表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

「お前を愛することはない」と言われたので、男色家ですか?問いたら、結局、アレだった。素晴らしいじゃないと幸せになった転生者の話

作者: 山田 勝

「アーデル、お前を愛することはない!」


 え、そんなことを言われたら・・・・つい言ってしまう。


「旦那様は男色家ですか?」


 と。



「な、なんだと・・・・」



 私は、アーデル、ハイト伯爵家の虐げられ子に転生をした日本人だ。佐藤定子、普通の主婦だった。


 年齢54歳、もうね。孫がいる年齢よ。

 病院で意識を失ったら。


 私は屋根裏部屋のベットの上にいた。西洋風の女二人と医者がいた。


「息を吹き返しました・・」


「フン、これにこりて毒を飲まない事ね~。あ~いやだ。いやだ。自殺ごっこね」

「アーデル、可哀想アピールウザい」



 何だ。これは?


 日記を読んだ。

 お父様が再婚した。屋根裏部屋に押しやられて、義母と義妹ばかり優遇される・・・

 辛い。辛い。婚約者も取られた。毒を飲もう。


 貴女の体の中に私の魂が入ったのね。どうやら異世界みたいだ。魔法がある。


 アーデル、可哀想。だから、私がこの体で人生を楽しまなきゃ。


 私は屋敷内を自由に歩き回った。日当たりが良い。あそこでお昼寝をしよう。



「アーデルのくせに、何で、ソファーで寝ているの?」


 ズボッ!


「ガアアアアアー」


 ノドをついた。仏骨だ。


「ああん?おまえさ~、義妹だろう?お仕置きをしてやる!」


 縛って、庭の木に吊して、ホウキで叩いていたら、お義母様がやってきた。


「オラ!オラ!お義姉様と言えよ。義姉より優れた義妹なんていねーんだよ!」


 バシ!バシ!


「ヒィ、お母様助けてーーー」



「アーデル!何をしているの!ウゲ!」


 フフフフ、落とし穴を掘った。



 お父様は激怒だ。


「アーデルお仕置きだ!食事抜きだ!」


「ああ~ん?どうせ、いつもろくな食事を与えないくせに」


 これは日記とこの体で知った。痩せている。



「ヒィ、アーデル様!」


「寄越しなさい!」


 厨房に行って、やつらの飯のトレイを強奪した。


 そして、日当たりの良いロビーのソファーで寝っ転がって、恋愛小説を読む。

 そんな日々を過ごした。日本と変わらんな。



 ブゥウウウウウ~~~~


「う、臭い。『今更、嫁の屁で驚く旦那かな』これいい。毒太郎さんに投稿しよう」



 何度か、追っ手が来たが、撃退をした。


「お嬢様!椅子をフルスイングするのはやめて下さい!」


「あ~ん。こちとら1980年代を生き抜いたヤンキーだけど?」


「ヒィ、意味が分からない!」


 そんなこんなをしていたら。



「アーデル、お前は、公爵様に嫁入りだ!」


「ほら、釣書見せなさいよ。いい男じゃない。行く!」




 ・・・・・・




 どうやら、後で知ったことだが、32歳独身、変わり者公爵らしい。嫁が次々に逃げ出したらしい。




「・・・・男色家と侮辱されたのは初めてだ!」


「だって、男だったら据え膳は食うでしょう。ほら、この体、痩せているけど、顔は整っているでしょう」


「実は・・・・」

「好きな女中がいるなら、別に構わないから」


「違うんだ。インポーなのだ」

「あ、そう。じゃあ、アンタの好きにしな。離婚でもいいよ。これは聞かなかったことにしてあげるわ」



 それからの私の生活は楽だ。使用人たちが全てやってくれている。

 いいね。上げ膳据え膳じゃーないか?

 こちとら54歳、もうね。今更、男とチュチュしようとは思わないんだよ。



 プゥ~~~~、


「あら、やだ。かゆい。ボリボリ~と」



 ・・・・・・



 ある日、公爵が神妙な顔をしてやってきた。


「実は聞いてくれないか?インポーというのは嘘だ。私はカレ専だ」


「ほお~いいね。話を聞こうか?」


 私は末子だった。妾の子だ。屋敷に引き取られても誰も関心を示さなかった。食事にも事欠く有様だった。



 しかし、メイド長のフラワ夫人は、私を抱っこしてくれて、


『坊ちゃん。大丈夫、私が守ってさしあげますわ』

『グスン、グスン、なら、僕が大人になったらフラワを守る!』

『まあ、嬉しいですわ』


 それから、私は頑張った。勉強も剣術も社交も、ついに兄弟姉妹を押しのけて、この座についた。


 しかし、プロポーズをしようとしたら、フラワは・・・病気で亡くなっていた。



「グスン、グスン、君にフラワの面影を感じるんだ。16歳の君に!」


「まあ、感心な子ね。こっちにきな。ヨシヨシしてあげる」


「グスン、グスン、グスン、アーデル」

「ヨシ、ヨシ、ヨシ、天国でフラワ様は見ているわ。フラワ様はおいくつ?」


「享年54歳だ」


「す、素晴らしいじゃない!」




 ・・・・・・・



「オギャー!オギャー!」


「アーデル!有難う!」

「フフフフフ、女の子だね」


 長女が誕生した。性別はどちらでも良いと喜んでくれている。

 いい男だね。貴族なのに。


 あ、そうだ。ハイト家。


 公爵様が笑顔になって、社交界で評判になった。元々いい男だ。

 そしたら、

 義妹がやってきた。とんでもない事実陳列罪を犯しやがった。


『公爵様、お義姉様は屁をこきます!とても臭いです』


『それが何か?屁は臭いものだが?「屁の匂いを嗅ぎ合う仲」というではないか?』


『・・騙されないで下さい。私はイジメられました。それも木に吊されて、バチン!バチンと!』


『アーデルがそうするには何か理由があるはずだ。調査をする!』

『ヒィ!やっぱ宜しいですわ!』


 公爵様が何かしてくれた。アーデルを虐待した証拠が出てきた。

 ハイト家はもうない。


 これが幸せかどうか分からないが楽しくやっている。





最後までお読み頂き有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
唐突に地獄突きかましたところで吹いた ガアアアアアーじゃないが 読者にも不意打ちだった てか元54歳って言うからちょっとやそっとじゃ怒らないマダム想像するじゃん? ひと味違ったね…… おもろかった
婚約者が涸れ専宣言して来たけど、これ育てたのが妙齢の女性だったらママ専なんだろうけど ママ味超えたオカン味趣味になってしまったと なんでだろう・・・ママ味が好きで欲しいと言う男だとマザコン野郎と婚約…
テンポがすごいwwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ