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転生幼子は生きのびたい  作者: えぞぎんぎつね


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34 聖樹の種を植えよう

「ふわぁぁぁ、よくねた」


 僕が目を覚ますと、ガルガルやアオたちも目を覚ました。

 ミーシャやエルフの子たちは僕より先に目を覚ましていたみたいだ。


「起きたか、ノエル」

「ん。あ、もうママはかえるじかん?」

「ああ、そろそろ時間だ」


 僕はアオたちを抱っこして、ママとガルガルと一緒に家の外へ向かう。


「それではまた明日だ」

「なぁ~」「みゃあ」「にゃあ」


 アオたちは昨日と違って泣かずに「また明日」と言っている。


「一日見なかっただけで、立派になったのだな……」

 昨日とは逆にママが泣きそうになっていた。


「ママ、またあしたな?」

「わぅわぅ」

「ああ、また明日だ。アオ、クロ、シロを頼むぞ」

「のえるにまかせてな?」「がうがう」


 それから、ママはティルたちにも挨拶して帰って行った。



 ママを見送っているとき、ふと気づく。


「む? てぃる!」

「どした?」

「まほうじんかいたな?」


 拠点の中の雰囲気が変わっている。

 新しく結界が拡がった部分の地面から魔力を感じた。


「ノエルは鋭いな。午前中に結界を広げたからね。土壌改良魔法陣を描いてたんだ」

「ぜんぶかいた?」

「まだだよ……魔法陣を描くところ見たいの?」


 それは絶対見たい。魔法陣を描くところは見たことがないのだ。


「みたい! みていい?」「あ、私も見たいです」


 僕が見たいというと、母様も見たいという。

 母様も魔導師だから、興味があるのだろう。


「もちろんいいよ」

「ありがと! あ、でも、いるみんのむすめのたねをうえないと! まっててな?」

「うん。ゆっくりでいいよ」


 魔法陣を描くところは見たいが、聖樹の種を先に植えなければならない。

 なるべく太陽が出ている間に植えてあげたいのだ。


 ほんとは昼寝の前に植えるべきだったかもしれない。

 いや、朝、鬼ごっこをする前に植えるべきだったかも。


 だけど、忘れていたのだから仕方がない。


「ちょっとまっててな~」

「がうがう~」


 背中にアオたちを乗せたガルガルと一緒に家の中へと戻る。


「たねはー、あった!」

「がうがう!」

「お、聖樹の種を植えるの?」


 家の中で何か作業していた父様が言う。


「うん、うえる。とうさま、なにしてた?」

「ん? 父は貴族だからな。色々と手紙を書いたりしないとダメなんだよ」

「ほえー?」

「腐界にいる間、留守にしているだろう? なぜ留守にしていたかもお知らせしないとな」


 僕を助けるために腐界に入っていました。

 おかげさまで、無事助け出すことができました。


 みたいなお手紙を出すらしい。


「たいへんだな?」

「全然大変じゃないよ。大変なのは父上、ノエルのおじいさまかな?」

「そっかー」


 父様と母様が居ない間、祖父様が一人で頑張っているようだ。


「ま、ノエルが気にすることじゃないさ」

「わかった!」


 そんなことを話している間に、父様の作業に一区切りがついたらしい。

 僕はガルガル、アオたち父様と一緒に家から出る。


「とうさまも、ノエルがいるみんのむすめをうえるとこ、みててな?」

「ああ、楽しみだなぁ」


 僕はティルの元へと走って行く。


「ねね、てぃる! どこにうえたらいい?」


 確認は大事なのだ。


「好きなところに植えていいよ」

「ノエル。できればこの辺りにお願いしたいの」


 ティルは自由と言ったが、リラには植えてほしい場所があるらしい。


「む? リラ、ここ?」

「そう、そのあたり。そこに植えると、神殿がより強固になるの」

「ほえー。すごいなぁ?」「わふわふ」


 よくわからない神様の色々なことがあるのだろう。

 

「このあたりにうえるよ!」

「がう!」「な」「みゃ!」「にゃ」


 僕はガルガルとアオたちと一緒に穴を掘る。

 とはいえ、種を植えるだけだ。そんなに深く穴は掘らなくてもいい。


「むふー。このぐらいでいいな? がるがる。もういいよ?」

「…………」

「もういいよ? あお、くろ、しろも」

「…………にゃ」


 止めたのに、ガルガルとアオたちは止まらない。

 穴を掘るのが楽しくて仕方ないらしい。


「ほりすぎだな? とまるの!」

「がうー」「なあ」「みゃあ」「にゃあ」


 少し強めに言ってやっとガルガルとアオたちは穴掘りを止める。


「もう、しかたないんだからー。穴がふかすぎても、だめな?」

「ぁぅ~」「……」「……」「……」


 ガルガルはごめんと言っているが、アオたちは不服そうだ。


 ガルガルたちが掘った穴の深さを調節して聖樹の種を入れて、そっと土をかぶせていく。


 すると、コボルトたちがやってきて、ガルガルとアオたちに言う。


『あの辺りならあなをほっていいわん』『あとで畑をつくるわんからねー』

「がう?」「なぁ?」「みゃ?」「にゃ?」

『いいわんね? ティル』

「いいよ。畑を作るのに耕したいんでしょう?」

『そうなんだわん!』


 なにやら、畑を作る前に土を掘り返して柔らかくしたり石を取り除いたりするらしい。

 そのついでにガルガルたちに穴を掘らせてくれるみたいだ。


「ガルガル、アオ、クロ、シロも、一応注意点として……」


 ティルから魔法陣に関する注意事項を説明された後、

「がう!」「なぁ」「みゃ」「にゃ」

 ガルガルとアオたちは楽しそうに穴掘りを始めた。


 その間も僕は種を植えている。


「……ノエル、思ったより種はたくさんあるんだね」


 種を植えているとティルに尋ねられた、


「えっとな、ママがいるみんのむすめをくばっているのな? それで聖獣が実を食べるのだけど」


 聖獣たちはみんな聖樹の実が大好きだ。だけど種を植えたり芽を出させたりできない。

 だから、聖樹の実を食べ終わった後、残された聖樹の種はママに届けられる。


「だから、種がママのところにあつまるのなー」


 聖樹を育てることができるのは僕だけなのだ。

 だから、聖獣たちは聖樹を僕に育ててほしいのだ。


「げんきにそだてよ~」


 種を植え終わると、いつも通り聖樹の枝で地面に触れて魔力を与える。

 するとあっという間に芽を出てきた。今日植えた種は五つだ。


「相変わらず見事なものだな」

「本当に。ノエルの魔力は凄いわね。操作も見事としか言い様がないわ」


 魔導師のティルと母様が褒めてくれる。やっぱり凄腕の魔導師に褒められると嬉しい。


「将来有望だな! 凄いぞ、ノエル! ティルもそう思うよな!」


 ティルと母様に僕が褒められると、父様も嬉しそうだ。僕も嬉しい。


「ああ、努力を怠らなければ、魔導師系の職なら何にでもなれると思うよ」

 ティルがそう言うと、すかさずリラが、

「神官になるのもいいわよ。楽しいし、気楽だし? 考えてみて」

 そう言って、頭を撫でてくれた。


「そっかー? なんでもなれるかー。えへへ」


 神官になるかはともかく、褒められると嬉しい。

 調子に乗って、聖樹の種に魔力をあげつづけた。


「お、おお……成長が早いな」

「なー、さすがはいるみんのむすめだな?」


 聖樹は本当に凄いのだ。魔力さえあげればあっという間に育ってくれる。


「聖樹が凄いというより、ノエルが凄いのよ。うちの神が気に入る訳ね」


 出たばかりの芽はすくすくと高さ一メートルまですぐに育った。 


 このぐらいまで大きくするのがちょうど良い。

 一日であまりでかくするのも良くないとママが言っていたし、ほどほどがいいのだ。


「よしよし。おまたせだ! てぃる。まほうじんかくとこ、見せてな?」



 聖樹の苗を育てたら、いよいよ魔法陣の見学だ。


「いいよ。こっちおいで」


 そう言って、ティルが歩き出したので、ついて行く。

 父様、母様、リラにペロとガルガル、モラクスも一緒だ。


 アオたちは僕と母様、父様が一匹ずつ抱っこする。

 アオたちは抱っこが好きなのか、大人しい。いや、やっぱり穴を掘って疲れたのかもしれない。


「このへんは、もうまほうじんかいた?」

「うん。描いてるよ。これから描くのはこの辺りから」

「ふむふむ。きになる」

「勉強させていただきます」


 僕と母様が見つめる中、ティルは地面に魔法陣を描き始めた。

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