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異世界に来た黒の勇者  作者: アマ
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出発と行き先



side龍弥


目が覚め窓から外を見るが、まだ日は出ていなかった。

ここまでは計画通りだが、其処からは計画と違った。

「何故いる、と言うかどこから入った」

「おはようございます。タツミ様。」


ベットのすぐ隣にはマリアが立って龍弥を見下ろしていた。

何故かマリアの無表情の表情に微笑みが見えた・・・気がした。

「俺は何故ここにいるか聞いた」

「メイドとは何時でも主人の側で尽くしている者と認識しています。」

「・・・そうか、誰にも気付かれてないな?」

「はい。」

「分かった、早速だがいくらで捌けた?」

「はい、最大限まで高く売り捌いた結果8000万kでした。」

「分かった、早速だがもう出るぞ」

「かしこまりました。」


龍弥はベッドから出ると予め買っていた黒い外套で身を包んだ。

そして、扉からは出ずに窓から飛び降りた。

龍弥は着地すると直ぐに抜け穴を潜り城を出た。

後ろを振り返るとマリアは一定距離をピッタリとついてきていた。

龍弥はまだ暗い街中を奴隷商会に向かって駆けて行った。

奴隷商会に着くと店前にいる男に話しかけた。

「2日前に奴隷の買取を予約した者だが直ぐにパールを呼んできてもらいたい」


男は龍弥から硬貨を握らされると、直ぐに龍弥を店の中に案内した。

暫くするとパールがやって来た。

「これはこれは、早朝ですが大事なお客様ですので、営業させていただきます」

「あぁ助かる、早速だが言っていた奴隷を買取に来た」

「かしこまりました」


パールは立ち上がると奴隷・・・真奈を呼びに行った。

扉がノックされパールと共に真奈が入ってきた。

「タツ君!」


真奈は龍弥を見るなり抱き着いた。

「元気だったか?」

「そんなわけないでしょ」


真奈は泣きながら笑っていた。

そこにパールが声をかける。

「ではお客様、購入の手続きを」

「あぁ、いくだ?」

「ここらでは珍しい黒髪なので400万kでどうでしょうか」

「600万k出す、それで俺がここで2人目の奴隷を買ったことを秘密にして欲しい」

「そ、それは・・・分かりました」

「助かる、じゃあ俺たちはここに来ていなかった」

「はい」

龍弥はパールの返事を聞くとマリアと真奈を連れて奴隷商会を出た。

龍弥はそのまま街の外に出るため門へ向かった。


「タツ君どこに行くの?」

「それは後で話す、今は取り敢えずこの街を出る」

「分かった」

「それと、裕司はどこか調べられないか?」

「やっぱり不安なの?」

「あぁ」

「・・・」

龍弥と真奈が口を閉じるタイミングでマリアが口を開いた。


「タツミ様少しよろしいですか。」

「なんだ?」

「奴隷商人の言っていた黒髮が珍しいというのが本当かどうかわかりませんが、宝を捌いているときに坊主だったのでハッキリとは分かりませんでしたが黒髪でタツミ様と同じ位の見た事のない服装の少年を見かけました。」

「え?どこで」

「路地裏でボロボロだったので乞食かと思いましたが。」

「いや、坊主でそんな服装なら多分裕司だ、時間が無いが案内してくれ」

「かしこまりました。」


龍弥はマリアの後に続き急いでその場所まで案内させた。


・・・・・


マリアの連れてきたところには確かに龍弥達の通っていた高校の制服を着た『もの』がいた。

その姿は体から岩のような棘が制服を突き破り露出していて袖から見える腕は石のように灰色だ。そして顔があったであろう部分は首から上が無かった。

「なんだ・・これ」

「これは・・私が見た時は人でした。それとこの状態は『石化』というものに似ています」

「石化?」

「はい。バジリクスクやコカトリスの使うスキルで視線を合わせると石化します。しかし、これを行った者は魔力を上手く制御しきれてません。」

「何故わかる」

「スキル石化は発動すれば直ぐにそのままの形で対象を石化しますが、これは荒々しいため対象の魔力の抵抗を許して、形が変形してます。」

「そうか・・・街を出るぞ」

「いいの?」

「これをやった奴は許さないが、今はこの街を出るのが先だ」

「わかったわ」


龍弥はそう言い切っていたが、龍弥でも把握してない心の深層では黒い何かが心を侵食していた。

龍弥達は街を出ると、龍弥が前日に岩場に隠していた馬車へ乗った。

マリアは御者を出来るようで御者の席に座っている。

龍弥と真奈は馬車の荷台の中で話していた。


「タツ君、これからどうするの?」

「今から説明する。ここは街の北門を出た先の道だ、このまま北に行くと『迷宮都市ノースキャスト』がある、そこは別名『独立都市』と言われていて、大小様々なダンジョンが無数にあり、そこに潜る冒険者による市場の流れで都市が立っているという冒険者の街みたいな所だ。そこに行ってレベルやスキルを習得しに行こうと思ってる」

「行くのはわかったけど、強くなる理由があるの?」

「・・・まぁ、あるな。今は話せないが近いうちに話す」

「分かった、私はタツ君の奴隷だしね!」

「一応買ったがその首輪は取れるぞ?」

「いや外さなくていいの」

「?いいのか?」

「うん!」


その後真奈は少し休むと言って龍弥から貰った食べ物を食べ、馬車の荷台で眠り、龍弥はマリアの隣に座って周りを警戒しながらノースキャストに向かった。






最後まで読んでいただきありがとうございます。

誤字、脱字、アドバイスがありましたらメッセージやコメントで指摘してもらえると助かります。

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