いざ、城下町へ
said龍弥
龍弥はヴァージェルを抱いている時、今後利用する為に彼女に少しづつ闇魔法で催眠をかけていった。
内容は簡単なもので、龍弥への好意の増幅とさりげない日常の会話の中でのモーブデブの事の報告だ。
(これで好意が嘘でもあっても俺と話しているうちに自然と好意をよせ増幅していく筈だ)
龍弥は隣でスヤスヤと寝ているヴァージェルを見て罪悪感は感じず、上手くいったことの満足感を感じていた。
(それにしても、カールが死んでいることはイルは勿論、黒騎士も知らないだろうな、どうするか)
龍弥は立ち上がり着替えて自分の部
屋へと向かった。
その日の夜中に黒騎士が来て出発は2週間後と決まった。
黒騎士はその間に国王達にばれないようと釘を刺して出て行こうとした。
「まて」
龍弥は黒騎士を止める。
「なんだ、私は暇なわけでは無いんだぞ?」
「あぁ、質問なんだが最近カールには会っているか?」
「なんだその質問は、まぁいい、幕越しだがイル様についての会話はしている」
(それが本当なら国王に全てバレているな)
「黒騎士、出発は予定の2日前だ。このことはイルにも言うな」
「お前は何を言っているんだ?意味がわからんな」
龍弥は黒騎士にヴァージェルとのやり取りを話した。
「・・・」
黒騎士は俯いて何かを呟いている。
「おいどうした?」
龍弥が黒騎士に近ずくと呟いている内容が聞こえた。
「カール様カール様カール様カール様カール様カール様カール様カール様カール様カール様カール様・・・・・・」
黒騎士は壊れていた。
龍弥は黒騎士の目を覚ますために肩を叩く。
ゴト
黒騎士はなすがままに倒れ、付けていた兜が取れた。
兜の中から現れたのは黒い艶のある黒髪を持ち泣いているため良く分からないが整った顔をしているだろう女性だった。
それも、龍弥とほとんど歳も離れていないだろう。
(・・・この容姿何処かで『見た』な。・・・そうか!この国の書物に乗っていた、カール王子に嫁ぐはずたった武術に長けた貴族の家の長女だったか)
龍弥の推測は当たっていた。
龍弥が黒騎士を見ると彼女は扉に向かって歩いていた。
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ・・・・」
「おい、どこに行くんだ」
「カール様が死んだなんて嘘だ。私が確かめに行く」
そう言って黒騎士は龍弥の部屋を出て行った。
(まぁ、連れて行くのがイルだけなら助かるな)
龍弥は黒騎士を止める事もせず眠りについた。
次の日首から上が無い男性の遺体が城の門近くで発見された。
翌日
(この世界に来て、今日で3日目か。そろそろ城の外のことを知りたいな)
龍弥は城の外に見える街を見ながらそう思っていた。
そこで龍弥は城を抜ける時の下調べとして城下町の細い道を把握して脱出経路を考えることにした。
「そうとなると、何処から城を出るかな」
龍弥はイルとの接触のため、城の中を歩き回ったためある程度の構造を把握していた。
(確か花畑の角に外に出れそうな穴があったな)
龍弥は早速確認に行った。
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龍弥は花畑の角を調べるとそこにはしっかり穴があった。
しかし、どう見ても人の手が加えられている。
龍弥は周りに警備がいない事を確認し、穴がを潜った。
(何かあるかと思ったが、何もなかったな)
街の中はガヤガヤと賑わっていて、道の端には屋台が並んでいて色んな食べ物があった。
龍弥はそのまま街に溶け込もうとしたがそこで、自分の格好に気付いた。
周りの人は布を何枚も纏った様な格好に対して自分は当然制服だ。
(早めに金を手に入れて服を買うか)
と、その時龍弥は突然声をかけられた。
「そこのお兄さん珍しい格好をしているね、旅人さんかい?」
龍弥は警戒し直ぐに鑑定眼を使った。
男の職業は『詐欺師』だった。
(こんな職業があるんだな、どうする気だ?)
龍弥は相手に感づかれない様に警戒した。
「お兄さんはダンジョンで一旗揚げようってかい?なかなか見所があるねぇ、どうだい?うちの店で強い武器を安く売るよ?来ないかい?」
(恐らくこの男はとんでもない額を俺に吹っかけて借金奴隷にでもする気だろう)
因みにこの世界には2種類の奴隷がいる。
まず借金奴隷、借金奴隷はその名の通りで、借金を払いきれない者が自分の身や家族の身を売ったためなる奴隷だ。
次に犯罪奴隷、これもそのままで、犯罪を犯し奴隷として懲役を過ごすものだ。
それとこの2種類には当て嵌らない誘拐奴隷などがある。
これは違法なもので人攫いなどに攫われて売られてなる奴隷だ。
龍弥は男の誘いについていった。
(こいつが儲けた金を全て貰えば楽だな。)
男の財産をいただくために。
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