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彼女の「腹ドン」がエッチすぎるので、俺たちの高校生活はカオスになります。  作者: 阿井川シャワイエ
1章 霧島優羽

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37話 告白 その2

 マコトには感謝しないといけない。

 なにも知らずにこの話を叩きつけられたら間違いなく優羽のペースになっていた。

 俺がユキさんをどう思っているかに関わらず、流れを引き戻すことはできなかっただろう。


「思ってないよ。ユキさんは、優羽のお姉さん。ちゃんと分かってる」


 余裕をみせるために、あえてゆっくりと返事をした。

 優羽はなにか言おうとしていたが言葉にならなかったようで、目を白黒させている。


「……し、知ってたの?」


 優羽の問いに、一瞬「昔から知ってました」と言いそうになったが、そんな適当なウソをついても後々困るだけか。


「ごめん、知ってたというか、ついさっき知ったというか。ふがふがでユキさんと話して、その時に教えてもらったんだ。正直それまでは気づかなかったよ。これも優羽に言われてそのまま信じちゃったみたいだね」


「……うん、そうだよ。私がナオ君に言ったの。あの人はお母さんだって。ナオ君がお姉ちゃんに見蕩れてるのに気付いたから。このままじゃ、ナオ君がお姉ちゃんに奪られるって思って」


 優羽の表情は暗く沈んでいる。

 そんな彼女を見るのは辛かったが、それでも長年貯めこんだものを吐き出すのは悪いことでは無いと思えたので、黙って聞く。


「多分、私が邪魔しなかったら、ナオ君はユキお姉ちゃんと付き合ってたと思う。ユキお姉ちゃんもナオ君のこと好きだと思うし。ごめんね、私が、ナオ君の人生を捻じ曲げちゃったの」


「それは、関係ないよ」


 さすがにこれは聞き流せないので、否定した。

 8歳という年齢差は恋愛する上ではかなり大きい。

 ユキさんからしたら、俺は子どもだ。

 恋愛対象にはなるまい。

 そして俺にとっても、ユキさんは恋愛対象となる女性ではない。

 マコトすら誤解していたようだが、本当に違うのだ。


「別に遠慮しなくていいよ。私のお母さんだと思ってたから、我慢してたんでしょ? 結婚してる相手と付き合おうなんてそもそも思わないもんね」


 どうも優羽の中では、俺とユキさんが両想いだというのが確定事項らしい。

 単なる妄想としか言いようが無いが、普段の俺の行動がそう思わせたのだろうから意外と根深い問題かもしれない。


 なんにせよ誤解を解くためにも、俺はきちんと話さないといけない。


「ホントに関係ないんだ。だって……」


 心の内を明かすのは苦しいし、恥ずかしい。

 それでも、これは必要なことなのだ。


「……だって俺ユキさんのこと、自分の母親みたいに思ってるから」


「……え?」


 優羽はきょとんとしている。

 言っている意味が分からなかったのだろう。

 まあ、当然だ。


「あくまで育ての親、的な意味だけどね。ユキさんは面倒見が良いでしょ? 優羽と同じように、俺のことも自分の子どもみたいに扱ってくれた。俺、本当のお母さんのこと、ほとんど覚えてないんだ。ミライさんもお母さんって感じの人じゃないし。だから、ユキさんに母性を感じたというか……」


 これはかなり恥ずかしい告白だった。

 思わず照れながら言いそうになるが、その方が気持ちが悪いだろう。

 あえてキリっとした表情で主張を続ける。


「ユキさんのことは好きだし、女性的な魅力を感じることがあるのも否定しないよ。でも俺の母親像って少し歪んでるみたいでさ、そのくらいなら余裕で母親枠に入るんだ。ユキさんを見てると結局『俺のお母さん的存在は今日も素敵だなあ。いつまでも健康で長生きしてね』って気持ちになるんだ。これ恋愛感情とはだいぶ違うよね」


「……そう、なの? でも……それにしてもユキお姉ちゃんのこと好きすぎるっていうか……明らかにテンションが上がってるし……」


「それも否定しないけど、なんていうかこう、恋愛感情が無いから好きって気持ちを真っ直ぐぶつけられるっていうか……。結局甘えてるんだろうね。ユキさん相手だと、嫌われたらどうしようみたいな気持ちにならないんだよ。俺がユキさんのことを好きなんだから、向こうがどう思ってても関係ないよねって感じで。でも……」


 優羽の目を真っ直ぐ見つめる。


「優羽相手だと怖いんだ。優羽に拒絶されたらって思うと、凄く怖い。だって両想いじゃないとダメなんだ。両想いじゃないと、優羽と恋人になれないから」


「……でも、ほら………私じゃあ、ちょっと……お姉ちゃんと違って欠点が多すぎるっていうか……」


 優羽は言葉を探しながら、呟いている。

 こうなったら、多少強引にでも俺の気持ちを伝えた方がいいだろう。

 目と言葉に力を込める。


「俺は優羽と恋人になりたいんだ。別に優羽が完璧な人間だと思ってるからじゃないよ。お互いに悪いところは当然あるけど、それを補いあって楽しく暮らしたい。優羽とならそれができると思う。俺、ユキさんの悪いところは一つも言えないけど、優羽の悪いところは沢山言えるよ。それでも優羽のことが好きなんだ。もうこれ、無敵じゃない? 優羽のことどうやったら嫌いになれるのか、自分でも分からないよ」


「…………」


「ねえ優羽。ホントはもっとロマンチックに告白したかったんだけど、急にたくさん話し過ぎて苦しくなってきたんだ。だから俺の声が出なくなるその前に、今から言う俺の言葉を、どうか素直に受け取って欲しい」


 スーっと息を吸い、そして。


「大好きだ、優羽! 俺と! 恋人になって! ……くださぁい」


 情熱的に叫んだが、最後は息が切れてしまった。

 ペース配分を間違えてしまったようだ。

 それでも俺の思いは全部伝えた。

 肩で息をしながら、優羽を見る。


「……っ」


 彼女はなにかを言おうとしていたが言葉にならないのだろう。

 真っ赤な顔で恥ずかしそうに俯き、こちらに手のひらを向けてきた。

 「ちょっと待って」のポーズだ。


 その可愛らしさに思わずニヤけてしまいそうで、慌てて顔を引き締める。

 そういえば、優羽はときどきこんな表情になることがある。

 最近だと確か足裏を必死にくすぐったあの時だ。

 優羽は極度に恥ずかしくなると言葉が出なくなるらしい。


 ……なんにせよ、この感じなら上手くいくだろう。


 告白の返事は気長に待てばいい。

 まさかこの短時間で2回も告白することになるとは思わなかったが、終わりよければ全て良し、だ。

 そして彼女がOKの返事をくれたら。


 恋人の証としてキスをするのだ……!


 すでに彼女とは2回もしている訳だが、今回は今までと違う。

 俺は生まれてはじめて、自分からキスをするのだ。

 ……意識すると、さすがに緊張してきた。

 失敗して、鼻同士をぶつけるというのも聞いたことがある。

 頭の中でキスのシミュレーションをしようとして――。


 ふと。


 優羽のお腹が目に入った。


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