逃亡と避難
少しぶっ飛んだ展開ですがよろしく!
俺は逃げる事しか考えられなかった。アメリカのロサンゼルスは、すでにロボットに蹂躙されたと聞いたが、いずれ東京もそうなるのだろうと思った。必死に逃げることで、俺は考えるのをやめることができた。
人々も逃げ惑っている。しかし、こういう侵略者がいる状況で逃げるのは危ない。奴らはパッと見た感じ2mほどの身長を持ち、手には武器を持っていた。いわゆる戦闘ロボットのイメージにぴったりだ。しかし、動きは遅そうである。
俺は建物に隠れることにした。人々は、銃で撃たれると粉のようになった。俺にはどうすることもできない。そう思い、俺は身の安全を第一に考え、裏路地に入ったところにあるラーメン屋に入った。
「外が騒がしいな」
ラーメン屋の店主が話しかけてきた。
「逃げてください。テロか戦争かわかりませんが街が襲われてます」
俺は割と冷静に答えを返した。
「何言ってる」
そういって無視されかけたので、俺は
「テレビを見てくださいよ!」
と叫びリモコンを掴み、テレビをつけた。
『突如日本にやってきたロボットは、東京をはじめ、札幌、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡の7都市を破壊しています。すでに政府は、自衛隊及び他国の軍に協力を依頼して、国民の避難活動を開始しています』
チャンネルを変えると、
『新しい情報によれば、札幌は陥落し、現在北海道全域が危険となっています。横浜、名古屋、福岡も陥落しかけているとのことです』
「日本の……終わりか……」
店主が言うので、
「いえ、世界の終わりです……アメリカも襲撃されたらしい」
「……そうか」
ラーメン屋の店主は座り込んだ。
「すいません……逃げないんですか?」
「いや、もういいんだ。充分生きた。世界が終わってもなお生きたいとは思わない」
「……いいんですか? 逃げましょうよ、今ならまだ助かりますよ。ロボットたちもここを通り過ぎましたし、建物の屋上かどこかに行けば、じきトランスポーターが飛んできて全員避難できますって」
「いや、いいと言ってるんだ」
「なぜです、行きましょう」
「いいと言ってるだろう! もう希望はないんだろ? 俺はロボットってのは見てないが、ここにいればじき来るんだろう。それでいいんだよ」
「……本当にいいんですか」
「ああ」
俺はその場を走り去った。今日初めて会った人だったが、なぜか俺は助けなければならないと思った。でも、本人にその意志がないのなら、助ける事など出来ない。
数時間後、俺はトランスポーターに乗っていた。読みがあたり、俺たちは快適な空の旅を楽しんでいた。
「行先はどこです?」
俺は誰にともなく聞いた。
「ラストロフ島だ」
ラストロフ島。その島は、島というよりは工業施設で、太平洋に作られた巨大な施設だ。収容できる人口は3000万人と言われている。5つの島が、4角形状に並んでいて(頂点に4つ、中央に1つ)、人類の最後の砦と呼ばれている。
「全員収容できるんですか?」
「現在、襲撃されていないところは除外だ。だがいずれ襲撃される。そこで、襲撃された人間は、ラストロフ島とほかに、オーストラリアにある軍事開発地域に移送されることになっている」
「なるほど」
オーストラリアは不思議だが襲撃されていない。
「今のところ襲撃されたのはアメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランス、ロシア、ブラジル、インド、中国、南アフリカ、エジプトといった国々だ」
「先進国ばかりですね」
「狙ったのかどうかはわからないが、そうだな」
「敵の正体もわからないんじゃ戦いようがないですが」
「とりあえず今は避難を最優先に考えている。その後の対応はまだだ」
「はい」
俺は憂鬱な気分でイスに腰掛けた。トランスポーターは非常に大きな飛行機で、大量の人間を輸送できる。
俺はコーヒーを飲みながら、窓の外を眺め、雲の隙間から見えるラストロフ島に到着した。ラストロフ島はオーストラリア近海にあるので、オーストラリアに行く人々ともコミュニケーションがとれるようになっているらしい。
そして、トランスポーターはラストロフ島の中心、レトネックへと降り立った。
次回から結構動きます。よろしく。