第一話 転生と基礎
読んでくれてありがとうございます。
弱者が強くなる世界での、最強になった勇者の話です。
基本的に無双するので、読んでて飽きない構想を心がけていきます。
おれの名は「大林翼」。
たったいまよそ見をしていてトラックに轢かれたところだ。
ははっ。
おれは死ぬのか……?
せめて天国に行きたい。ついでにいうと、かわいい女の子もいれば最高だ。
ゲームもしたいな。
あー─────……
死にたくねぇ……な……………
こうして、弱冠19歳で死んだおれ。
どさっ
いてっ!
「痛ってぇな!なんだよ……!もう。」
ん?話せる……
肉体もある……
もしかして、異世界転生とかいうアレか?
おれはあまり興味なかったから、そういうのには手を出してこなかったけど。
「おれは空から降ってきたのか………?
はっ!人がいる……?
すみません!」
「ようこそ。教会へ。
………はて?見慣れぬ子ですね。
預言者さま!この子は……?」
「予言にねぇな。
おそらく「神の子」と呼ばれる現象の犠牲者だ。」
「神の子……?」
うおおおお!!神の子だ!!!
わああああああああ!!!
「こんな町に神の子が生み落ちるとは………
ありがとうございます。神さま……!」
「おいおっさん、どういうことだよ?」
「コイツ………!
おいシスター、ふたりきりにしてくれ。」
「あっ、はい!」たたたっ…
いい尻のねーちゃ………
いやいや、こんなときに性欲丸出ししてる場合じゃねぇ!
「おい、お前どこ出身だ?」
「日本。時代は令和。」
「レイワ……?
多分、わたしの時代とは異なる転生者だな。」
「転生者………?はっ…!
そうだ!おれ死んだんだった!
おっさんも死んでここに来たクチか?」
「そうだ。
わたしは23でここに来た。
お前と同じく、この魔王の懐に一番近い町「リトルタウン」にな。
そして、昔魔王をぶっ殺した。」
「じゃあ、いまは平和ってことか?
ちなみにおれは19歳で……」
「ちがう。
魔王は魔王側の政権争いによってすぐに首がすげ替わる。
19ぅ?ガキじゃねぇか。敬語使え!」
「さ、サーセン!
おっさんは何者ですか?」
「いい心構えだ。
わたしは「指導」。わたしがお前に名前を授ける。
異名は「神の子」。名は「神童」……ってのはどうだ?」
「おれは昔神童って呼ばれてたけど、
いまは普通の頭悪い一般人になったぞ?
神童ってのは、子どもの世界だけの話だ。」
「そう思うなら勝手にしろ。
神童、わたしがお前を『最弱』にしてやる。」
「最弱ぅ?最強じゃなくって?
てか、ここは日本か?日本語だよな?」
「『概念魔法』っつってな。
概念をいじれるやつが、この世界にいるんだよ。
そいつは神と呼ばれ、数々の概念を作り、この世界で生きたとされている。
といっても、存命中だがな。」
「それって、昔話か?」
「そうだ。
そいつは日本出身の転生者で、この世界のわたしの親友だ。
異名は「神」。
そいつは概念を日本ベースにし、この世に日本っぽい文化や文明を作った。」
「おれからしちゃ、いい人だな。」
「そうだな。
神童。お前は概念にしたがって、最強になってもらう。」
「今度は最強?どっちなんだよ。」
「まあ、アイツ………神は元々身体が弱かったらしくてな。
真っ当な身体に生まれ喜んだのは束の間、非力だったらしい。
そんな自分を強くするために、「弱いは強い」という概念を作った。
………どう考えても矛盾した概念をな。」
「じゃあ、弱いのが強いのか?
地面に落ちたとき痛かったぞ?」
「け・い・ご!
物理的な概念は変えられなかったらしくてな。
だから、神は弱者にのみ『チート級の魔法』を目覚めるようにしたらしい。
弱くなればなるほど、強い魔法が目覚めるってことだ。」
「そうなんすか。
おっさんは何の魔法なんですか?」
「『予言』だ。
わたしはひとつの魔法だけで最強になった。
ほれ、見てろ。あそこの壁。」
「壁だ。
で?これがなんです?」
ビッ……
ジュッ
「レーザービーム!?」
「わたしが作った、物理概念否定技術のひとつ『魔力をしぼる』だ。」
「物理概念否定技術……!かっけぇ!」
「そうだな。
………で、神童。お前を最弱の最強にしてやる。
お前、どんなキャラだ?インドア?アウトドア?」
「アウトドア……というか、インドアな趣味もあるけど、
陽キャ……リア充側の人間でした。」
「そうか。
なら剣士タイプだな。」
「魔法剣士っすか!?かっけぇ!!」
「そうだ。正しくは「魔導剣士」だが、好きに呼べ。
そして、わたしが作ったルールだが「本気は一瞬」だ。」
「本気は………一瞬?」
「そうだ。
わたしは本気を一瞬出して、魔力を概念外の威力で放出してる。
コツはあとで教えてやる。」
「はい!師匠!」
「よし。できればおっさんよりもそっちで呼べ。」
「うす!
で、師匠!なんで師匠に?」
「わたしも転生者……「神の子」だ。
そんな「神の子」という現象の被害者たちを、何人も育ててきた。
そして、わたしは預言者と呼ばれるまでになった。」
「そうなのか。
さすが預言者さま!」
「よせやい。
で、そいつらは最弱になるやつ、才能がなくて最強になったやつ。
ま、色々いて、この町から出て行った。
街の方に行くとたまに会うがな。」
「で?おれに勇者になれって言うんすか?」
「なるのは自由だ。
勇者は、魔王を倒したやつの称号に過ぎないしな。」
「そうなんですか。
ところで、魔法ってなんすか?」
「魔法ってのは、「使うぞ!」って思うと出るチカラだ。
右手の手のひらを上に出せ。
そして少し揺れるくらいのチカラで動かして、こう思え。」
「『出ろ』!……とかっすか?」ブオーン…!
「そうだ。
そしていま、魔法陣が一瞬出たな。
どんな感じだった?」
「はぁ?
魔法って、物理的なものが出るだけなんじゃないの?」
「馬鹿!ゲームでもあるだろ!
バフ、デバフ、回復魔法!
あと、フィールドで使えるルーラとか!」
「あ、そっか。」
「どんな感じだった?」
「わかんないっすね。
持続して使うのはどうやるんです?」
「そうだな……
右手をかかげて、「使用!」って思えばいい。」
ばっ!
「使用!」ブオーン………
「解除したくなったら「解除!」と思考しろ。
慣れれば発動もノーモーションで使えるようになる。」
「うす!」
「で?どんな感じだ?」
「師匠に指導されるイメージが頭に……」
「なら、「予知」だな多分。」
「予知!
最強じゃないっすか!あと王道だし!」
「予知は膨大な魔力があれば最強だ。
予言だと、神童はわたしの4倍くらいか。
それでも少ない方だが充分だな。」
「あざっす!」
「それじゃあ、基本も教えたし指導してやろう。
わたしは厳しいぞ?」
「お願いします!!」
「おう。」
こうして、おれが勇者になる物語が始まった。