3.相部屋の人…?
入学式から数時間が経ったころ、俺と理玖はとある場所にいた。
そこはヒガフナ学園から10分ほど歩いたところにある学園の寮だった。ちなみに歩くとは言っても敷地が広くて遠いだけであり、学園から離れているわけではない。
ヒガフナ学園は一部寮制をとっており、寮に住み込むか、家から通学するかを選ぶことができる。
俺は新たな出会いを求めて寮に入ることを選んだのだが、同じクラスということもあって理玖がたまたまルームメイトだったのだ。
「えーと…この部屋だよな。」
「うん、そうだね♪」
結局、あのあと職員室に行った理玖注意をされただけで済んだらしく、気のせいか少しばかり笑しがいいように見えた。
「そういえば、寮の部屋って基本4人らしいよ。」
「え、そうなのか?」
「うん。でも、男子と女子とは別々になってるらしい。」
「へ〜。」
なんだかさっきからあまり内容のない会話をしている気もするが、気にせず中に入る。
すると、すでに先客がいるらしく、鍵がかかっていなかった。
「うおっ、オイオイ鍵くらいかけとけよ…」
と言いかけながら中へ入るとすでに2個ある2段ベットのうちの片方の布団が膨らんでいた。
「え、まだ15時過ぎだけど、もう寝てるのかな?」
「う〜ん、挨拶させて欲しいし起こしてみるか。」
しかし、言い終わらないうちにベッドの近くにあったスマホのアラームが鳴り、布団の中にくるまっていた人がむくりと起き上がる。
そして、眠たそうな声で俺たちに話しかけてくる。
「…んあ〜、おんなじ部屋の人〜?」
そして、そいつがこっちを見た時、俺たちは思わずギョッとしてしまった。
女性かと思わせるほどの白い肌に老若男女が惚れてしまいそうな、整ったルックス。おそらくは世界三大美女でも勝てないだろう。
「あ、あぁそうだ。俺は白坂涼介、んでこっちの胡散臭そうなやつは三田理玖だ、よろしく。」
「胡散臭いは余計だよ。」
「で、君の名前は?」
「え無視?」
「…んあ〜?、僕は上諏訪梓紗だよ〜。」
「梓紗か、よろしく、いい名前だな。」
「え、なんか俺の時と対応違くない?」
「…ところで、一つ聞いてもいいか?」
「やっぱり無視なの?」
「ん〜、なに〜」
「お前も無視しないでよ。」
「ここの部屋ってベッドが4人部屋なんだよな。」
「うん〜、みたいだね〜。」
「あと1人はどこなんだ。」
時間的にもう来てもおかしくないんだが。
「さあね〜。僕が来た時からいなかったよ〜。」「…そうなのか。」
そこまで言い終わった時に誰かがドアをノックしてきた。
「お、来たのか。」
と俺は少し期待をしつつドアを開ける。
が、外にいたのは上級生と思われる人だった。
「…あれ?」
「うん?どうしたんだい?」
と優しく話しかけてくる。
「あぁ、いや1人だけまだ来てなくて…。」
「あぁ、本当かい。 …まぁねぇ」
「…?何か知っているんですか?」
「いや、そうじゃなくて、割とウチではよくあることなんだよ。」
と、その人は続ける。
「うちの学校はお世辞にも他の学校より幾分か治安が悪いから、入学初日から寮に来ないってこともたまにあるんだよね。」
…えぇ、まじかよそれ…。
「それよりその他の2人はいるんだよね?」
「あぁ、はい。」
「そうしたらその子は僕が先生に連絡しておくから、今日は明日からに備えてゆっくりしておくといいよ。」
「…わかりました。」
そこまで聞くと先輩と思われる人は帰ろうとする、しかし、
「あ、そうだ。一番大事なことを忘れてた。」
と言い、一つのファイルを俺に渡す。
「ここに寮の大まかな規則とご飯の時間なんかが書いてあるから、他の部屋の人たちにも共有しておいてね。」
俺はそこに書かれている内容に軽く目を通し首を縦に振る。
「あと…これもね」
「…?これはなんですか。」
「それはうちにある部活の紹介が書かれた案内本だよ。あと、いくつか違法な部活動もあるから、入部する時には注意してね。」
「はぁ…。」
なんか、聞いてたよりも治安が悪そうだな…。
そうして先輩が帰った後に俺は他の2人にファイルを共有し、部活紹介の本に目を通す。
時に入りたい部活があるわけでもないのだが、一つだけ、俺の目にしっかりと止まったものがあった。
「天沈委員会。」
−これだ。
はいどうも、笹間渡です。
…というわけでさくら伝説第3話、いかがだったでしょうか。特に話が進展することはなかったのですが、涼介くんは確実にお友達を増やしてっていますね。
僕とは大違いです(笑)。
まぁ今回は特にいうこともないので、
次回! 第4話 天沈委員会 です!