表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/33

第25話.原初の愛

警報が鳴り響く中。

扉が爆発と共に吹き飛んだ。

煙の向こうから現れた三つの影。


先輩。

後輩。

幼馴染。


三人の視線は、ただ一点に向けられていた。

拘束された主人公。

「見つけた」

先輩が震える声で笑う。

「もう逃げないよね?」

後輩はナイフを握りしめている。

「今度こそ一緒に帰ろう」

幼馴染は何も言わない。

ただ静かに、奪い返す準備をしている目。

そのとき。

主人公の隣にいた少女が、立ち上がった。

ゆっくりと。

音もなく。

三人の前に立つ。

細い背中なのに、なぜか圧倒的だった。

「だめ」

一言。

それだけ。

なのに——

空気が凍りついた。

先輩が顔を引きつらせる。

「……誰?」

後輩の手が震える。

「邪魔」

幼馴染が一歩前に出る。

「どいて」

少女は振り返らない。

ただ、主人公を庇うように立つ。

「この人は」

静かな声。

「私のだから」

その瞬間。

後輩が飛び出した。

最速の動き。

普通の人間なら反応できない。

けれど。

少女は、視線すら向けずに手を掴んだ。

止めた。

完全に。

「え……?」

後輩の顔が歪む。

信じられないという表情。

少女はゆっくりと振り返る。

初めて三人を見る。

その目には、敵意も怒りもない。

ただ——

絶対的な所有の確信。

「あなた達も」

首を傾げる。

「壊れちゃったの?」

先輩が笑い出す。

「ふ、ふふ……面白い」

「じゃあ壊し合おうよ」

幼馴染が低く言う。

「排除する」

後輩は震えながら呟く。

「先に好きになったからって、偉いわけじゃない」

少女は少し考えてから言った。

「違うよ」

一歩、前へ出る。

「あなた達は途中から」

もう一歩。

「私は最初から」

三人の目が見開かれる。

「この人しかいない」

その言葉には、迷いがなかった。

狂気すらなかった。

ただの事実のようだった。

だからこそ、一番恐ろしい。

先生が後ろで呟く。

「……やはり、この子が完成形か」

少女は拘束具を見下ろす。

そして、ためらいなく破壊した。

素手で。

金属が歪む音。

あり得ない光景。

主人公の手が解放される。

「大丈夫」

手を握る。

温かいのに、逃げ場がない。

「もう離さない」

微笑む。

初めて会った日のような、無垢な笑顔で。

三人が同時に動いた。

奪い返すために。

少女も動いた。

守るために。

その瞬間。

部屋の中で、愛が衝突した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ