心の変化と異世界
side龍弥
それは3時限目が終わろうとした時だった。突然校内のマイクがオンになり中年の男の様な低い声がした。
『この高校を我々が占拠する、我々は決してテロリストや気が狂った者なのではない、この国を変えようと国民を導いていく者だ!』
完全にテロリストだろ、などと思っていると教室の扉が開き前後の扉から2人づつマスクを被り銃を手にした
(おそらく)男たちが入ってきた。
男たちは即座に配置についていった、それを見るとあらかじめ計画していてなおかつ手慣れた者達だとうかがえる。
しかし、教室の一番後ろの窓側に隣同士で俺と座っていた真奈を見た近くの男は舐めるような視線で真奈を見ていて真奈は俯いていた。
(いつもは強気でも、怖いものもあるんだな〜)と、場違いなことを思いつつ男達に意識を向けていると、近くの男が真奈に近づき腕を掴み
「お前は人質として来てもらうぜ?」
真奈の大きい方であろう胸を見ながら言って、男が腕を掴まれた真奈は「ヒッ」と声をあげていた。
「人質は俺でもいいだろ?」
と言い男の手を叩き腕を離させる。
「なんだ?おめぇはよ!」
「ただの、高校生だ、それで人質は俺でもいいだろ、と言っているんだ」
「野郎なんぞ、いらねんだよ!」
男は沸点が低いのか大声で怒鳴り散らしている。
「おい!やめろ」
他の男達にが怒鳴り声に反応して男に注意をしたが、真奈を見るなり目の色を変え、最初の男に同意し真奈の手を掴もうとした、が
「やめろって」
腕を掴もうとした男の腕を下に叩き止めさせる。
「さっきからこのクソガキが!」
男はナイフを取り出し腕めがけてナイフを振るったが、俺は少しかじった程度の合気道を使って、振られた腕の力を利用し、ナイフを男の腰に突き刺した。
「うがぁ、こ、腰が〜」
男の悲鳴と同時に注意しに来ていた男の手の甲に机の上にあるペン投げ銃を構えさせず怯んでる隙に近寄り顎に霞めるように突きを入れ意識を刈り取る、そこで残りの2人がこちらに銃を構えながら言った
「今すぐ2人から離れろ!」
「痛ぇ痛ぇよ〜」
「クソガキがッ!」
男の苦しむ声とともに手を上げ2人から離れようとしたときペンが手の甲刺刺さった男が激昂しながら銃をこちらに構えた。
「おい、やめろ!」
パンッ
仲間の制止を聞かずに男は引き金を引いた。
トプッ、という音とともに赤い水溜りが広がってゆく。
「かはっ、大丈夫?」
何故か口から赤い液を垂らした真奈が何かを言っている。
「キャーー」
「おい!何打ってんだ、くそ!」
「た、助けてー!」
教室の中は悲鳴や怒号のが混ざって地獄のようになっているが、龍弥には何も聞こえていなかった。
「どうしたんだ、真奈、口から・・・え?真奈が前にいる?え?」
その間にも赤い水溜りは広がっていく。
「タツ・・君・・・大丈・夫?」
「なんでだよ!なんで真奈が打たれてんだよ!」
龍弥の前には腹部を押さえて血の水溜りを作っている真奈の姿があった。
「子供のとき・・・から一緒に居たけど・・もっとずっと一緒に・・・居たかったな」
真奈が何を言っているか龍弥にはほとんど理解できていなかった
「また・・ね」
そのまま真奈は龍弥の胸に倒れこんだ。
「真奈?」
「・・・」
「真奈?」
「・・・」
返事はない、既に血の水溜りは龍弥の上履きを赤く濡らしていた・・
「マナ・・・」
龍弥の意識はそこで意識の底に落ちていった。
その足元に幾何学的な文様があることに気づかずに・・・