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もしもダメなお父さんが金髪碧眼少女になったら  作者: 東山スバル


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005 事実は事実

 額から血を流しながら、ポールモールはニヤッと口角を上げる。


「さすが、今や伝説の大強盗だ。身体を煙そのものに変え、それを手足のごとく操りヒトを掴む。しかもその煙は……」


 ウィットの追撃が始まる。されど、ポールモールは冷静に魔力の流れを追い、今度は煙の中にいるウィットを掴もうとした。

 しかし、

 ウィットは、煙幕を刃物のように変化させることで、むしろポールモールの手を斬り裂く。


「様々な現象に変化できる。あーあ。手が切り傷だらけだ」

「あぁ。思っていたよりも、衰えていなかったようだ。ポール、こっからは本気で良いぞ」

「言われなくても」


 ポールモールは、自分の身体を10体ほどに増やした。その中のどれにも魔力が注入されており、感知するのは困難を極める。

 その分身は、一斉に煙幕になったウィットへ詰め寄っていく。

 そして、

 ウィットは、同時にポールモールの拳を喰らった。これでは煙になった意味がない。鼻血を垂らしながら、ウィットは不敵に笑う。


「さすがだねぇ。現役の無法者ってだけはある」

「油断してる場合か?」

「してねぇよ」


 ウィットは、ポールモールが今の攻撃が有効だと考えていると思い、小さな煙に変化する。これでは的が小さくなって、攻撃を喰らいやすくなるが……、


「……ッ!?」


 ウィットの狙いは、煙を燃えるガスにすることだ。ポールモールは手痛い可燃ガスを喰らい、右手を火傷してしまう。

 そんなポールモールに、ウィットは更に追撃を仕掛ける。手の痛みで一瞬動きを止めたポールモールへ、ウィットは煙になった上で彼の首を掴む。

 そして、

 ウィットは、ポールモールを地面に再び叩きつける。


「痛てェな」


 ポールモールはまたもや血を垂らすが、彼は全く戦意を失っていない。むしろ、闘う意志が強まっているように感じた。

 刹那、

 ポールモールは、姿を消した。ウィットは魔力の流れを追うが、まるで追いつけない。どこから来る? 後ろ、前、斜め、それとも……、


「ぐぉッ!?」


 ポールモールは、ウィットの頭上に姿を現し、金髪少女の頭を両手で殴った。黒いオーラのような現象をまとった腕で。


「クソッ。身体が女子になった所為で、痛みが……!!」

「言い訳なんて、オマエらしくねェぞ。ウィット!!」


 更に迫撃を仕掛けてくるだろう。ウィットは、一旦煙になってその場から離脱する。なにも考えていない逃げなので、当然ポールモールも追うことができる。

 そんなポールモールがウィットに追いついた瞬間、

 ウィットは、煙になった自分を二分割した。一瞬戸惑うポールモールだが、その隙が狙いだ。ウィットは最後の賭けとして、ふたつに分かれた煙でポールモールを挟み込む。瞬間、ポールモールの身体が痺れ始めた。


「神経ガスか……!! だけど、どうやって追撃するつもりだ!?」

「決まってるだろ……!!」


 ウィットは、金色のオーラをまとった右腕で、ポールモールの腹部を殴打した。

 だが、

 ポールモールは、まるで効いていなかった。


「はぁ、はぁ……」


 ウィットは、その場にへたり込む。


「クソッ。〝悪魔の片鱗〟自体は衰えていないみたいだけど、腕力が想像以上に弱まってやがる」


 その小さな手と薄い筋肉では、いくら魔力をまとわせて爆発を起こす術式〝悪魔の片鱗〟も意味がない。むしろウィットの手が、ヒリヒリ痛くなるほどだからだ。


「まぁ、学生どもと遊ぶのなら、これで充分だろ。それに、もう引退して10年くらい経つ野郎に負けたくないしさ。いや、今のオマエは女子か」

「うるせぇよ……。おれだって好き好んで、女子になったわけじゃないんだ」

「知ってるよ。けど、事実は事実だ」


 ウィットはかなり手を上げて、ポールモールと拳を合わせあったのだった。


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