イルの計画2
sideイル
私は義父様の私兵に連れられて義父様の部屋の前に来ていた。
「この先はイル様1人で来る様にと伺っております」
「分かったわ」
コンコン
「失礼します」
「・・・」
部屋に入る私を義父様はをッと見てから話し始めました。
「イル、なぜ呼ばれたか分かっているな?」
「は、はい。黒の勇者の脱走の事です。ですが!直ぐに捕まえてまいります、どうか今ひとつ私に機会を下さい!」
「・・・イル、私はお前にはとても期待していた」
「で、でしたらもu「二回目は無い」・・・」
そして義父様は諦念の表情を浮かべて言った。
「お前の王位を剥奪しこの城から追放する」
「えっ?」
「通常ならここまでの大きな依頼を失敗したものなら処刑も珍しくもない、だがお前だからこそこの城から追放するだけで済ますのだ、分かったら出て行け!」
私は訳がわからないまま部屋に入ってきた義父様の私兵に連れられて言った。
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sideモーブデブ
「やっとですね」
私の親衛隊隊長でムースの兄であるフリーズルが言った。
「あぁ、あの娘は先代の娘だが使えた、だがお前の調査によると、あのタツミとか言う黒い勇者のなり損ないに惚れかけてたんであろう?」
「はい」
「そんな不良品要らぬわ。あと先代の血を引いてる邪魔者はヴァージェルだけだな、あいつは美しいが危険だ、なんせお前と互角かそれ以上の力があるからな、暗殺がいいがそう簡単には行かないのが面倒なところだ」
「モーブデブ様、よろしいでしょうか」
「どうしたのだ?言うてみよ」
「第1王女のヴァージェルは今朝方から行方不明でございます」
「なに?!」
「私たちが黒の勇者を見張っている間に消えておりました」
「そうか・・・まぁ、あいつに行くあてなどない、この城でも精神的に参っていたし自殺でもしてるのではないか?ハッハッハッハッ」
「その可能性もありますが一応捜索隊を出しますか?」
「いや、あいつはもう戦える精神はない、イルがいない今はノコノコ帰ってきたら処刑してしまおう。そうすれば先代の血を引く者は居なくなり、この国がやっと私のものになるというものだ」
「分かりました」
フリーズルは一礼して部屋を出て行った。
(それにしても今回の勇者召喚は2人しか使えるのがいないな、あのデカイ奴とアキとか言う女も図書館に居るだけで使い物にならん。スラムの人間を使ってもう一度召喚をするよう命じるかく)
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sideイル
私は私兵に連れられ、これまでの扱いが嘘のように門から放り出された。
私兵は私を見向きもせず城へ戻っていく。
「・・・・」
下を向いているけど目の焦点が合わない。
視界は歪み、目からは涙が溢れるのがわかる。
私は第3王女で国王の娘・・・
私はこの国の王女・・・
私は・・・
私は・・
私は・
「行きますよ」
?!
突然声を掛けられ体を震わせて、ゆっくりと声のした方を見た。
「早くしないと置いていきますよ」
そこにはいつもと違って軽く動きやすそうな鎧を纏ったお姉様がいた。
「なん・・で?」
「まぁ、妹っていうのもあるけど、殆どタツミ様の為ね。話しは後にしてさっさと行くわよ」
「えっ?えっ?」
お姉様は私の手を取って近くにいた馬に私を乗せた。
「落ちないようにしなさい」
お姉様は持っていたバックからマントを取り出し後ろから私を覆う様に乗りそのまま馬を走らせた。
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長い時間が経ちマントが取られると当たりは太陽が沈みかけ空が琥珀色に染まっていた。
私はどの位馬に乗っていたのかマントで外が見えなかったため感覚が少しずれたのだと思う。
ふと前を見ると一台の馬車が見えました。
「もうすぐよ覚悟しなさいね」
「・・・?」
お姉様はそれだけ言うと前方の馬車にドンドン近づいた。
そして
「タツミ様〜!」
と叫んだ。
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