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サイコロでもいいですか?

作者: 赫星

コイントス


表→表→……表→表

樹形図は伸びる


ずっと表の彼は

好きな人や好きなものに囲まれて

一生を幸せに生きた


だから恵まれ続けるありがたみを

終いに知ることがなかった


これも考え物だなと神様は思った


コイントス


裏→裏→……裏→裏

樹形図は伸びる


ずっと裏のあの子は

運が悪いとしか言えなかった


ひどい坂を転がり落ちるように

彼女は呆気なく消えていった


一回でも表を見せてあげればよかったと

神様はちょっぴり気の毒になった




さてさて次はあなたの番


神様はコインを差し出した


前の二人を見ていた私は

少し考え提案した


『サイコロでもいいですか?』


一瞬きょとんとした神様は

妙に人間くさかった


『それも一興』


こうして私は双六の駒になった


賽は投げられた

駒は前進する


1、2、1、2と進む私を


『地味だね』と神様は笑った



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