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第27話.共依存同盟

床に倒れていた先輩の指が、再び動いた。

血に濡れた手。

震えながら、床を掴む。

「……まだ……」

かすれた声。

誰もが凍りつく。

「終わって……ない……」

ゆっくりと、体を起こす。

普通なら立てる状態じゃない。

それでも。

先輩は笑った。

狂気に満ちた、壊れた笑顔。

「私、まだ負けてないよ」

後輩の目から涙が溢れる。

「先輩……!」

幼馴染も息を呑む。

人間の限界を超えた執念。

先輩は壁に手をついて立ち上がる。

足が震えている。

それでも倒れない。

視線はただ一人に向いていた。

少女。

「ねえ」

血の混じった声で言う。

「横入りはダメだよ」

少女は少し驚いた顔をする。

「壊れてなかったんだ」

本当に不思議そうに。

先輩は笑う。

「壊れてるよ」

一歩、前へ。

「最初から」

後輩が立ち上がる。

涙を拭い、ナイフを拾う。

「……一人でやらせない」

幼馴染も並ぶ。

無言で。

でも、目は同じ。

三人が横に並ぶ。

初めて。

主人公を奪い合うためじゃない。

守るためでもない。

——奪い返すために

先輩が言う。

「一時休戦」

後輩が頷く。

「取り戻したら、そのあとで決める」

幼馴染が低く呟く。

「同意」

三人の視線が少女に向く。

完全に“敵”として。

少女は、少し寂しそうに笑った。

「仲良しなんだね」

でも目は冷たい。

「でも無理だよ」

主人公の手を強く握る。

「この人は私のだから」

次の瞬間。

三人が同時に動いた。

速さも、動きも、狙いも違う。

なのに完璧に噛み合う。

偶然とは思えない連携。

狂気同士だからこそ分かる動き。

少女の表情が、初めて変わった。

「……すごい」

純粋な感想のように。

先輩が叫ぶ。

「返してもらう!!!」

血を撒き散らしながら突進する。

後輩が死角から襲う。

幼馴染が逃げ道を塞ぐ。

部屋の中で、愛がぶつかり合う。

奪い合うための戦い

救うためではない。

守るためでもない。

ただ——

「私のもの」を取り戻すため。

主人公は、その中心で立ち尽くす。

誰も正しくない。

誰も止まらない。

そして理解する。

もう、自分では終わらせられないと。

 

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