37 新しい設備案
それからママと母様、父様がお話しし始めた。
「今日、ノエルは兄弟子から魔法陣を習って……」
「おお、人族の魔法など、教えてないというに……ノエルは天才であるな」
「魔導師だけでなく、俺の剣の才能も継いでいる様に感じるしな」
昨日、ママが帰ってからのことを、母様と父様が報告している。
そんなママにガルガルとアオたちが「がうがう」「にゃーにゃー」と甘えている。
ママは話しながら、ガルガルとアオたちを舐めてあげている。
僕は兄なので、甘えるガルガルとアオたちのことを撫でてやる。
ガルガルとアオたちは四匹いるのに、ママの舌は一枚しか無いのだから。
そうやって、のんびり過ごしているとお昼ご飯の時間になった。
お昼ご飯はカレーだった。
腐界のカレーは、相変わらずとても美味しい。
コカトリスたちもうまいうまいとおいしそうに食べていた。
僕もコカトリスたちも、ガルガルやアオたちもおかわりする。
ジルカが毎日お肉を採ってくるし、魔野菜もそこら中に生えているのだ。
だから、ご飯は一杯あるので、おかわりし放題だ。
余ったら、ティルの魔法の鞄に入れれば良いので、食べきれないほど作ってくれているらしい。
「おなかいっぱいになったな?」
「がうがう~」「……なぁ」「みゃ」「…………にゃ」
ガルガルたちもお腹いっぱいなようだ。
死の山でもひもじい思いはしなかったが、こちらの方が食事は美味しいし満足感がある。
「ぴよぴよぴぴよ」
ひよこも元気にカレーを食べている。どうやら最高にうまいらしい。
ひよこが、嘴でカレーライスを器用にガツガツ食べる姿はとても可愛かった。
お昼ご飯を食べた後、父様と母様とのんびりしていると、
「みんな聞いてくれ!」
ティルが大きな声でそう言った。
「どしたの?」「なに~?」
『なでてくれるわんか?』『あそぶわんか?』
エルフの子たちとコボルトたちがティルの元に集まった。
それから、もう一度呼びかけて、皆の注目を集めた後、ティルが言う。
「この拠点にも仲間が増えてきたわけだが、欲しい設備や建物はないか?」
「せつび? うーん」「建物かー」
エルフの子たちは真剣に考えている。
僕も考えてみた。
どんなものがあったら、嬉しいかな?
「なぁ~」
「うーん、アオはなにがほしい?」
「な?」
アオは特に何も考えてなさそうだ。
「……たしかにいいとこだものな?」
何か不満におもっているところはない。
寝床も快適だし、ご飯も美味しいし、遊びたいときは走り回れる。
ガルガルもアオたちも快適そうだ。
それに、聖樹の苗も死の山のときより元気に育っている。
そしてなにより臭くない。
「今すぐじゃなくてもいいのだけど、考えておいてくれると嬉しいな」
「わかったー」「でもおもいつかないねー」
「うん、べんりだものねー」「瘴気もないしね! お腹いっぱい食べられるし」
エルフの子たちも僕と同意見らしい。
だが、コボルトたちは興奮気味に尻尾を振りながらティルを囲む。
『なでなでばしょがほしいわん!』
「なでなで場所? それって、どんな場所なの?」
それは僕も気になる。でも楽しそうな響きだと思う。
『えっと、みんなが、こぼるとをなでなでするばしょだわん!』
「ほほう……ちなみにどんな機能があったらいい?」
『えっとー、ねっころがれるばしょだといいわんねー』
『みずがのめるといいわん!』『おやつもたべほうだいだといいわんねー』
『ひかげだといいわん』
『あ、でも、すずしい日にひなたぼっこもしたいわんねー』
「なるほどなるほど」
コボルトたちの考えるなでなで場所はとても快適そうだ。
コボルトたちやガルガル、アオたちと一緒にごろごろしたい。
「じゃあ、こういう感じで……、窓を大きめにして……」
『わふわふ?』
ティルは真剣な表情でコボルトたちとなでなで場所について話し合い始める。
ティルとコボルトたちは楽しそうに地面に設計図を描きながら話し合いを進めていく。
『まどをあけたら、かぜがはいるわんね?』
「そうそう。寒い季節に窓を閉めたままでも日差しが入るようにガラス窓にする?」
『いいかんがえだわん!』『がらすなら、すなから、つくれるわんね!』
『とくいだわん!』
「おお、すごい。さすがは大地の精霊だね!」
『ほめられたわん!』
ガラスも作るとは、大地の精霊はすごい。
「床は、他の家と同じで木でいいかな?」
『いいわん! きのうえにけがわをしくわんねー』
「うんうん。日向ぼっこができるように、テラスも作る?」
『いいわんね! てらすもきでつくるわん』『きのあたたかみをかんじるいえだわん』
『うずうずしてきたわん、つくってもいいわん?』
「もちろん良いよ!」
『やったわん!』『すぐにつくるわん!』
コボルトたちは楽しそうに走って行く。
ティルの力を借りなくても、コボルトたちは自分でも建築ができるのだ。
「もっもー」「わふわふわふ」「がうがぅ~」「わう」
楽しそうなコボルトたちを、モラクスとペロ親子が追いかけていった。
モラクスとペロ親子はコボルトたちを手伝うことにしたらしい。
コボルトたちを追いかけるモラクスもペロ親子も、楽しそうに尻尾を振っている。




