真奈、ジル、イルVS少年
side真奈&イル&ジル
空が木に覆われ見えない深い森に3人の少女がいた。
「マナ!何処なのよここ!」
「分からない。ただ、一つ言える事があるの」
「なに?」
イルとジルが真奈に注目する。
「近くにタツ君が居ないわ」
「「・・・」」
「タツ君がもし1人になった所に追ってが来たりしたら、でもタツ君ならあんなに強いし平気よね。それでももしもの事があったらどうしよう。そんな事になったら私・・・」
「マナさん落ち着いて、私達がタツミ様を信じないでどうするの?
それより早くここから出てタツミ様に会いに行きましょう?早く・・早く会いたい、どうすればここから出られるの?そもそも此処に私達を閉じ込めてるのは誰?!折角タツミ様と食事をしていい雰囲気だったのに何でそr」
「お姉様落ち着いて、それより私達を此処に連れてきた者いるという事ですわ、その者を討てばタツミに会えるんでは?」
「はっ、イル、いい子ね。そうよ、私達を此処に連れて来た者が居るはず。探しましょう」
「その必要はありませんよ」
真奈達が声のする方を見ると木の陰から1人の少年が出てきた。
青眼の少年はサラサラと金髪の髪を撫でると卑しく笑った。
「あんたが私達を此処に連れてきたの?」
「イル!」
イルが少年にズンズンと迫る、少年の口角が上がるのを見たジルがイルの腕を掴み後ろへ引っ張る。
その瞬間イルのいた地面から木の根が勢い良く突き出る。
「な、なに?!」
「あーあ、もう少しだったのに」
「イル平気?」
「はい、大丈夫です」
イルは直ぐに落ち着き突き出ている木の根を見る。
「何の魔法か分からないでしょ?僕はユニークスキルを持ってるからね!」
少年はドヤ顔で真奈達にそう言うが、真奈達はヒソヒソと話すだけである。
「僕の話を聞け!」
少年の声と共に地面から複数の根が出て真奈達を襲う。
「ウォーターバレット!」
真奈がそう唱えると手から5つの水弾が出て木の根を砕いた。
「やるねぇ、次はこれだ!」
少年の後ろから幾つかの根がまとまり巨大な根となり真奈達に向かった。
2人の前にジルが飛び出す。
「陽の光よ我が身を守れ!サンライトウォール!」
ジルの前には大きな暖かさのある光の壁が現れ木の根を受け止める。
「真奈!今よ!」
「うん!アクアスピアッ!」
真奈から少年に向かって大きな水の槍が放たれる。
「そんなんじゃ僕まで届かないよ」
少年が指を振るとアクアスピアーの前に幾つもの木の根が現れる。
アクアスピアーは木の根を粉砕していくが5本目でその威力を失いただの水となり地面へと落ちた。
「あの根っこが、面倒ね」
「お姉様、マナ!私があの根っこを止めるからその隙に彼奴を討って!」
「できるの?」
「お姉様、私に任せて!」
イルは懐から何枚かの紙を取り出した。
紙の表には円がありその内側に幾何学的な模様が書かれていた。
相手もそれを黙って見ているわけもなく木の根をイルに伸ばす。
木の根がイルを貫こうとするのを真奈が横から魔法を放ち阻止する。
「イルここは私達に任せて集中して」
「マナ、ありがとう」
真奈はジルに振り返ると頷いた。
「私は左から、ジルは右からお願い」
「わかりました」
2人は左右から少年に回り込む、途中木の根が2人の邪魔をするが、真奈は魔法で、ジルは刺剣に魔纏で光魔法を纏わせ木の根に穴を開けていく。
「き、木の根がッ!」
少年は木の根が簡単に敗れていくのを見て焦ったように言う。
「これで終わりよ!」
「呆気なかったわね!」
真奈はアクアスピアで、ジルは刺剣で少年の胸に穴を開けた。
「が、がはッ!」
少年は地面に膝を着き口から大量の血を流す。
「最後は楽に死になさい」
ジルはそう言って少年に魔法を放つ。
少年の上半身は跡形もなく消え去った。
「イル!敵は倒したわよ!」
ジルはイルにそう言うとイルがこちらを指差して何かを叫んでいる。
「後ろを見て!」
咄嗟に後ろを見ると、そこには全身が木で構成された様な3mはある人型の化け物がいた。
「グォォォォォォォッ!」
木の化け物は咆哮すると真奈とジルに全身の木の根を向けた。
一つ一つが地面に深い穴をあける様な木の根が2人を襲う。
2人は木の根を器用に避けイルの元へ戻った。
「イル!さっきの魔法陣の準備まだ?」
「もう少しです!」
木の根がジルを左右から挟むが、寸前で上に飛ぶと刺剣から魔力の刃を放ちそれを輪切りにした。
木の化け物は真奈とジルを交互に見るとその身体を小さくしていった。
最後には少年が元の姿でそこに立っていた。
「思っていたよりもずっと強いね」
「マナ、少しの間彼奴をの気を引いてて」
「わかったわ」
真奈は一歩前に出ると掌を少年に向けた。
「いくわよッ!これを避けられる?ウォーターバレット!」
真奈の前には掌サイズの魔法陣が幾つも展開され、無数のウォーターバレットが少年に向かった。
ズドドドドドドドドドドドドッ!
少年の元に着いた水弾は容赦無く少年を蹂躙した。
しかし、水弾の雨が止むと其処には木の根で作られ、その中で身を守る少年がいた。
「その程度じゃあ、全然効かないよ?」
「これならどう?」
いつの間にか木の上からに登り少年の上まで移動したジルが、木の根の上ごと少年へ魔法を放った。
その魔法は木の根ごと少年を切り裂き真っ二つにする。
「まだ生きてるんでしょう?出て来なさい」
ジルがそう言うと木の陰から少年達が現れた。
そう、周りにある全ての木の陰からである。
『そうだね、まだまだ居るよ』
少年達は一斉にイルに迫る。
真奈とジルはイルに駆け寄り魔法を放つ。
「アクアウェーブ!」
「陽の光よ我が身を守れ!サンライトウォール!」
真奈の放った水壁とジルの光の壁は少年達を抑える。
しかし、化け物と化した少年は木の根が際限無3人を襲う。
「イル!まだ?!」
「出来た!2人とも魔法を解いて!」
2人が魔法を解くと少年達をさが一気に押し寄せる。
「際限なき氷結!」
イルの詠唱と共に足元に複雑な魔法陣が広がり3人を囲ったところで止まる。
「イル!間に合わないわ!」
「お姉様、もう終わってます」
「え?」
周りを見ると空中で襲ってくる少年達がその場で止まっている。
その顔を見ると表情も変えず止まって、木の根や化け物も例外は無い。
真奈が進もうとすると見えない壁にぶつかる。
「痛ッ!な、何これ」
真奈は見えない壁をコンコンとノックする。
「冷たッ!これ、氷?」
「そうです、全く無駄の無い氷は殆ど見えないほどの透明度です」
「イル、貴女こんな事出来るのね」
「コレは龍弥に教えて貰ったのです」
エッヘンと無い胸を張ってドヤ顔をした。
「本当に凄い」
真奈がイルの魔法に感嘆しているとゴゴゴと地面が揺れた。
直後イルの背後の地面から木の根が飛び出す。
「油断シスギッ!」
地面から中途半端に化け物と化した少年がイルを襲う。
「「イルッ!」」
しかし、2人の叫びは響くだけでそれ以外の音は立たなかった。
少年は地面から上半身を出した状態で動かない。
「大丈夫です、もう止まってますから」
「どうなっているの?」
真奈が不思議に聞く。
「この魔法は魔力も凍らせるので、魔法を凍らせると、その魔法から魔法を放った人物まで魔力の残留を辿って凍らせるのです」
「へ、ヘェ〜」
真奈はピクピクと頬を痙攣させながら言った。
イルの言っていた事は本当だが、この魔法は、一定以上の達人など魔力の残留を残す無駄をなくした者達へは効かない事や、発動までの時間がかかりすぎるため、弱点はそれなりにある為、連発出来るようなものでは無い事をイルは真奈達に説明しなかった。
少年が凍り、暫くすると結界が解け、3人は夜の街に戻った。
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