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異世界に来た黒の勇者  作者: アマ
24/36

奴隷焦紋



side龍弥


「タツミ様〜!」

「誰?」


真奈は初めて聞く声の人物を龍弥に聞き、龍弥は認めたくない思いと共に後ろを見た。

そこには満面の笑みのジルと浮かない顔をしたイルがいた。

(イル?・・・まさか国を追い出されるとまでは思わなかったな)


龍弥が考えている間にジルの馬が馬車に並んだ。

「タ、タツミ様!やっぱりタツミ様が居ない所になんて居ることができませんわ!」

(完全に闇魔法をかけ過ぎたな)


ジルの目は少し血走っていて話しかけられた龍弥は少し引いていた。

「タツ君?誰?あの子達は」


そして真奈の表情はいつもの明るい物から暗く何か黒いものを感じさせるものになっていた。

「真奈、少し待て。ジル!一旦止まって馬車に乗れ、それから事情を詳しく話せ」

「分かりましたわ」

「マリア、馬車を止めてくれ」

「・・・・。」


馬車は止まらず走り続ける。

龍弥はマリアにの顔を見るが無表情なままだった。

「おい、聞こえているか?」

「・・・タツミ様、あの女は必ず旅の邪魔になります。」

「・・・いいから止めろ」

「・・・はい。」


マリアは龍弥に命令されてやっと馬車を止めた。

馬車を道の端に止めジルが話を始め用とした。

「まず、なぜわたs「待ちなさいよ!」・・・何ですか?」


ジルが話を始めると、途中で真奈が割って入った。

「貴女は誰なのよ、あと何でタツ君と腕を組んでるの?」


真奈はジルに指をさし不機嫌そうに言った。

「すみません、私はこの国の第1王女だったヴァージェル・シーン・アルダビールと言いますが、王女の地位は捨てたので今はただのヴァージェルです。そして私はタツミ様の奴rゴホンゴホン、恋人デス。それと貴女こそ何でタツミ様と腕を組んでるのですか?」

「こ、恋人?!タ、タツ君!それ本当なの?!」

「嘘だ」(ジルの奴、今恋人の前に何て言おうとした?)

「そ、そうよね、ふぅー。私は葉月真奈、タツ君の幼馴染よ!幼馴染なら腕を組む位普通よ」


たつみは真奈とジルの言い合いは終わりそうもないと思いマリアの隣に移動した。


ギュ


「何してるんだ?」

「腕を組んでますね。」

「何でだ?」

「言う必要が有りますか?。」

マリアは何時もの無表情でそう言った。

龍弥は無理矢理腕を抜くと腕を胸の前で腕を組んで話を進めた。


「で、何でジルはここに居るんだ?それとさっきから喋らないイルも」

「はい、私はさっき言った理由が殆どですが、あのまま国に居ると処刑される可能性が高かったので国を出ました」

「処刑までされるか?」

「私は間違いなく処刑されると思ってます」

「・・・何故そこまでされると思った?」

「はい、まずモーブデブは私達先代の血を引いている人間が気にくわないのです、モーブデブとお父様は元々同じ学園に通っていたのですがそこで色々とあったようです。

詳しいことは私もわかりません。

次に私を処刑しても口を出す人間があの城には居ないからです」

「そんな器の小さい奴が王であの国はどうなんだ?」

「年々スラム街の人口が増えたり、商人がモーブデブの横暴に嫌気がさして国から出て行くなど、目に見えるほど衰退してます」

「まぁ、あの国のことなんてどうでもいいんだがな。纏めるとお前は国に居ても死ぬだけだから俺のところに来たと」

「はい」

「それで俺にメリットはあるのか?」


ジルは少し考える素振りを見せ直ぐに言った。

「私とイルに奴隷の首輪を付けて奴隷の様に使うのは如何ですか?」

「却下だな、面倒だ」

「ではどうすれば宜しいですか?」


ジルは困ったように眉を垂れ下げていた、そこでずっと黙っていたイルが言った。

「わ、私の初めてを上げるわよ!」


龍弥はいっしゅん何を言っているのかわからなかった。

そして横からジルがさぞ当たり前かのように言った。

「当たり前じゃない」

「「え?」」


その言葉にイルと真奈が反応した。

「さっきから奴隷になるとまで言ってるんだから、そんなの当たり前じゃない」


イルは何も言えず口を開いたままにしている。

そこに

「わ、私は認めないわよ!何でタツ君の初めてを貴女達なんかに渡さないと行けないのよ!」


真奈がパニックに陥った様に言った。

その直後にジルが爆弾を落とした。

「え?タツミ様は初めてじゃ無いわよ?」

「え?」

「少なくとも私とはしたもの」

「「「・・・・・」」」


暫くの沈黙が続いた。

そしてそれを破ったのはマリアだった。

「タツミ様。そんな話より今後をどうするかの話をするべきです。」

「そうだな」


龍弥はジルとイルをどうするかを悩んでいた。

(ジルが使えるのは分かってるがイルがわからないな)

「イル」

「な、何?」

「ステータスを観る。それでお前が使えそうなら連れて行く、それでいいだろ?」


龍弥がジルとイルにそう言うとジルが自信たっぷりに頷いた。

「じゃあ観るぞ」


そして龍弥はイルのステータスを覗いた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


NAMEーイル・シーン・アルダビール

JOBー読み人

LEVELー5

HPー300

MPー2000

STRー15

INTー800

AGIー10


SKILL

・氷魔法LV2

・癒し人LV2

・魔法陣創造LV1

・速読LV2

・幸運LV4


ユニーク

・分割演算LV2


TITLEー残され続ける者

ーーーに愛されし者




ーーーーーーーーーーーーーーー


イルのステータスは極端に偏っていた。

(一緒に召喚された勇者よりINTが高いな、ステータスは使えることは使えるが本人がな)


「イル」

「な、なに?!」


突然声を掛けられたイルは肩を震わせ驚いた。

「お前のステータスは俺にとって利益になる、だがそれはお前自身が俺にその力を貸す、いや、捧げるかどうかによる」


イルは龍弥に目を合わされたまま唾を飲んだ。

そして何かを決意し言った。

「・・・私は怖いの」

「・・・なにがだ」


その問いにイルは龍弥の目を言いながらポツポツと答えた。

「私はこれまで父や母、義父に媚びながら生きてきたわ、そして悉く捨てられ、離れていったわ」

「・・・」

「お父様達だけでなく同年代の貴族にもただ利用されただけ、本当の友達すらいなかった」

「・・・」

「でも、貴方は下心もなく王女だからという卑しさもなく普通に接してくれた」

「・・・」

「そんな人にまで捨てられたら私は立ち直れない!それが怖いの!」

「・・・そんなことか」

「そんなこと?!」


イルは龍弥の軽い反応に怒りの表情が顔に出ていた。

「聞け。なら『奴隷焦紋』でも入れるか?」

「えっ?」


龍弥のいう奴隷焦紋とは一般的な奴隷契約とは異なりかなり複雑で異常なものだ。

一般的に奴隷契約は契約書を媒体に首輪に主の血液と奴隷の血液、見届け人の血液を垂らし契約する物だ。

一方、奴隷焦紋は体に直接契約紋を刻み永遠の契約をする事だ。

この2つの違いは

・契約の解除不可能

・契約成立と同時に魂である程度結ばれる

一つ目は奴隷が死ぬ事で解除される、また主が死ぬと奴隷も死ぬ事になる。

二つ目が異常で、魂が結ばれることでハグれることも、逃げることも、一定距離を離れることも無くなるのだ。

魂自体を2つで1つとみなされて殆ど運命共同体のような関係になる。

そして魂で結ばれるということは、相手の考える事が多少わかったり、感覚が共有出来たり、ステータスまでいじること出来たりする。

勿論、普通の貴族がわざわざ、奴隷と魂を結ぶはずもなく、この契約は使われることがない。

この契約は元々精霊焦紋と呼ばれ妖精と人間が契約する際に使う契約を改造したものだった。


それを知っているイルは目を見開いた。

「それって・・・」

「魂で結ばれるという事だな」

「いいの?」

「逆にお前は俺の奴隷になっていいのか?」


イルはとても良い笑顔で答えた。

「うん!」




最後まで読んでいただきありがとうございます。

誤字、脱字、アドバイスがありましたらメッセージやコメントで指摘していただけると助かります。

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