破壊と決意
今回も、また説明回っぽくなります。
数日後、俺とジャレッドは戦闘班に志願すべく書類を提出した。数日後受理され、訓練の旨が伝えられた。オーストラリアのほうにも同様に班が設置されているらしい。
さらに、いくつか通知が届いた。まず、俺の親類は全員無事オーストラリアへ避難したということ。次に、情報班という班の設置と、技術班を研究班と改称する方針についての問題だった。
「かなりはやい変更だな」
ジャレッドは俺に言った。
「まあ結構急ぎの決定だったみたいだし仕方ないんじゃないか。今後もまた別の班とかできるだろ」
俺は適当に返す。一応手術の仕方とかは何も知らされていない。システムはよくわからないが、麻酔を受けて寝ている間に全部終わっているらしい。それで、2週間ぐらい入院して、それから訓練らしい。手術痕とかが回復しなければまだ療養させられるという。
手術は来月なので、今まさに暇の絶頂である。戦闘班以外の班は、志願した者順に活動を始めている。
「暇にもほどがある」
ジャレッドも同じことを考えていたらしい。そこで俺たちは、少しラストロフ島を巡ることにした。アベルは、今レスガルにいる家族のところにいる。
ラフェポーという区画にとりあえず行ってみることにした。エリフノの正反対に位置している。この地名だが、希望のある場所だという意味でつけられているらしい。
しかし行ってみるとそこは重機が動き回り排煙によって空が濁った汚い場所だった。ラストロフの中でも、機械を多く作ることが出来る、そういう意味で名付けられたのだとは思うが、それは引き換えに大量のものを破壊していることになる。工場やエネルギー施設が立ち並ぶ場所だ。シールド兵器のエネルギーを生み出しているのもここだろう。
ここにも、エリフノにあるような施設があり、人が居住しているらしい。しかしここに来なかったことを幸運に思った。ジャレッドは、
「アメリカにもこういう場所はあった。日本にもあるんじゃないか?」
と言う。
「世界中こんなところばっかりだ。ロボットのせいで、大半が無に帰されたが」
俺たちはとにかく気分が悪くなったので、レスガルに行くことにした。レスガルは、絶えず笑いが絶えない場所みたいな意味をこめて名付けられたようだ。しかし、ここは工業施設だし、定住者もおらず、文化もないのに、笑いなんてあるわけがないだろうと思った。ただでさえいろいろ壊されて、命だって奪われそうになり、大切な人が亡くなった人だっているというのに、笑ってられるとは思えない。まあ、こんな時こそ笑おうっていうのもあるかもしれないが。
結局気分が悪くなったまま、俺たちはエリフノへ帰った。
部屋には既にアベルがいた。
「家族に会ってきたよ。皆無事だった」
「そうか。よかったな」
「で、俺決めたよ。戦闘班に入るよ」
俺とジャレッドは顔を見合わせた。
「家族に会ったら、あの愛着のある家に帰りたいなと思って、ただそれだけの動機だ」
「なるほどな。いいことだと思うよ」
俺は言った。
結局俺たちは恵まれている。こんな状態で戦うとか何とかいうのは物事をなめていると思われるだろう。しかし、誰かが戦わないと、やはり勝てないのだ。
なんてことを考えていると、眠くなってきた。
寝た。
次回からはきっと楽しい展開に!!!