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彼女の「腹ドン」がエッチすぎるので、俺たちの高校生活はカオスになります。  作者: 阿井川シャワイエ
1章 霧島優羽

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31話 優羽さんとデート その4 彼女の部屋で足を拭く

「ねえ、優羽さん。ウエットティッシュ借りるね」


 返事を聞かずに机に向かい、ウエットティッシュの入った容器ごと持ってくる。

 優羽さんはぐったりとした様子でベッドに腰掛け、俺の行動を無言のまま眺めていた。

 やはり落ち込んでいるようで、その目に光は無くまるで死んだ魚のよう。


 そんな優羽さんの前にしゃがみ込み、彼女を見上げ微笑みかける。


「ねえ優羽さん。俺、今日のデートすっごく楽しかったんだ。最初は正直緊張してたけど、でも優羽さんが手を繋いでくれたから。よく知っている街を歩くのも、好きじゃないジャンルの映画も、よく行く公園を散歩するのも、優羽さんと手を繋ぎながらだと自然と特別なデートになるから不思議だよね。そして今こうして優羽さんの部屋で2人きり。優羽さんが俺のために服まで着替えてくれて。なのに……」


 そこで言葉を切り、優羽さんの様子を窺う。

 優羽さんは相変わらず無言で俺を見ていたが、先程までと違い目に力が戻っている。


 素直にデートの感想を話したのは正解だったようだ。

 良い反応が返ってきたことに少しホッとしながら、言葉を続けた。


「こんな終わり方、俺、嫌だよ。優羽さんにも今日のデートは凄く良かったって、最後までずっと楽しかったって、そう思ってもらいたいんだ。だから――」


 優羽さんの目をきちんと見て、告げる。


「――優羽さんの足、拭かせてよ」


「え……?」


 優羽さんは俺が言った言葉を理解できなかったようだ。


「えっと、足を……?」


「うん。足を」


 困惑気味に聞き返してくる優羽さん。

 俺はあえて彼女が言ったことを繰り返すだけにした。

 今の彼女は明らかに頭が働いていないし、言葉を大量に浴びせて無理やり納得させるような真似はしたくなかったのだ。


「拭くの? ナオ君が?」


「そうだよ。ウエットティッシュを使って俺が拭いてあげる」


「…………」


 優羽さんはあまりの理解できなさに、疑問の言葉すら出なかったようだ。

 キョトンとした表情で首を傾げていた。


 本当は無言のまま理解してもらえるまで待つつもりだったが、場合によっては優羽さんが間違った答えにたどり着きかねないと気付く。

 フォローも兼ねて、説明しておこう。


「優羽さん。大事なことだからはっきり言うけどね、さっきも優羽さんの足から異臭なんてしなかったよ」


「う、うん……」


 なんともいえない表情で頷く優羽さん。

 おそらく異臭という表現が気になったのだろう。

 悪臭よりはマシと思ってチョイスしたのだが、確かに大差なかったかもしれない。

 しかし今はミスを気にしている場合ではない。

 内心の動揺は笑顔で隠し、優羽さんの手を取り優しく話しかける。


「でも、優羽さんはそれが信じられないんだよね? ニオイがする気がして、俺とのデートを続ける気分じゃなくなったんでしょ? だったら俺が優羽さんの足を拭いて、きれいにしてあげるよ。そうすればニオイのことも気にならなくなるし、それ自体もデートの続きになるし、いいアイディアだと思わない?」


「デートの続き……? 足を拭くのが?」


「うん。きっと足だから、拭かれるとくすぐったいんじゃないかな? 俺が優羽さんのことをくすぐってあげる。そういうイチャイチャした感じ、興味ない?」


「……あ、ある」


 優羽さんの目に光が灯る。

 完全点灯だ。


「興味、凄くあるよ、ナオ君! むしろ私がナオ君の足を拭きたいくらい!」


「うん……でも今は俺の足は関係ないから……」


 興奮した面持ちで前のめりに言ってくる優羽さん。


 その申し出自体はありがたいのだが、優羽さんと違い俺の足は本当にクサイ可能性がある。

 場合によっては、次に死んだ魚の目になるのは俺だ。

 それはちょっと困るし、優羽さんの提案は受け流して、急いで彼女の足を拭かせてもらおう。


「じゃあ、拭くね」 


 ベッドに腰掛けている優羽さんにしゃがみ込んだまま近付く。

 そして彼女の右足首に慎重に触れ、軽く持ち上げた。

 彼女がハッとした様子でスカートを押さえるのが分かったが、それは気付かないふり。


 今の俺は無心で彼女の足を拭かないといけないのだ。

 変なことを考えていてはダメだ。


 取り敢えずウエットティッシュを1枚取る。

 そして優羽さんの足の裏を拭こうと――


「ちょ、ちょっとまってっ!」


 優羽さんが焦ったような声を上げていた。


「も、もしかしてナオ君、足の裏から拭こうとしてる?」


「え? うん」


「あ、あのねナオ君。私、くすぐったいのに弱いから……。段階を踏んでほしいんだ……」


 照れたように目を伏せている優羽さん。


 なるほど。

 確かに足の裏は、かなりくすぐったいはず。

 最初はもう少し刺激の少ない場所から行くべきか……。


「えっと、じゃあ、足の指の間から拭くね」


「だ、ダメっ!」


 早速拭こうと手を伸ばすと、優羽さんは可愛く声を上げながらグッと右足を引き上げ、俺の手から距離を取った。

 スカートがめくれ上がっている気がしたが、そこは見ないようにして、優羽さんの表情を窺う。

 彼女は恥ずかしそうに俯いていた。


「……足の指の間は……エッチすぎるよ……」


 優羽さんは足の指も刺激が強いと判断したようで、エッチすぎるとまで言われてしまった。

 彼女の気持ちは尊重したいが、しかしこのままでは拭ける場所がどこにも無い。

 ……素直に優羽さんの希望を聞くか。


「ごめんね、俺、エッチだから思いつくのも全部エッチな場所になっちゃうみたいだ。だから、リクエストを聞いてもいい? 優羽さんはどこから拭いてほしいとかある?」


「……足の甲から……お願いします」


 ふむふむ、確かに足の甲は刺激の少ない無難なチョイスな気がする。

 俺からは一生出てこない発想だ。


「うん、分かったよ。じゃあ足の甲を拭くね」


 言いながら優羽さんの足首に触れ、再度持ち上げる。

 そしてウエットティッシュを足の甲に乗せ、撫でる程度の優しさで拭いた。

 掛けた時間は30秒ほど。

 短い気もするが、拭く範囲の狭さからするとこれでもかなり丁寧にやったのだ。


「よし、こんな感じでどう、優羽さ……優羽さんっ!?」


 満足感とともに優羽さんに話し掛けようとしたが、あるはずの場所に優羽さんの上半身がなかった。

 な、なにこれホラー展開?

 慌てて優羽さんの足から手を離し、立ち上がる。


「ご、ごめんね、ナオ君。シチュエーションが……シチュエーションが好きすぎる……」


 優羽さんはベッドに仰向けで倒れこんでいたようだ。

 顔を両手で隠し、なにやら呟いている。

 シチュエーションってなんのことだ……?


「えっと……もしかして足の甲でも刺激が強かった?」


 彼女の行動はそうとしか解釈できないと思い聞いてみたが、違ったようだ。

 優羽さんは顔を隠すのはやめ、のっそりと起き上がると、否定するように首を振っていた。


「ううん、思った通りそこまでじゃなかったよ……。でも刺激が少ない分、『ナオ君が私の足を拭いてる』っていう状況に意識がいっちゃって……。なんか、こう、すごく良かったの」


「そう……すごく良かったんだね……」


 シチュエーションが好きとはそのままの意味だったのか……。

 なんというか、悪い気はしない。

 いやむしろ俺が足を拭くことで優羽さんが興奮していたのかと思うと、テンションが上がる。


「それでどうする? 続きをして平気?」


「続き?」


 上がったテンションのまま聞いてみたが、優羽さんはよく分からなかったようで、ぼんやりとこちらを見ている。


「うん。まだ足の裏を拭いてないけど……」


「…………」


 グッと目をつぶり悩んでいる様子の優羽さん。

 確かに足の甲でも悶絶していたのだから、足の裏を拭かれるとどうなるのか、自分でも不安なのだろう。


「……ねえ、ナオ君……」


 やがて優羽さんはそっと片目だけ開けると、ささやくような声で俺の名前を呼んだ。

 その様子はとても色っぽく、俺もなんだか畏まってしまう。


「な、なんでしょう」


「……ナオ君は……どうしたい……?」


「……拭きたいです、足の裏も」


 少しの沈黙のあと、素直に返事をした。

 考えてみれば、俺としては拭かない理由が特にない。

 というか優羽さんもわざわざ聞いてくるところをみると、恐らく後押しが欲しいだけなのだろう。


 ならば、俺が彼女の背中を押そう!

 だって俺は優羽さんが足の裏を拭かれ、くすぐったさのあまり悶える姿を見たいのだ!


 優羽さんの目を見ながら、直立不動のまま情熱的に叫ぶ。


「先ほど優羽さんが『足拭きシチュエーションが好き』と言ってましたが、それを聞いて俺もこのシチュエーションが大好きになりました! ぜひ、続きをやりたいです!」


そして、勢いよく頭を下げた。


「どうかお願いしますっ!」


「……そう、なんだ。……うん、じゃあ、やってください」


「ありがとうございますっ!」


 許可を出してくれた優羽さんにお礼を言い、俺は再度足拭き体勢に入る。


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