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マジックハザード  作者: 中村
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プロローグ

重なりあって継ぎ接ぎ模様のカーペットになってしまった衣類たち。

ペペロンチーノ、ピリ辛のカップ麺、ねっとりとしたタレがかかった焼き鳥、コンビニ通いでコツコツと資材を集めたった1人で築き上げた残飯の城。

ダイソーに負けない品揃えを誇る雑貨、それが炊き込みご飯の具みたいにゴミとゴミの塊の中でランダムに散りばめられている。

この部屋に出来た丘と丘の隙間と隙間をうねりながらつなぐ獣道が、部屋の中にある布団からトイレへと続く廊下までの公道になっている。


小学生の頃、延々と間延びする帰りの会が終わるのをくるくるとペンを回しながら待っていた。

担任教師がさよならの挨拶を言い終わるかどうかで教室の戸を壁に叩きつけるように開く、5階から1階までの階段は段を飛ばし飛ばしに、踊り場ではぎりぎりまでコーナーを攻めて下った。

健康に気遣いランニングを日課とする老人をゴボウ抜きし、家に着くと意味もなく大きな声でただいまと叫んだ。


全長80m、迫力満点でなんなら「子供達が遊ぶには危険だ!」とクレームが来てもおかしくないほど立派なローラースライダーがど真ん中に鎮座するこの市最大の公園、通称ジャンボ公園に設置された蛇口と買ってすぐドロドロになったシューズの踵を使って深く長く堀を伸ばしていく、"誰よりも大きな川を作るんだ!"と3,4人で計画を練っていた。


最後に遊んだのは2年前だ、あいつらは死んでしまったんだろうか?本当は分かってるんだ、俺だけ公立高校に進学して勝手にサボって勝手に卑屈になっているだけだ。


いつかの炒飯に緑のカビ、パッと見1つの生き物に見えてもこいつらは微生物の一群だ、ダニの餌になるので注意!とネットの記事で読んだことがある。

俺はコンビニ店員以外とろくに会話をすることもなければもちろん誰かと群れたりもしない、あまり外に出たくないからだ。

毎日毎日冷凍炒飯を無駄に消費するばかりで俺の心は腐ってもカビは生えないしダニの餌にもならない。


数ヶ月前の台風で下ろした雨戸が朝と夜、月日の流れから意識を逸らせ、穏やかで静かで自分独自の生活リズムを保ってくれる。


目の前にぶら下がる輪っか、この門の奥ではグツグツの釜を鬼が掻き混ぜているのかシミュレーションから目覚めるだけか中世ヨーロッパなのか。

何が正解か興味はあっても俺は顎に手を当てて考えたりはしない、すぐに答えを見ることになるから。

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