
太陽が眩しい
セミの鳴き声がする
真っ黒な服を着た私は、真っ黒な服を着た叔母さんに手をひかれて歩く。
空には、わたがしのような入道雲がうかんでいる。
青い空の下で、ひまわりは 笑ってた。
叔母さんに手をひかれてやってきたその場所は、私と同じ黒い服を着た人で
いっぱいだった。
みんな 泣いてる
ここがどこかは わからない でもここにはいたくなかった
木でできた箱をのぞいた 菊の花の匂い 眠っている
『・・・お父さん・・・お母さん・・・』
ここにいるのが嫌になって、外へとびだした。外はひまわりでいっぱいだった。
お父さんに肩車してもらって歩いた ひまわり畑
お母さんが きれいね と笑った ひまわり
背の高いひまわりは、空を見上げてる。
そんなひまわりを私も見上げてた。
・・・・ヒマワリ・・・・
ヒマワリは どんな香りがするんだろう?
小さな私は 見上げることしかできない。
・・・・目をつぶって大きく息を吸いこんだ・・・・