「お前を愛することはない」と言われたので、男色家ですか?問いたら、結局、アレだった。素晴らしいじゃないと幸せになった転生者の話
「アーデル、お前を愛することはない!」
え、そんなことを言われたら・・・・つい言ってしまう。
「旦那様は男色家ですか?」
と。
「な、なんだと・・・・」
私は、アーデル、ハイト伯爵家の虐げられ子に転生をした日本人だ。佐藤定子、普通の主婦だった。
年齢54歳、もうね。孫がいる年齢よ。
病院で意識を失ったら。
私は屋根裏部屋のベットの上にいた。西洋風の女二人と医者がいた。
「息を吹き返しました・・」
「フン、これにこりて毒を飲まない事ね~。あ~いやだ。いやだ。自殺ごっこね」
「アーデル、可哀想アピールウザい」
何だ。これは?
日記を読んだ。
お父様が再婚した。屋根裏部屋に押しやられて、義母と義妹ばかり優遇される・・・
辛い。辛い。婚約者も取られた。毒を飲もう。
貴女の体の中に私の魂が入ったのね。どうやら異世界みたいだ。魔法がある。
アーデル、可哀想。だから、私がこの体で人生を楽しまなきゃ。
私は屋敷内を自由に歩き回った。日当たりが良い。あそこでお昼寝をしよう。
「アーデルのくせに、何で、ソファーで寝ているの?」
ズボッ!
「ガアアアアアー」
ノドをついた。仏骨だ。
「ああん?おまえさ~、義妹だろう?お仕置きをしてやる!」
縛って、庭の木に吊して、ホウキで叩いていたら、お義母様がやってきた。
「オラ!オラ!お義姉様と言えよ。義姉より優れた義妹なんていねーんだよ!」
バシ!バシ!
「ヒィ、お母様助けてーーー」
「アーデル!何をしているの!ウゲ!」
フフフフ、落とし穴を掘った。
お父様は激怒だ。
「アーデルお仕置きだ!食事抜きだ!」
「ああ~ん?どうせ、いつもろくな食事を与えないくせに」
これは日記とこの体で知った。痩せている。
「ヒィ、アーデル様!」
「寄越しなさい!」
厨房に行って、やつらの飯のトレイを強奪した。
そして、日当たりの良いロビーのソファーで寝っ転がって、恋愛小説を読む。
そんな日々を過ごした。日本と変わらんな。
ブゥウウウウウ~~~~
「う、臭い。『今更、嫁の屁で驚く旦那かな』これいい。毒太郎さんに投稿しよう」
何度か、追っ手が来たが、撃退をした。
「お嬢様!椅子をフルスイングするのはやめて下さい!」
「あ~ん。こちとら1980年代を生き抜いたヤンキーだけど?」
「ヒィ、意味が分からない!」
そんなこんなをしていたら。
「アーデル、お前は、公爵様に嫁入りだ!」
「ほら、釣書見せなさいよ。いい男じゃない。行く!」
・・・・・・
どうやら、後で知ったことだが、32歳独身、変わり者公爵らしい。嫁が次々に逃げ出したらしい。
「・・・・男色家と侮辱されたのは初めてだ!」
「だって、男だったら据え膳は食うでしょう。ほら、この体、痩せているけど、顔は整っているでしょう」
「実は・・・・」
「好きな女中がいるなら、別に構わないから」
「違うんだ。インポーなのだ」
「あ、そう。じゃあ、アンタの好きにしな。離婚でもいいよ。これは聞かなかったことにしてあげるわ」
それからの私の生活は楽だ。使用人たちが全てやってくれている。
いいね。上げ膳据え膳じゃーないか?
こちとら54歳、もうね。今更、男とチュチュしようとは思わないんだよ。
プゥ~~~~、
「あら、やだ。かゆい。ボリボリ~と」
・・・・・・
ある日、公爵が神妙な顔をしてやってきた。
「実は聞いてくれないか?インポーというのは嘘だ。私はカレ専だ」
「ほお~いいね。話を聞こうか?」
私は末子だった。妾の子だ。屋敷に引き取られても誰も関心を示さなかった。食事にも事欠く有様だった。
しかし、メイド長のフラワ夫人は、私を抱っこしてくれて、
『坊ちゃん。大丈夫、私が守ってさしあげますわ』
『グスン、グスン、なら、僕が大人になったらフラワを守る!』
『まあ、嬉しいですわ』
それから、私は頑張った。勉強も剣術も社交も、ついに兄弟姉妹を押しのけて、この座についた。
しかし、プロポーズをしようとしたら、フラワは・・・病気で亡くなっていた。
「グスン、グスン、君にフラワの面影を感じるんだ。16歳の君に!」
「まあ、感心な子ね。こっちにきな。ヨシヨシしてあげる」
「グスン、グスン、グスン、アーデル」
「ヨシ、ヨシ、ヨシ、天国でフラワ様は見ているわ。フラワ様はおいくつ?」
「享年54歳だ」
「す、素晴らしいじゃない!」
・・・・・・・
「オギャー!オギャー!」
「アーデル!有難う!」
「フフフフフ、女の子だね」
長女が誕生した。性別はどちらでも良いと喜んでくれている。
いい男だね。貴族なのに。
あ、そうだ。ハイト家。
公爵様が笑顔になって、社交界で評判になった。元々いい男だ。
そしたら、
義妹がやってきた。とんでもない事実陳列罪を犯しやがった。
『公爵様、お義姉様は屁をこきます!とても臭いです』
『それが何か?屁は臭いものだが?「屁の匂いを嗅ぎ合う仲」というではないか?』
『・・騙されないで下さい。私はイジメられました。それも木に吊されて、バチン!バチンと!』
『アーデルがそうするには何か理由があるはずだ。調査をする!』
『ヒィ!やっぱ宜しいですわ!』
公爵様が何かしてくれた。アーデルを虐待した証拠が出てきた。
ハイト家はもうない。
これが幸せかどうか分からないが楽しくやっている。
最後までお読み頂き有難うございました。




