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転生幼子は生きのびたい  作者: えぞぎんぎつね


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39 お風呂を作る相談

 僕がミアから石鹸草の見分け方や性質を教わっている間にティルは聞き取りを終えていた。


 ジルカは防衛設備がほしいと言い、ママは聖獣の子が落ち着く家がいいという。


 常にジルカやティルがいるわけではないので、防衛設備は大事だと思う。

 それに新しくやってきた聖獣の子たちが人になれるまで静かにくらす家も大事だ。


 どうやら、ママとティルは聖獣の子をこの拠点で保護していくつもりらしい。

 ここには瘴気がないし、綺麗な水もあるので子供を育てるのに最適な環境ということみたいだ。


「俺はお風呂から作るかな」


 ティルがそういって動き出した。


「おおー。ノエルもてつだうな?」「がうがう」

「ありがとう。ノエルとガルガル。でも、石鹸草についてはもういいの?」

「いい! もうおしえてもらったからな?」

「ノエルは本当に物覚えがいい。驚くほどだ」

「えへ、えへへへ」


 ミアが褒めながら頭を撫でてくれた。照れくさい。


「ノエル、今度は俺にも石鹸草について教えてくれ」

「まかせてな? あ、ティルはれんきんじゅつしだから、せっけんつくれそうだな?」


 ティルは魔導師なのに、錬金術も得意らしい。


「……まあ、成分によるけど、作れる可能性は高いかも」

「おお! つくれたら、つくって! さっぱりかんがちがうし?」


 ミアから聞いた感じだと、石鹸草をそのまま使うより石鹸にした方が気持ちが良さそうだった。


「わかった。お風呂ができたら試作してみようか」

「やったー」「わふわふ!」


 僕とガルガルがはしゃいでいると、ミアが言う。


「石鹸とやらが何かわからないが、石鹸草を採ってこよう。いつでもティルが作れるようにな」

「助かる。ありがとう。ミア」

「ありがと! ミア」「がうがう」

「お、我もついて行くのだ。石鹸草には興味があるのである!」


 そうして、ミアとジルカが石鹸草を採りに拠点の外へと走って行った。


「じゃあ、ノエル。どこにお風呂を作るかから決めようか」

「うん! ノエルはなー。家のちかくがいいとおもうな?」


 家から遠いと雨の日が大変だ。

 それに腐界の冬は結構寒い。

 この拠点は死の山に比べたら標高が低いからましかもしれないけど、それでも寒いに違いない。


 寒いと湯冷めして風邪を引いてしまう。

 多分、僕とかガルガルは大丈夫だけど、ミーシャたちが心配だ。


「確かに冬は寒いからな。家から遠いと湯冷めしてしまうだろうし」

「そう! なでなでばしょのちかくにたてる?」


 なでなで場所はすごく快適そうなのだ。

 お風呂上がりにのんびりしたら、気持ちがよさそうだと思う。


「それもいいな。ちょっとコボルトたちと相談しよう」


 ティルと一緒に、なでなで場所を建築中のコボルトたちのところに向かう。


「ノエルは頭が良いなぁ」

「ノエル、立派になって」


 そんな僕を父様と母様が見守ってくれる。

 ちなみにママはのんびり座って、ガルガルとアオたちを舐めてあげていた。


「なー、こぼるとたちー」


 声をかけると、


『どしたわん?』『なでにきてくれたわん?』


 コボルトたちが作業を中断して集まってくる。


「よーしよしよし」


 だから撫でまくった。

 全員を僕とティルが撫でると、満足したのか数頭を残して作業に戻っていく。


『てぃるみててわんね!』『がんばっているわん!』

「みてるよ!」


 コボルトたちは尻尾を振りながら、なでなで場所の建築を再開する。


 やっぱりコボルトたちは手先が器用だ。

 それに体が小さいのに力も強い。


 自分の何倍もある木材を軽々と運んでいる。


「せいれい魔法ってやつかー」


 感心していると、ティルが言う。


「ここの近くにお風呂を作ってもいいかな?」

『おふろってなんだわん?』

「えっとね。大きな鍋みたいなものにお湯を入れて中に入るんだけど」

『たのしそうだわんね』『きもちよさそうだわん』

「うん、たのしいし、きもちいいのな? おおきさはーこのぐらいでー」


 僕は聖樹の枝で地面にお風呂の簡単な設計図を書いていく。

 とはいえ、まだどんなお風呂にするか決めてないので、適当だ。


「あのいえがこれでー。しんでんがこれ。おふろがこれ?」


 尋ねてみると、ティルは「それでいいと思う」と言ってくれた。


「あと、脱衣所とかもほしいよね」


 脱衣所のことを忘れていた。

 ママの巣では脱衣所なんてなかったからだ。


「じゃあ、だついじょはこのぐらい?」

『けっこうおおきいわんねー』『みんなではいれるわん』


 途中からはコボルトたちも相談に参加してくれた。


『ゆぶねはいしでつくるわん?』『いしでつくるなら、とくいだわん!』

『からだをあらうばしょのゆかも、いしにするわん?』

『いしなら、すぐにつくれるだわんね!』

「おお、頼りになるな。さすがは大地の精霊」

『ほめられたわん』『なでてわん!』


 褒められたことに気づいたコボルトたちが集まってきたので、撫でまくる。

 作業中だったコボルトまで中断してやってきた。


 やっぱりコボルトたちは撫でられるのが大好きらしい。まるでガルガルみたいだ。


「よーしよしよし、頼もしいぞー。助かるよ」

「すごいすごい!」


 ティルと一緒にコボルトたち全員を撫でまくった。

 相変わらずもふもふで良い感じだ。


 全員を撫で終わると、コボルトたちのほとんどが建築作業に戻っていった。


「ちなみになでなで場所って、どのくらいの大きさになるんだ?」

『このぐらいだわんねー』

『なでなでばしょとつなげるわん?』

「近くに建てたいとは思っていたが、建物自体をつなげるのか。……それもありだな」


 ティルが「どう思う?」とこちらを見るので、


「すごくいいとおもうな」

 と返事をする。


 なでなで場所は快適な場所になるはずだ。


 夏場は窓を開けて涼しい風が吹くと思うし、冬場はあったかいに違いないのだ。


 少し想像してみる。


 夏場、湯上がりに、日陰に涼しい風が吹くなでなで場所でゴロゴロする。

 側にはガルガルとアオたちがいて、コボルトたちもいる。


 とてもよい。


 冬場はきっとなでなで場所はぬくぬくしているに違いない。

 湯上がりに、あったかいなでなで場所で、お昼寝するのだ。

 やっぱり近くにはガルガルとアオたちとコボルトたち。


 とってもいいと思う。

 春や秋もきっと最高だと思う。


『じゃあ、なでなでばしょとつなげるわんねー』

「うん。たのむな?」


 お風呂場の位置は決まった。なでなでばしょとつなげることも決まった。

 あとはお風呂場の中身だ。


「体を洗う場所は広めが良いよね」

「そだな? がるがるでかいし。あ、ろてんぶろもほしいな?」


 露天風呂はよいと思う。

 冬も夏も気持ちが良いし、春と秋もよいものだ。


「おお、いいね。でも、外からの視線をさえぎる必要があるから――」

『なんでだわん?』『みえたらこまるわん?』


 コボルトたちが不思議そうに首をかしげる。

 気持ちはわかる。なぜなら、聖獣は服を着ないのだから。

 裸を見られて恥ずかしいという感覚がそもそもない。


「人族は他の人、特に異性に裸を見せないんだよ」

『ふしぎだわんねー』『ひとぞくはかわっているわん』


 ティルに説明されて、コボルトたちは不思議がっていた。

 でも、人族が異性に裸を見られたくないということは理解してくれたみたいだ。


『なら、まほうをつかうわんね?』

「お、拠点を隠している魔法と同じもの?」

『そうだわん。まかせるわんね』

「ありがたい。助かるよ」


 コボルトの魔法があれば、外からは見えないのに、中からは景色を楽しめる。

 露天風呂のためにあるような魔法だ。


『おゆはどうするわん?』

「俺が魔法で出して湯船にためるよ」

「ぼくもだせるな?」


 そんなことを話していると、少し離れた場所で見守ってくれていた母様がやってきた。


「兄弟子。湯船の大きさを詳しくおしえてください。お湯の量はどのくらいなんですか?」

「えっと、そうだな。広さがこの位で、深さは――」


 ティルの説明を聞いて、母様は頷く。


「わかりました。ならば、この位のスペースを湯船の端に用意してください」

「それはかまわないが、何のために?」

「魔導具でお湯が冷めにくいようにします」

「おお、助かるけど、大変じゃないか?」

「同様の機能を持つ既存の魔導具はありますから。簡単です」

「じゃあ、お願いしたい。ありがとう」

「いえいえ、魔石は余っていますよね?」

「それはもちろん。毎日魔物を狩っているし、土壌改良魔法陣で魔石が産出しているからね」

「じゃあ、燃料は魔石にしましょう。ノエル。待っていてね?」


 そう言うと母様は僕の頭を撫でてくれた。


「かあさますごい!」

「ふふふ。でも、ノエルはお風呂に詳しいのね? 腐界ではあまりお風呂に入れないでしょう?」


 あ、まずい。

 前世で知っているとはまだ言えない。いつかは言いたいけど、今じゃないと思う。


 だから少し考えて、誤魔化した。


「…………なんとなく? あ、それにいえでおふろに入ったことあるしな?」

「小さかったのによく覚えているわね」


 なんて言い訳しようか一瞬迷ったけど、


「ノエルは天才だったんだなぁ。父と母の顔も覚えていたし」


 父様がやってきて僕の頭を撫でてくれた。


「そうなのなー。じつはけっこう、おぼえているのな? にいさまとじいさまのこともな?」


 天才だから赤ちゃんの時のことを覚えているということにした。


「おおー。さすが天才。ノエルは規格外だな!」

「ノエルは凄いわ」

「それほどでもあるかもな?」


 うまくごまかせて良かった。ひとまず安心だ。


 そんなことをしていると、コボルトたちとティルが使ったお湯をどうするか話し始めた。


『えへへー。よごれたおゆはどうするわん?』『えへへ、すてたらもったいないわんね』

「そうだなぁ。畑に使う?」

『つかうわん!』『たすかるわんね!』


 ……泥浴び場に使うとか言われなくてよかった。


 僕はちらりと、ママの横でのんびりしているガルガルを見る。


「ぁぅ?」


 ガルガルは何も気づいていない。安心だ。


 そのとき、ペロ親子とモラクスが戻ってきた。

 全員が大きな木を咥えて、引きずって運んでいる。


『まずよんほんもってきた』『まだまだもってくる』

「もっも」「わぅ~」

『ありがとだわん!』『たすかるわんね』

『さっそくつかわせてもらうわんねー』


 コボルトたちがお礼を言って建設作業に入る。


「ペリオス、ペリーナ。俺も手伝おう」

『だいじょうぶ』『よゆう』

「ノエルに木の切り方を教えたいしな。ノエルも人族の魔法を見たいだろう?」


 それは見たい。ものすごく見たい。


「みたい。ひとぞくの魔法、ノエル、きになるな?」

「だろう? ということで、一緒に行くよ」

『わかった』『ついてきて』


 人族の魔法を教えてもらえるのは、とても嬉しい。

 ティル、ペロ親子とモラクスと一緒に拠点の外へと向かうことにした。


「もっも」「わふわふ」

 モラクスとペロはすごく嬉しそうに、僕とティルの周りを駆け回っている。


「モラクス、ペロ、よろしくな」

「よろしくな?」

『もらくすがきをきるとこ、みてて?』「わふわふ」

「ああ、見せてもらうよ、楽しみだ」



 父様と母様は拠点の外にまでついてきたがったが、ティルが止めた。

 結界の外には瘴気があるからだ。

 僕は聖獣だから大丈夫だけど、父様と母様は人族だからあまり外に出ない方が良いのだ。



 父様と母様は、ティルに説得されて結界の中から僕たちを見守ってくれることになった。

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