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02 「フェアリープリンセス・リリィ」原作と少しの裏話

こちらの話はエッセイ【短編の後書きとか解説とか】に掲載していた迷作フェアリープリンセス・リリィの内容と打ち切り以降のメロディ先生のプロットです。


読み飛ばしても、多分、大丈夫かなと思います。

意思が強くて天真爛漫な美少女リリィ。とっても舞が上手で、みんなに愛されて育った。地方では精霊の舞を踊るのが16歳の成人の儀式だ。リリィは幼い頃から、その舞が行われれば、必ず出向いて飛び入り参加し、精霊姫を踊っていた。リリィが踊れば皆喜んでくれる。父も母も褒めてくれた。


15歳になった年も飛び入りで精霊姫を踊って、皆を喜ばせた。偶然、そこに父が仕えている領主様が立ち会っており、リリィの舞を大変褒めてくれて、16歳になったら、王宮で行われる精霊の舞に出られるようにしてくれた。皆に喜んでもらえるよう頑張るわ!


リリィは王宮で参加した精霊の舞では小妖精だったが、いつものように中央に躍り出た。気分良く踊っていたら、精霊姫を踊っていた女の子に頰を打たれる。普通ならリリィが出てきたら、そっと退くはずなのに。なんて乱暴な人なんだろう!その意地悪な女の子せいで精霊の舞は台無し。だから女の子は罰として牢屋に閉じ込められた。


自分では気が付かなかったけど、リリィは舞の腕前を精霊に認められ、祝福を受けたという。王宮で行儀見習いとして、出仕することになり、リリィは素敵な王子様エリックに恋をした。エリックの友人の公子ジョルジュもリリィが好きらしい。ジョルジュ様もカッコいいけど、でもリリィはエリック様が好き。どうしよう、困っちゃう。


そんなリリィを城の女の子達は妬んで意地悪をするし、お城での仕事は辛い。リリィは失敗ばかりで落ち込んでしまう。とうとうリリィは、自分はエリックに相応しくないと思い、故郷に帰ってしまう。


故郷では幼馴染の騎士のジミーが温かく迎えてくれる。ジミーは仲間達とリリィを元気付けるために、美しい池や、花の咲く丘に連れて行ってくれたけど……やっぱりエリック様が忘れられない。ジミーに頼んで王宮に連れて行ってもらおうと思ったら断られてしまう。ジミーは自分のお嫁さんになってくれって。でもエリック様に会いたいの!リリィはジミーの馬に乗って王都を目指した。


一巻はここで終了。

以下は西園寺メロディ先生のプロットです。

この後のストーリーをエレクトラは知りません。


森をジミーの馬で駆け抜けようとしたが、乗馬を練習したことのないリリィはとうとう振り落とされる。そこに笑いながら現れたのは、災いをもたらす妖精ドゥッキー・ドット。彼はリリィを城まで連れて行ってくれると言うが、リリィは騙されない。きっと何か企んでいるんだわ!しかしドゥッキー・ドットは言う。リリィに祝福を与えたのは自分だと。だからリリィを助けるのは当然だと言うではないか。


なんと、リリィは災いの妖精に祝福を与えられていたのだ。どうりで城の女の子達に意地悪をされると思ったのだ。ドゥッキー・ドットのせいで酷い目にあったとリリィは怒った。しかし、リリィが嫌われるようなことは何もしていないと言う。むしろリリィが自ら自分勝手なことをして、みんなに迷惑をかけ、嫌われる姿が痛快だから、祝福を与えたと言うではないか。ドゥッキー・ドットは、自分と一緒に、もっと世界を混沌に陥れよう。そのためにリリィを王妃にしてやると言うのだ。


リリィは悲鳴をあげて逃げた。背後からドゥッキー・ドットの笑い声が聞こえる。走って走って走ったら、木の根っこにつまずいて転んだ。そしてお腹が減ったことに気付く。顔を上げると町が見える、一番近くにある民家の扉をノックをしても返事はない。でもスープの美味しそうな匂いがする。窓が開いていたので、そこから中に入り、スープとテーブルにあったパンとりんごをいただいた。すると奥から、人が現れて、誰だ!と怒鳴られた、びっくりしつつも「お腹がすいてしまったの」と微笑んだら「泥棒!」と追い出された。なんて、意地悪な人なんだろう。


リリィはこんな酷い扱いを受けたのは初めてだ。故郷では、人の家でリリィが何かを食べていても怒鳴られたことはないし、素敵なスカーフや髪飾りを見つけて、持ち出しても泥棒なんて言われたことはない。


それにしても森でドロドロになった服を着替えたい。こんな汚いなりでエリックに会えない。他の家に入って着替えていたら、再び「泥棒」と間違えられて追い出された。意地の悪い人達ばかりで、リリィは悲しくなった。故郷が恋しい。でもエリック様が待ってるわ!


そんな事を続けながら旅をしていると、とうとう、ある町の警備隊に追い詰められ逮捕されそうになる。そこに居合わせたのは公子ジョルジュだ。ジョルジュは警備隊にリリィは自分の知り合いだ、犯罪者ではないと言うが、警備隊も譲らない。リリィは間違いなく、レストランで無銭飲食をし、洋品店で試着したまま代金を払わず出て行ったという。


誤解があるのではないかとジョルジュはリリィに確認すると、リリィは「お金を要求するなんて酷い店だわ!」などと言うではないか。流石にジョルジュも驚いた。とにかくジョルジュは代わりに代金を支払うことにし、リリィを許してもらえるよう取り計らった。


ジョルジュは街にある屋敷にリリィを連れて帰ると話を聞いた。リリィの話を聞いたジョルジュは、優しく説明した。人の家で勝手に食べ物を食べたり、物を持って行っては泥棒と同じである事を。当然、レストランや商店ではお金を支払わなくてはならないと、リリィに説明する。また、ジョルジュは、リリィの父親は平民ではあるが、伯爵家の騎士団の団長であった。そのため、故郷ではリリィは街の人から特別待遇を受けていただけなのではないかと推測した。


そして、リリィの振る舞いは、本当は街の人にとって迷惑だったのだ。だからリリィはドゥッキー・ドットに目を付けられた。


リリィは「なんてことなの、私が悪かったなんて」とショックを受けるが、災いの精と縁を切るためには、自分の行動を直さねばならない。リリィは今までの行いを改めることにした。


しかし、それを許さぬ者がいた。エリック王子だ。彼は災いの妖精であろうが、リリィに力を与えてくれるなら利用すべきだと言う。ドゥッキー・ドットの力を貸してくれるならリリィを妃にしてもいいと言う。リリィの心は揺れた。しかし、ジョルジュの説得によりリリィはエリックの誘いを断ち切ることが出来た。ドゥッキー・ドットは「つまんねー!」と言ってリリィへ与えた祝福を消し去り、どこかへ行ってしまった。


ジョルジュは例えリリィに祝福がなくても愛してると伝え、リリィはそれを受け入れた。エリックは災いの精の力を得ようとした事を王に知られ、幽閉となる。


ヒーローは悪役に転落。

当て馬男がヒーローに昇格した。


そして数年後、薄らと王族の血を引くジョルジュが国王となり、心を入れ替えたリリィが王妃となって終わる。

リリィが心を入れ替える前に打ち切りになってしまったため、自己中なヒロイン・リリィは昭和の少女達から永遠にドン引きされたままです。


西園寺メロディ先生、迷走中の作品です。


「絵は可愛いんだけどね」と言われていましたが、少女達に好かれるヒロインを描けないというのは少女漫画家としては致命的だったかもしれない。


メロディ先生は人間の狡さ愚かなど、影の部分をエッセンスとしてストーリーに入れ込みたい作家でありましたが、当時の担当者は綺麗で可愛いストーリーを描いてもらいたいというミスマッチが化学反応を起こし、リリィというモラル爆発モンスターヒロインを誕生させてしまったようです。

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― 新着の感想 ―
ギャグ路線だったら打ち切られずに完走できたかもしれないですね
倫理感がここまてトチ狂っているヒロインも珍しい! いや、冤罪かけて処刑するヤバいヤツもいるけど。 災いの妖精の話というより、ちょっと?した?ヒトコワ物語ですね。
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