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潮枯れの王国で“偽”聖女と巡視隊士が恋を知るまで――五つの海と真珠の旅

作者:乾為天女
 海辺の小国アジュレアで目を覚ましたこはるは、自分が異世界に転じたと悟る間もなく、“聖海の乙女”に酷似していると疑われ王宮へ連行される。処罰寸前、巡視隊士の海人が「浜で倒れていた」と庇い、三日の猶予を勝ち取った。だが王国は海が痩せる〈潮枯れ〉に襲われ、漁も物流も途絶えかけている。古文書が示した唯一の対処法は、五つの海に散った〈海を癒やす真珠〉の欠片を集めること。こはるは「ここで生きる」と腹を決め、海人と共に旅立つ。

 道中で、即断即決で先頭を切る傭兵タイ、現実的な処方で人を救う薬師ケイトリン、寡黙だが歩を合わせて守る騎士ディラン、人の心を立て直す歌を紡ぐ吟遊詩人ダルセが仲間に加わる。藍海の青光る洞窟、紅海の沈黙市場、白海の氷宮、黒海の廃聖堂、翠海の海底神殿――五つの海は、それぞれに美しく、それぞれに危うい。欠片が近づくと胸に脈打つ共鳴が響き、こはるは的確に方角を定めて進む。海人は広く浅い知識を柔らかく繋ぎ合わせ、人や情報の橋を架ける。二人の歩幅は、旅を重ねるほど自然に揃っていく。

 やがて黒潮の陰で“古の海帝”の復活を目論む眷属の存在が露わになる。タイは過去、孤児だった自分が知らぬ間にその計画に手を貸してしまったと告白し、罪の残響に震える。白海では氷の罠に囚われたこはるを海人が素手で救い出し、夜明けの湯気の中で二人は言葉にできない想いを知る。翠海で最後の欠片を得た瞬間、眷属が強奪。希望は砕け、こはるは膝をつくが、海人の「終わりじゃない」という一言が灯を繋ぐ。
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