【番外】ネット小説の読者へ ~黄金律と論理学(中)~
命題
ここでは論理学の基本である数学の「命題」について確認します。今では高校の数学になっているようですが、以前は中学で扱ったこともある至って平易な(此処で取り扱う内容は中学生でも理解頂ける)内容です。ご存知の方は読み飛ばして頂いても大丈夫です。
#命題A
犬であれば動物である ⇒ 正しい
・Aの逆命題(逆置)
動物であれば犬である ⇒ 誤り(猫だって動物だ!)
・Aの裏命題(否定)
犬でなければ動物でない。 ⇒ 誤り(猫だって動物だ!)
・Aの対偶命題(逆命題の更に裏、あるいは裏命題の更に逆)
動物でなければ犬でない。 ⇒ 正しい
命題が正しくとも、裏命題と逆命題は正しくないことが良くあります。ですが、
【対偶命題は命題が正しければ必ず正しく、命題が誤りであれば必ず誤りとなる】
のです。このことは後ほどの触れますので記憶に留めておいて下さい。
#命題B
「小説家になろう」の登録ユーザならば(「小説家になろう」内に)ホームを持っている
⇒ 正しい
・Bの逆命題
ホームを持っているならば登録ユーザである ⇒ 正しい
・Bの裏命題
登録ユーザでなければホームを持っていない ⇒ 正しい
・Bの対偶命題
ホームを持っていないのであれば登録ユーザではない
⇒ 正しい
命題Bでは裏と逆も正しくなります。
重要なことは、裏と逆が正しくなる命題は少なく、日常の物事は殆どAのように裏と逆は正しくない命題となるのです。ですが、つい裏と逆も正しいのではないかと錯覚してしまうのです。
この錯覚は所謂詐欺の手口でも使われています(果たして本当に使われているかは疑問ですが……)。
消火器の販売員が「消防署の方から来たのですけれども……」
消防署員は消防署(の方)からやって来る。 ← これは正しい
→ 消防署からやって来るのは消防署員だ。 ← これは誤り
→ 消防署員の消火器販売であれば間違いない ← 前提が間違ってる
→ だから購入しよう ←(ごちそうさまでした)
また話し言葉の曖昧さ(習慣的なものなのでこれ自体は問題では無いのですが、その隙を巧妙に悪用する人達には注意が必要です)や言外に省略している言葉は対偶命題に言い直すことで浮かび上がることがあります。
日常見聞きしたことに対して対偶に(時として裏・逆も加えて)言い直し、その言葉の持つ意味を考えることを私は習慣としています。政治家やメディアの(所謂)コメンテータの言葉は裏・逆・対偶で反芻してみるとトンデモナイ内容であることが間々ある(にも関わらずスラリと言い放っている)ので注意が必要です。
命題の確認は以上です。詳しいことに興味があれば↓をご覧下さい(今回私も参考にさせてもらいました)。特に後段の「小話」と「感想」は興味深いです。
http://www.geisya.or.jp/~mwm48961/kou3/gyaku.htm