買い物1
すみません。
かなり投稿が遅れました。
全員が起き、龍弥はボックスの中にある食料を机に並べる。
「タツミ〜朝から干し肉ってどうなの?」
席に着くなりイルが龍弥に言う。
龍弥は気にすることなく自分の皿にある干し肉と昨日買った黒パンとミルクを味わっている。
「タツミ〜聞いてるの?」
「イル、お前は朝が苦手なのか?」
「良くわかったわね〜」
野宿では気を抜いていなかったからか分からなかったが、イルは起きてから10分ほど着替えもせずにずっと気だるそうにしている。
「イル、顔を洗ってらっしゃい」
ジルが言うとイルはゆっくりと魔法で桶に水を入れていき、顔を洗っている。
「ジル、イルは水魔法じゃなくて氷魔法じゃなかったか?」
「タツミ様、派生魔法はその元にあった魔法をある程度使えるのです」
「だから氷魔法でもアクアぐらいは使えると」
「はい」
龍弥は納得すると食事を再開した。
その龍弥をじっと見つめる者がいた。
side真奈
(タツ君あんなに硬い干し肉を一生懸命食べて、そんな所も可愛いくて大好き!干し肉が好きなのかな?)
「タツ君私の干し肉食べる?」
「なんだ、真奈は干し肉が嫌いなのか?」
「そんなことはないけど、タツ君一生懸命食べててかわi・・・好きなのかなって」
「まぁ、嫌いじゃない。だが朝食はちゃんと摂った方がいい」
「そ、そうだね」
(タ、タツ君が私の体を心配してくれてる!やっぱり照れてるだけで私のことをちゃんと思ってくれてるのね?私タツ君の役に立てるかな?役に立ってご褒美貰いたいなぁ〜、タツ君のシャツ・・・)
side out
side龍弥
(なんで真奈は両手で顔を覆って赤面してるんだ?)
龍弥は一瞬心配したが、向こうの世界でも真奈は偶にこうなって、いつのまにか普通に戻っていることを思い出し放っておくことにした。
食事を終え、それぞれが着替え終わると詳しく今日の予定を話した。
「昨日言った通り俺とイルで買い物に行く、真奈達は3人で必要なものを頼む。俺とイルの分はこちらで用意するから気にしないでくれ。昼になったらダンジョン前に集合だ、それまでに昼食も済ましておいてくれ」
皆が頷くのを見ると龍弥達は最後に部屋にあったものをボックスへ入れ宿を出、それぞれ別行動を開始した。
side龍弥、イル
まず2人はイルと龍弥の間で奴隷蕉紋を入れに奴隷商会へと向かった。
着いた奴隷商会は王都の店よりは小さいが店から出て来た店主は太っていてそこは王都とも変わらなかった。
「いらっしゃいませ、本日はどの様な御用で?」
「あぁ、この奴隷と奴隷蕉紋の契約を結びたい」
「しょ、蕉紋ですか?」
店主は聞き間違えかと聞き直す。
「そうだ、蕉紋で間違えない」
「か、畏まりました。此方へお入りください」
店主は龍弥とイルを店内に案内した。
そして一室に案内すると暫くお待ちください、と言い部屋を開けた。
「タツミ、本当に入れるのね」
「なんだ、怖いのか?」
「そうじゃないの、私なんだか嬉しくて」
「今から俺の奴隷になるんだぞ?」
「それでもよ」
「そうか」
「タツミ・・・ありがとう」
「気にするな、その代わりちゃんと強くなってもらうからな」
「任せなさいっ!」
イルはニコッと笑うと龍弥は頭を撫でた。
そこへ店主が3枚の紙とペンを持ってやって来た。
「お待たせしました、何せこの店で奴隷蕉紋を入れる方は初めてなもので、昔買った専用の器具は仕舞ってありました」
「そうか、早速だが頼む」
「畏まりました。では、こちらの契約書にサインをお願いします。後はこちらの2枚の紙にそれぞれの血を垂らしてもらえれば完了です」
「分かった」
龍弥とイルはそれぞれ契約書にサインし紙に血を垂らした。
店主が短く呪文を唱えると紙に垂らした血が鎖の紋様になり、紙から浮くと2人の左腕にその鎖が巻きついた。
「これで契約完了となります。ご存知でしょうが、この契約は二度と解除できません。最後に契約料の小金硬貨1枚をお願いします」
「これだ」
「ありがとうございました!またのお越しを」
店主は笑顔で龍弥達を見送っていた。
龍弥の横では契約後ずっと自分の腕を見ているイルが居た。
イルはニコニコと嬉しそうにその紋様を見ていた。
「タツミ!」
「ん?」
「フフッ!何でもない!」
イルは歩きながら嬉しそうに腕を見続けている。
龍弥もそんなイルを見て自然と頬が緩む。
2人は出発を前に一時の幸せを感じていた。
side out
side真奈、ジル、マリア
「今頃タツミ様とイルは2人で買い物をしているのですか・・・」
「別に私たちは出来ないって訳じゃないんだから良いじゃない」
「あら、マナさんは随分余裕ですのね」
ジルは挑発的に真奈に言うが、真奈は特に反応もせず返す。
「当たり前じゃない、子供の頃からずっと一緒にいて、好きな物から、好きな色、好きな本や好きな飲み物、ここ最近履いた下着や、って何言わせるのよ」
「別に言わせてないわよ」
3人は丁度服屋を出て野宿に必要な器具を買いに行くところだった。
「そう言えばマリアは何処でタツミ様と出会ったの?」
「私ですか。私は奴隷として売られていたのをタツミ様に買っていただきました。」
「貴女奴隷だったの?!」
「はい。何か驚くことでも?」
「内の城にも貴女ほど完璧に家事や戦闘ができるメイドはいなかったわ」
「貴女の国のメイドと一緒にしないでください。」
「それもそうね」
店に向かい大通りを歩いていると人だかりが見えた。
「なんだろう」
3人が人だかりに近づくにつれ罵倒や喧騒が聞こえてくる。
人だかりの中心では赤い髪をオールバックにしたローブを着た男がスキンヘッドの男2人に殴られていた。
男は抵抗するでもなくじっとしている。
「タツミ、喧嘩?」
「いや、喧嘩にもなってない」
龍弥は赤髪の体の表面をじっと見ていた。
(纏魔か・・・鑑定)
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NAMEーブレイ
JOBー偵察部隊隊員(ベーゼル帝国)
LEVELー32
HPー500
MPー135
STRー66
INTー240
AGIー70
SKILL
・火魔法LV3
・消気LV2
・糸術LV4
TITLEー糸術士
乗り越えし者
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(スパイか、なら此処は乗ってみるのも良いな)
龍弥は特に驚きもせず目の前で殴られ続けている赤髪と男達の間に入った。
「何をしている」
「あぁ?誰だオメーは」
「通りすがりの旅人だ、少しやり過ぎているように見えたんでな」
「オメーには関係ねぇだろ?それとも何だ、正義のヒーローにでもなりてぇのか?」
「この男を殴っていたのは何故だ?」
「オメーにはかんけi「ゴール、待て」な、なんでぇ兄貴」
スキンヘッドの男達が龍弥に殴りかかろうとしたタイミングで人ごみの中から髪は長く無精ヒゲを生やした男が来た。
「あんた、この男の知り合いか?」
「そういうわけではない」
「じゃあ本当に見かけたから助けに来たってか」
男は品定めするように龍弥を見る。
「この男はあんたの顔に免じて許そう」
「あ、兄貴!」
「まぁ待て、その代わりあんた俺の店で買い物をしてくれ」
「買い物?何を売っている」
「それは着いてからのお楽しみだ、どうだ?」
「・・・それでいい、この男も連れてくぞ」
「好きにしてくれ」
男はそう言うとスキンヘッドの男達を連れ裏路地へ入っていった。
「タツミ、平気なの?」
「あぁ、あの男は武器の職人だ」
「この男は?」
「それはあとで話す」
龍弥はイルと共に男のあとについていくのだった。
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