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昔々あるところに_019

作者: イカエル

昔々あるところにモグさんという貧しい青年がおりました。


モグさんは喫茶店ベロンチェに入っていました。


窓際の席でコーヒーを飲みながら、左手に双眼鏡を持ちある方向をのぞいていました。


モグさんの見ていたのはベロンチェの向かい側の黒猫堂でした。


「あいつ、1万円札で鼻をかんでいる!なんて奴だ。とんでもないことをする」

「あ、!また鼻をかんだ」


双眼鏡で見ると、黒猫堂の店内の様子が手に取るようにわかるのです。

黒猫は、鼻をかんでは、1万円札をそばのゴミ箱に捨てていました。

すでに山のようになっています。


モグさんは、いらいらしてきて、ついに席を立ちました。



黒猫堂の店内に入りました。


その日はまた不思議なものを見つけました。

「金のまんじゅう金饅きんまん_食べるとお金がどんどん出てきます(本物)」

とあります。

金饅は全部で5個入りでした。

もぐさんはそれを見ると欲しくてたまらなくなりました。

さっそくそれをカウンターに持っていきました。

「「金のまんじゅう金饅きんまん_食べるとお金がどんどん出てきます(本物)

というのは本当ですか?」

「本当だにゃ」

カウンターに座っていたのは猫でした」

「買います。売ってください」

「じゅうまんえんだにゃ」

モグさんは貧乏でしたので、手持ちが5万円しかありません。

「ばら売りで一個1万円に負けてくれませんか?」

「だめダニャ、一個2万円だにゃ」

もぐさんは、とっさにカウンター横のゴミ箱に捨ててあった、紙をつかむと、後ろを向いてしわを伸ばし

「これでプラス5万円。トータル十万です」そう言いました。

「売るニャ」猫は言いました。

モグさんはほくほく顔で、金饅を持って帰りました。


----------------------



早速マンションの鍵を閉め、部屋の中で金饅をひとつ食べてみました。

食感が少しざらざらしていましたが、味は普通の肉まんでした。

たちまち便意を催しました。モグさんはトイレに駆け込みました。

しかし、ここですると水に流れてしまう、まずい!そう思って引き返し、新聞紙を床に敷くと、しゃがみ込みました。

ぶりっ!

ぽとん……

ぶりっ!

ぽとん……

コインが二個出てきました。

見ると本物の500円玉でした。

ぶりっ!

ぽとん……

ぶりっ!

ぽとん……

ぶりっ!

ぽとん……

コインが三個出てきました。

モグさんはそれをしげしげと観察しました。

表面には桐の花がデザインされています。「平成十八年」「日本国」「五百円」と印字してあり「日本国」と「五百円」の印字背景は凸になっています。


裏面は「500」と刻印されていますが00の部分に穴が書かれておらず、細かい横線が引かれています。

さらによく観察すると「0」の部分には角度によって「500円」の文字や「縦線」が浮かび上がる潜像が施されています。

また、かすかに判明したのは、両面それぞれに小さく

「NIPPON」という文字が彫られています。

硬貨の外周は斜めのぎざぎざがびっしりと入っています。

これは、五百円ニッケル黄銅貨

(銅72%、亜鉛20%、ニッケル8%のニッケル黄銅製硬貨)に間違いない。

そうモグさんは確信しました。


ただひとつ、モグさんが気になる点がありました。

それは硬貨についたにおいでした。



「こんなにうんち臭くては、店の人が受け取ってくれそうにない」

そう思ったモグさんは洗面所に行き、歯ブラシに石けんをこすりつけ、その歯ブラシで硬化の表面をごしごし磨きました。

ごしごし、ごしごし、ごしごし、ごしごし

モグさんが鼻を近づけてくんくんとにおいをかいでみますと、多少うんち臭さは軽減したみたいです。

ごしごし、ごしごし、ごしごし、ごしごし

さらに磨いていると、硬化の表面に銀色の粒のようなモノが浮かんできました。


そして指先が不安定になり、ずるっっと滑ったかと思うと、ぱりっっと、硬貨が二つに割れてしまいました。硬貨は洗面台の上でばらばらになってしまったのです。

「しまった!なんてことだ!」モグさんはびっくりしました。

「水で洗うのはだめか。じゃあほかの溶剤を試してみよう」モグさんは自宅にある

シンナー、ベンジン、灯油、アルコールでそれぞれ洗浄してみました。でも結果は同じでした。洗っているとどんどん溶けてしまうのです。

「だめだ!サランラップでくるもうか」モグさんは焦りました。

「だめだ、そんなことをしたら怪しまれる」


モグさんは考えました。


「何か使い道があるはずだ、何かどこかで……そうだ!パチンコ屋のカード券売機なら……」



そう思いついたモグさんは、残りの金饅4個を持ってパチンコ店に直行しました。


--------------------------



お店は、この街で一番出すと言う噂のパチンコゼニゲバラです。



ゼニゲバラの入り口近くに陣取ったモグさんは早速『北東の拳5』で勝負を始めました。

上皿に玉を入れハンドルを回します。

パチパチパチパチパチパチパチパチ

ダダダダダダダダダダダダ

…………………

あっという間に飲まれます。

カードが無くなりかけたモグさんは500円玉をハンドルにはさみ、トイレに駆け込みました。

トイレの便器、ふたを閉め、その上にまたがって、金饅を1個食べました。

うむむむむむむむむ

すぐに便意が感じられました。

ぶりっ!

ぽとん……

ぶりっ!

ぽとん……

ぶりっ!

ぽとんぽとんぽとんぽとん……

全部で10枚も出てきました。

モグさんはそのお金で、5000円のプリペイドカードを購入しました。

席に戻ってまた勝負を仕掛けました。


パチパチパチパチパチパチパチパチ

ダダダダダダダダダダダダ

ダダダダダダダダダダダダ

チャランチャランチャランチャラン

…………………

あっという間に飲まれます。


カードが無くなりかけたモグさんは500円玉をハンドルにはさみ、トイレに駆け込みました。

トイレの便器、ふたを閉め、その上にまたがって、残りの金饅を1個食べました。

うむむむむむむむむ

すぐに便意が感じられました。

ぶりっ!

ぽとん……

ぶりっ!

ぽとん……

ぶりっ!

ぽとんぽとんぽとんぽとん……

また全部で10枚出てきました。

モグさんはそのお金で、5000円のプリペイドカードを購入しました。

席に戻ってまた勝負を仕掛けました。

ハンドルを握って鬼のような形相。

今度こそは大当たりをだしてみせるぅぅぅぅぅ!!

パチパチパチパチパチパチパチパチ

ダダダダダダダダダダダダ

ダダダダダダダダダダダダ

チャランチャランチャランチャラン

…………………

あっという間に飲まれます。


店の店員が不思議そうな顔でモグさんの様子を見ていました。

「あの客、しょっちゅうトイレに駆け込んでるけど怪しくね?」

「でもカードちゃんと使ってるみたいだし。腹でもこわしたんちゃうか?」


結局モグさんは全財産すってしまい、、

切れ痔になりました。


ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


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