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異世界に来た黒の勇者  作者: アマ
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前日とイル


side龍弥


龍弥はマリアと別れると城に戻りイルを探した。

それはイルに最近顔を見ない黒騎士のことを聞くためだった。

(俺がカール王子のことを話してから顔を見てないのはいいが城を出る時の邪魔になられたら困るからな)


龍弥が廊下を曲がると前方からドレスを着た赤い髪の少女が来た。

デスピスだった。

「あら、これは無礼な『ユウシャ』様ではありませんか」


デスピスは龍弥のステータスが、低いと思っているので勇者を強調して皮肉気味にしたつもりだろうが、龍弥は内心少し笑っていたーーー

「何を笑っているの!」


ーーーというより顔に出てた。

「いえ、高貴なデスピス・シーン・アルダビール第二王女に話しかけてもらえてつい」

「あらそう。まあいいわ、さっさと私の前から消えなさい」

「はい」


龍弥は面倒な事にならない内にデスピスから離れていった。

「ふんっ、落ちこぼれの勇者の癖に生意気ですわね!」


デスピスは龍弥にそう言うとどこかへ行った。

(面倒くさい王女だな、なるべく避けるよう心がけるか)


龍弥はそのままイルの部屋にいくことにした。

イルの部屋の前に着いた龍弥はノックをしようとしたが中から声が聞こえ、瞬時に自分の気配を消した。


『ミレル、今あの勇者は居ないの?』

『はい、今はこっそり街に抜け出してるという報告がありました』

『そう、それにしてもタツミとかいう勇者もちょろいわね、私が少しかわいそうな立場を演じただけで一緒に国をでるって、笑いを堪えるのに苦労したわ』

『はい、ですがいいのですか?』

『なにがですか?』

『タツミ様を国の外に出たと同時に拘束し適当な罪で処刑だなんて』

『だってお父様がそうしろというし、成功したらお金がもらえるんですもの。しかも、あの勇者ステータスもスキルも使い物いならないんでしょ?それならいいじゃない。そういうことで、ミレルはタツミの監視を続けて』

『かしこまりました』


黒騎士がそう言うと足音が扉に近ずいてきた。

(随分面白い話をしてるな)


龍弥は話が終わっのを確認すると直ぐに近くの窓から飛び降りて黒騎士との遭遇を回避した。

(この国の兵士なんて何人いようが突破出来る、がさっきのを逆に利用するか)


龍弥はこの世界に来て信用している者は真奈と裕司以外に居なく、準備は万全だった。

龍弥はスキル陽炎で自分の姿を消して変更した計画のために動いた。

夕方


計画の変更を終えた龍弥は再びイルを探していた。

そして、廊下を歩いているイルを見つけたので声を掛ける。

「イル」

「あ!タツミ様!」


イルは皮を被って龍弥に返事をした。

龍弥は構わず本題を行った。

「イル、明日この国をでることにした、明日の朝に迎えに行く」

「えっ、明後日ではなく、明日の朝ですか?」

イルは如何にも驚いたという様な言い方だが、既に黒騎士から報告は来ているだろう。


「あぁ、それと城を出た後金に困る。そこで泥棒の様な真似だがこの国の金庫から少し金を拝借していこうと思っている、だから金庫に、できれば中まで案内してほしい」

「・・・確かにそうですね、分かりました!多分中まで案内出来ますよ!」

それから龍弥はイルに着いて行くと大きな扉の前に来た。

その扉には見えないが幾つもの複雑な魔法が掛けられていて開かないようになっているのが分かった。

よほど自信があるのか周りには兵士がいなかった。

「この扉には魔法が掛けられていて、王族と限られた者しか開けられないのです」


イルが扉に手をかざすと扉に幾つもの魔法陣が浮き上がってきた。

暫くすると魔法陣は収まり扉が開いた。

「どうぞ!」


この時点で龍弥はイルがどうやって自分を陥れるか想像がついていた。

(金庫から金を盗んだ窃盗罪及び王国の金庫のため不敬罪と、扉を開けるのにイルを強要したこで王族に対する最高位の不敬罪。まぁ罪状ならいくらでも出せるだろう、問題ないが)


龍弥が考えているとイルが声を掛けた。

「タツミ様?早く行きますよ!」

「あぁ」


龍弥はイルに次いで金庫へ入っていった。

(金庫の中はジルから聞いて想像した通りだな)


龍弥の前には大金硬貨や白金硬貨が山済みに重なっていた。

「タツミ様、袋一杯に入れていっても構いませんよ、どうせこの国を出るのですから」

「分かった」


何故か袋一杯に入れることを強調してくるイルだが確かに金は持っていて損はないと思う龍弥だった。

(まあ、袋一杯程度では無いがな)


龍弥イルとの間に丁度硬貨の山を挟む様に立ち、硬貨を袋に入れる動作をした。

そしてイルからの死角でボックスに硬貨を入れていた。

「終わったぞ」

「分かりました!では出ましょう」

「あぁ」


やけに上機嫌なイルと共に金庫を出た。

「ではタツミ様、私は明日の用意が有りますので、お話はまた今度しましょう!」

「分かった、明日の朝に迎えに行く」

「分かりました!でわ」


イルと龍弥は廊下で互いに反対方向に向かって自分の部屋に戻った。

(ついに明日か・・・)


部屋に戻ると扉が開いていた。

「・・・ジルか」

「タツミ様、明日出られると私兵から報告が有りました」

「あぁ、国王への報告は頼む」

「任せてください。それで、その・・・」

「来い、ジル」

「タ、タツミ様!」


その後ジルは龍弥の胸の中で泣き疲れフラフラと部屋を出て行った。






最後まで読んでいただきありがとうございます。

誤字、脱字、アドバイスがありましたらメッセージやコメントで指摘してもらえると助かります。

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