IFルート最初から決まっていた人
衝突の直前。
幼馴染だけが動かなかった。
冷静に。
全体を見ていた。
(このままじゃ全員壊れる)
そう判断した瞬間。
彼女は選んだ。
“勝つ”方法を。
煙幕が弾ける。
視界が奪われる。
警報が最大音量で鳴る。
混乱。
次に主人公が目を覚ました時。
そこは見知らぬ部屋だった。
静かで。
整っていて。
外界と切り離された場所。
椅子に座る幼馴染。
頬杖をついて、こちらを見ている。
「おはよう」
穏やかな声。
昔と同じ。
何も変わっていないように。
主人公が起き上がろうとすると。
手首に冷たい感触。
拘束具。
逃げられない。
「心配しないで」
幼馴染が立ち上がる。
近づく。
しゃがんで目線を合わせる。
「私が守るから」
その言葉は。
他の誰よりも静かで。
他の誰よりも重かった。
「もう誰にも触らせない」
髪を優しく撫でる。
壊れ物を扱うように。
主人公の脳裏に、過去がよぎる。
小さい頃。
いつも隣にいた存在。
当たり前すぎて、特別だと気づかなかった人。
「最初から」
幼馴染が言う。
「私だったんだよ」
「途中から来た人達は、みんな邪魔」
感情のない声。
事実を述べるだけのような。
「でも大丈夫」
微笑む。
逃げ場のない笑顔。
「もう排除したから」
主人公の心臓が凍る。
「……え」
声にならない。
幼馴染は首を傾げる。
「安心して」
「生きてはいるよ」
少し考えてから付け足す。
「今は」
窓の外には何もない。
森の中。
誰も来ない場所。
「ここなら」
彼女が囁く。
耳元で。
「二人きりでいられる」
主人公は理解する。
これは監禁じゃない。
誘拐でもない。
幼馴染が作り上げた
完成された世界
「ずっと一緒だよ」
彼女の腕が背中に回る。
逃げられない距離。
体温。
鼓動。
「今度こそ、誰にも渡さない」
主人公は抵抗できない。
力じゃない。
時間でもない。
積み重ねた年月に負けた。
IF END 幼馴染の勝利




